世界の筆記具ペンハウス

人生を変えるモレスキンノートブックの魅力再発見

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 はじめての出会いから、今年2025年で17年目を迎える、モレスキンノートブック。
その間、他のノートも並行して使ったこともありましたが、途切れる事無く使い続けているモレスキンノートブックの魅力を、私の実例を交えて語ってみたいと思います。

手帳の日

モレスキンタワー

 12月1日は「手帳の日」ということで、これまでに自分が使ってきたモレスキンノートブック(以下モレスキン)を積み上げた写真をSNSに投稿すると、普段とは桁違いのインプレッションをたたき出して、多くの人から“いいね”の反応をいただきます。
この積み上げるという行為は、モレスキンユーザーがオフ会などに集まった時に、持ち寄ったそれぞれのノートを積み上げてつくる儀式?「モレスキンタワー」をひとりで真似たものですが、SNSの反応をみていると、モレスキンのファン・愛好家がたくさんいることを実感させられます。

初めてのモレスキンノートブック

はじめてのモレスキン

 まだサラリーマンの頃に、担当していた書店の店頭で見つけた、モレスキンが最初の出会でした。
黒くて重厚な佇まいが、他の一般文具のノートブックとはあきらかに異なり、カッコイイという憧れと自分に似合うだろうかという恐怖を同時に感じさせる存在で、購入を決意するまでに数ヶ月の時間を要したことをいまでも覚えています。
サラリーマン時代の私は、文房具に特別な思い入れはなく、営業マンとして取引先に失礼のないツールとして革製のシステム手帳を、仕事と割り切って使っていましたが、プライベートの手帳としてのモレスキンは、その当時の自分にとって、とても高価なもので、購入したあとも、最初の1ページ目にペンを落とすのに、そこからさらに、半年ほどの時間がかかりました。

手帳は人生という旅のパスポート

 モレスキンの最大の特徴は、何もないページにあり、ここに日付を入れるとか、ここに目的を明記するだとかの、ユーザーにルールを押し付けないことが魅力です。
当時の私のように、無目的で買ったひとには、いきなり「白紙のページを好きしていいよ!」と言われても、それはそれで高いハードルに感じるかもしれません。
そこで、旅好きな私は、パスポートの顔写真入りのページを真似た形式を自作して、はじめのページに貼り付け、さぁこれから旅に出るぞという、自分の好きなこと始める宣言することで、書くことがかなり楽になりました。
旅に出るときに必要なのは、旅先や目的、予定といったことですが、これらを日常の単位に落とし込むことで、あたかも毎日が旅のような感覚でページに文字が埋まっていきました。

旅のモレスキン

スイスへ旅したモレスキン

 そのきっかけとなったのが、スイスへ旅行したときに持っていったモレスキンクラシックノートブックソフトカバー・ルールド(横罫線)でした。
当時の人気はハードカバーモデルでしたが、あえてソフトカバーを選んだのは、夢枕獏の小説「神々の山嶺(いただき)」の中で、エベレストに挑む登山家が、荷物の軽量化を図るために鉛筆をギリギリまで削っていたエピソードを読んでから、私もそれにあやかって軽いモデルを選択しました。
スイスという国では、トレッキングレベルでも標高の高いコースがあって、その時にご一緒した方の案内で、標高3800メートル級の山頂まで登ったことを思うと、大袈裟かもしれませんが、この選択は正解だったと実感して、それ以降は登山や旅行にかかわらず、マイモレスキンは、軽くてカフェのテーブルで広げても邪魔にならないポケットサイズを、そして手触りが良く高級感のあるソフトカバーがスタンダードなりました。

迷ったら真似してみる

 好きなことなら存分に書くことができる、と思っていてもうまくアウトプットができない時もあります、そんなときには、自分に向く雛形(テンプレート)をモレスキンに取り込むことが近道になるかもしれません。

 現在、1年を1冊にまとめるノートブックとして愛用しているモレスキンの中には毎日が楽しくなるように、他の手帳から学んだアイデアを盛り込んでいます。
マンスリーダイアリーの次のページには結果を記入できるよう設定していますが、これは本家モレスキンダイアリーノートのスタイルから拝借しました。

ノートで信長の野望?

 また、旅や出張が多い私は、行った土地(都道府県)がわかるように日本地図をプリントアウトして貼り付け、訪れた場所を塗りつぶしていくことで、ビデオゲームの「信長の野望」気分を楽しんでいます。こちらは、コクヨ株式会社から発売されている「ジブン手帳」からヒントをいただきました。

万年筆のインク管理もしっかりと

 これは筆者のオリジナルのアイデアですが、「世界の筆記具ペンハウス」ファンなら誰もが?複数の万年筆とたくさんの(夥しい?)インクをお持ちのはず。
いま自分が使っている万年筆にどのインクが入っているのかが、ひと目でわかるように、記録管理するページを自作しました。
これらは、ノートの箸休めのような存在ですが、言葉で表現するのが面倒な時には効果的です。

その他のモレスキン

大きなモレスキンもカッコいい

 私の住む奈良では、毎日海外からの旅行者で賑わっています。
ほぼ毎朝、利用するスターバックスコーヒーには、日本人よりも外国人の方が多いほどです。
そこで時々見かける光景に、ひとり旅の外国人旅行者が鞄からラージサイズのモレスキンを取り出しコーヒーを片手に、なにやら書き物をしている姿が、とてもカッコよく、そして美しく見えます。ここまで、ポケットサイズを絶賛してきた私ですが、実はハードカバーや、ラージサイズのモレスキンもしっかり愛用しています。
取材メモや研修の受講記録にはクラシックモレスキンラージサイズを、ハードカバー・ソフトカバーにかかわらず、使うこともあります。
また、限定デザインのモレスキンも大好きで、春のシーズンに発売されるモレスキンさくらノートブックなどは、新しい年度のスタートにふさわしいノートブックとして、つい…買ってしまいます。

文具愛好家の考察

 ライフハック系の書籍を書かれている著者の方が、本屋さんの棚には「手帳で人生が変わる」的な本がたくさん並んでいるけど、手帳で人生は変わらない、手帳をどう使うかで人生は変わるんだよ、と話してくれたことを覚えています。(タイトルだけをみて読まずに勘違いする方がいるというお話から)
そんな話をしていた頃、ようやく自分なりにモレスキンの使い方を見つけて、SNSに投稿したところ、ある著者の目に留まり「私の次の本に紹介したいので原稿を書いてもらえませんか?」という依頼をいただいたのがきっかけで、これから数年後にライターの仕事に就くことになるとは、思ってもいませんでした。
1冊の手帳には人生を変えてしまう力が備わっているという実感と、いつの間にか、その実例に自分がなっていました。
今だからこそ言えることは、この時の手帳がモレスキンでなかったら、ここで記事を書いてはいなかったことでしょう。

モレスキンを使い始めて10年目の記事はこちら

この記事を書いた人

出雲義和
出雲義和
文具ライター、システム手帳から綴じノートまで複数の手帳を使い分ける、手帳歴40年のマルチユーザー。
「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイドブック」などの文具雑誌や書籍をはじめ、旅行ライターとしても執筆活動を行い、文具と旅の親和性を追い求める事をライフワークとしている。
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