藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋
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藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

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台湾に初めて行ったのは、2000年の初夏の頃のこと。
とある航空会社のマイレージが溜まったので、そのマイレージを使って台湾と上海に遊びに行った。
当時はまだそれほど文房具にはまっていなかったし、短い一人旅だったので、ただぼんやりと台北の街を歩いたり、地下鉄で気軽に行くことのできる淡水湖を見に行ったり、美味しい台湾料理を食べたりするだけの旅となった。

2度目に台湾に行ったのは2017年のこと。
この時はすでにぼくは文具ライターとして連載記事を持っていたし、何となく台湾文房具が熱いという話は聞いていたので、その台湾の文具事情を知りたいと思って遊びに行った。
現地で働いている日本人の文具好きの方とお会いしたり、マステを始めとする、いろいろな台湾の小物文具を集めたりするなど、非常に有意義な滞在となった。

ところが、肝心のインクに関しては、まだそれほど台湾は熱い感じがしなかった。インクがたくさんそろっているというお店に並んでいたインクも、台湾オリジナルらしきものは数本しかなくて、それもあまり良くわからないような感じで置かれていたのだ。
だから、2年前はインクに関しては、日本の方が盛り上がっていたような印象を受けた。

しかし、去年ぐらいから、だんだんと中国のインクに関する情報が日本にも入ってくるようになり、中国に旅行に行く人などに中国系インクを買ってきてもらう機会も増えた。そんな矢先、ついに日本にも台湾発のインクが発売されると聞き、ぼくは嬉しくなった。

藍濃道具屋の魅力

そのひとつが、今回ご紹介する「藍濃道具屋(レンノンツールバー)」のインクである。台湾の藍染め店がプロデュースしているというレンノンツールバーのインクは、「藍染め風」「天の原風」「台湾風」そして「季節限定」というまったく違ったコンセプトのインクをシリーズで出している。

藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

まず、注目したいのが、そのパッケージである。30mlのボトルに貼られたシール、ボックスの中に入っている解説書(中国語なので何となくイメージで読み取るしかないのだが)、さらにボックスに貼られているシールなども凝っている。

藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

インクの瓶詰めから箱詰めまですべて手作業で行われているのだが、それだけに、作りがとにかく細かく行き届いている感じが伝わってくる。箱に貼られたシールもできれば封印切りしたくない。きれいに保管しておきたいという人は箱の下から開けるのも良いだろう。それぐらい細部にまでこだわりを感じる構造となっているところが面白い。

藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

サイズ感、シールの雰囲気、シンプルな箱など、どれもが見事にコレクター心をくすぐるので、ついつい集めたくなってしまうのも「藍濃道具屋」のインクの魅力なのではないかと思う。

藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

藍染めに着想を得た青系インクの数々

ぼくが「藍濃道具屋」の中で一番気になっているのが、藍染めの製造過程で見られる色彩から着想を得たという定番染料インクシリーズの「藍染め風」だ。

藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

藍染めをモチーフとしているだけに、青系の色が多いのだが、一言で青といっても、実にいろいろな表情を持っており、それぞれにストーリーがあるところが、「藍濃道具屋」の「藍染め風」シリーズの面白さなのではないかと思う。そこで、一つ一つ、それらの色を見ていくことにしよう。

鐵紺

藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

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染色した後、水洗いをしていない状態の布生地の色合いを再現した色で、ぬくもりが感じられるブルーブラックという感じ。中字以上で描くと、色に柔らかみが感じられる。

熨斗目花

藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

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熨斗目とは、生染の平織りのこと。熨斗目花は色の名前であり、灰色がかった藍色を指す。さわやかな紺色なので、この色で字を書くと、気持ちがすっきりとするかもしれない。

浅葱

藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

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漂白をしていない状態の生成りの布を藍色の染料で染める時に見られる緑に近い色。日本では例えば歌舞伎などの伝統芸能で使われる浅葱幕などでも知られ、日本の伝統色とも言われている。

紺藍

藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

藍染めで染め抜いた布の色で、藍色よりももっと濃紺で、深みのある色。でも、このインクはそんなにべったりとした感じではなく、やはり布のもつ柔らかさが伝わる上品な色に仕上がっているところがすごいと思う。

納戸

藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

これも完成した藍染めに見られる色の一種。前述の「紺藍」と後述の「水色」の中間の色。さわやかでほっこりとしたブルー。優しい気持ちになれるので、手紙を書く時などに使うのも良さげ。

水色

藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

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スキャンした画像ではなかなか見にくいかもしれないが、これも完成した藍染めに見ることができる色の一種。まるで水のように薄くて淡い色なので、太字の方が見栄えはするかもしれない。

我想再去台灣

台湾は日本からも近いし、食べ物も美味しく、気候も温暖だ。また、文具にしても、日本の文具好きの心をくすぐる商品がたくさん出ている。最近では台湾と日本の文具好きの人たちの間での交流も深まりつつあるように感じるので、近々、ぜひまた台湾に行って、いろいろな文具と出会いたいなぁと思っているところである。

藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

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藍染めにヒントを得た青系インクの魅力~藍濃道具屋

<この記事に登場するインク>
レンノンツールバー(藍濃道具屋) ボトルインク 藍染め風
レンノンツールバー(藍濃道具屋)のインク一覧はこちら
TWSBI(ツイスビー) 万年筆 ECO-T ブルー
TWSBI(ツイスビー) 万年筆 ダイヤモンド mini AL Blue スタブ

この記事を書いた人

武田健
武田健
文具ライター、山田詠美研究家。雑誌『趣味の文具箱』にてインクのコラムを連載中。好きになるととことん追求しないと気が済まない性格。これまでに集めたインクは2000色を超える(2018年10月現在)。インクや万年筆の他に、香水、マステ、手ぬぐいなどにも興味がある。最近は落語、文楽、歌舞伎などの古典芸能にもはまりつつある。