文具メーカーや文具店のみならず、最近では一般の文具好きの人たちの間でも注目されている文具関係の展覧会ISOTに行ってまいりました。この展覧会では、日本文具大賞が発表されたり、新製品がいち早く展示されたり、様々な文具に関する講演会などが行われたりするので、ぼくも去年初めて来場し、いろいろと刺激を受けることができました。
さて、今年も短い時間でしたが、気になるメーカーや、日本未発売のインクなどについて話を聞いてきましたので、その様子をご紹介したいと思います。
マスキングテープといえばmt!
マスキングテープで日本ではかなり知名度の高いカモ井加工紙株式会社のmtシリーズは、毎年様々なデザインのマスキングテープを出しているので、ぼくもとても気になっています。まずは、今年の年末にかけてリリースされるハロウィン柄とクリスマス柄をチェック。今年も思わず手に取ってみたくなる柄がいろいろと用意されていて、実際に店頭に並ぶのが楽しみになってきました。
さらに、発売されたばかりだという新感覚画材「mtアートテープ」も斬新なコンセプトのマスキングテープです。これは、3つの手書き素材がモチーフとなっていて、まるでマスキングテープで絵を描いているような感覚で使うことができるのです。
まずは、こちらの絵をご覧ください。
これらはいずれも、「Crayon」というぬくもりのあるクレヨンをモチーフにしたマスキングテープを使って作成されています。
単体での販売はなく、9mm幅セット(10本)と15mm幅セット(10本)で販売されています。
様々なサンプルを見ていると、絵の描けないぼくでも工夫次第で面白いアートができるのではないかとワクワクしてきます。
次に訪れたブースは、昨年インターネットでたまたまみつけてずっと気になっていた韓国の万年筆用インクメーカー COLOR VERCEというメーカーです。
まだ日本では代理店などが決まっていないのですが、インク沼の住民の間ではとても話題になっているし、Twitter上でも昨日このブースを訪れた人たちが話題にしていたので、これを機にぜひ日本上陸をして欲しいなと思っています。
一番大きな特徴は天体をイメージとしているというそのコンセプト。さらに雫をイメージしたというボトルも斬新で素敵です。すでにSeason4まで作られており、それだけではなく、番外編のようなシリーズもあって、色数は実に豊富だし、色そのものも、特徴のある面白い色が多いので、もし日本で取り扱いが始まったら、話題になることは確かなのではないかと思います。
3つめにぼくが訪れたブースが、以前コラムでもご紹介したドイツのメーカー「ONLINE」です。『趣味の文具箱』の最新号にも掲載されていて、気になっていた最新の万年筆の実物を拝見することができました。
こちらは、キャンパス万年筆と呼ばれるカジュアルな万年筆シリーズで、世界的なポップアップアーチストであるジェームス・リジィの作品がモチーフになっています。
種類は5種類あり、いずれもポップな柄で、持っているだけで楽しくなってしまいそうです。
ペン先もM、F、EFと3種類が用意されいるので、自分の好みの字幅を選ぶことができるのも大きな特徴です。
しかも本体価格が2,200円と実にリーズナブルなのも万年筆初心者にはありがたいですし、ちょっとしたプレゼントにも最適なのではないかと思います。皆さんだったらどのデザインを選びますか?
まったく違ったテイストなので、友だち同士で自分の好きなデザインの万年筆について話し合ってみるという楽しみ方もできるのではないでしょうか。
そして、もうひとつ気になったシリーズがスロープ万年筆。12面体のボディをツイストしたという非常に面白い軸です。意外にも持ちやすくて、書きやすいのもONLINEならではなのではないでしょうか。色展開もぼくの好きなアクアマリンやサニーピーチなど、日本ではあまりみかけない5色の展開になっているのも嬉しいところ。
さらに、これは万年筆ではないのですが、今話題になっているというのが、このシンプルだけどおしゃれな細身のミニボールペン。こちらは非常に細くて小さいので、二つ折りの財布やパスポートケースなどに挟んだりすることができるのです。さっとメモを取りたい時、そういう場所にあれば、便利だというので、実はとても売れているのだとか。色も5色展開で、それもまた日本の文具にはない色もあって、面白いのではないでしょうか。
最後にぼくが訪れたのは、個人的に大好きな飾り原稿用紙を扱っているあたぼうステーショナリー。
昨年、飾り原稿用紙(碧翡翠)が日本文具大賞デザイン部門グランプリを受賞し、ぼくも応援していたので、とても嬉しかったのですが、今年はさらに新しい柄の飾り原稿用紙が会場内で発表されていました。
また、その他にもあたぼうステーショナリーの看板商品であるスライド手帳や、新商品の首から下げることができるペンケース「ぺネック」なども便利で良い商品だなと思いました。
ぼくはバイヤーではないですし、文具店に勤務しているわけではないので、あくまでもユーザー目線で展覧会を楽しみました。今まで見たことのないような文房具だけではなく、見慣れている文房具の中にも、新しい発見があったり、改めてその商品の魅力について考えてみたりするとても良い機会となりました。
次回のISOTも今からとても楽しみです!
この記事を書いた人
- 文具ライター、山田詠美研究家。雑誌『趣味の文具箱』にてインクのコラムを連載中。好きになるととことん追求しないと気が済まない性格。これまでに集めたインクは2000色を超える(2018年10月現在)。インクや万年筆の他に、香水、マステ、手ぬぐいなどにも興味がある。最近は落語、文楽、歌舞伎などの古典芸能にもはまりつつある。
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