クリスマスが近づいてくると、だんだんと街の装いも変わってくる。店頭に並んでいる商品もクリスマス関連の商品が多くなるから、華やかに見えるし、クリスマスツリーが飾られたり、様々な場所のデコレーションもクリスマス仕様になり、そんなシーズンになったんだなぁと実感する。
では、その「クリスマス的な要素」というのは一体なんだろうか?ひとつはモチーフだ。たとえばトナカイ、サンタ、クリスマスツリー、あるいはオーナメントになる赤と白のストライプのキャンディケーン、雪の結晶などがあげられる。もうひとつは色。定番の赤やグリーンの他にシルバーやブルーなども組み合わせて使うことでぐっとクリスマス気分が上がる。そして、もう一つぼくは大事なクリスマス的な要素があると思う。それがラメだ。キラキラと光るラメというのは、実にクリスマスシーズンっぽい。
それが証拠に、化粧品などでもクリスマス限定シーズンのものにラメが入っていることがある。肌に塗ることでキラキラと光るクリームなどがあって、ぼくは結構パーティーなどにそれをこっそりつけたりしている。
そんなラメの入ったインクが今年もまたダイアミンから発売された。2015年に「SHIMMERING INK」シリーズとして一気に10色が登場し、ラメ好きなぼくは狂喜乱舞して都内の文具店を歩き回り、全色を一気にコンプリートしてしまったのだが、その後、毎年12月になると追加され、今回ご紹介する8色を含めて、ついにダイアミンのシマーリングシリーズは40色になった。
このシマーリングインクの面白さはその名前にある。今まで発売されたインクは以下の通りなので、インクの名前から色を想像してみるのも面白いだろう。
今まで発売されたインク
2015年10色
ナイトスカイ
ブルーパール
シマーリングシーズ
ブルーライトニング
パープルパザーズ
ブランデーダズール
レッドラスター
ゴールデンサンズ
マジカルフォレスト
スパークリングシャドウズ
2016年12色
エンチャンテッドオーシャン
ブルーフレーム
トロピカルグロウ
ゴールデンオアシス
インフェルノオレンジ
キャラメルスパークル
ファイヤーストームレッド
ピンクグリッツ
マゼンタフラッシュ
ライラックサテン
ココアシマー
ムーンダスト
2017年 10色
アラビアンナイト
コバルトジャズ
アーキテックブルー
スペアミントディーヴァ
ゴールデンアイヴィー
シトラスアイス
ファイアフライ
エレクトリックピンク
フロステッドオーキッド
ワインディヴァイン
ダイアミンはこのシマーリングシリーズ以外にも通常の染料インクを100色以上出しているのだが、どれも名前が変わっていて面白い。このシマーリングインクにもそのネーミングの面白さが出ているような気がする。
今回登場する8色のインク
さて、今回登場する8色のインクは次の通りだ。
ピーコックフレーム
スターリットシー
ミスティーク
ネオンライム
ラズマタズ
ドラゴンブラッド
ロッキンリオ
ピンクシャンペン
名前だけでも、何となくワクワクしてくるし、これからのシーズンにぴったりな名前だと思う。
インクに合わせて金と銀の二種類のラメが使われているのもダイアミンのシマーリングインクの面白さ。しかも、色を見なくても、どちらのラメが使われているのか、ということがパッケージやボトルからわかるようになっているのも面白い。
パッケージにはインク名の書かれたラベルが貼られているのだが、その輪郭を見れば、ラメが金なのか銀なのかがわかる。さらにボトルの方は、キャップの色が金と銀になっているので、それでどちらが入っているのかがすぐにわかるのだ。
では、ひとつひとつの色を実際に見ていくことにしよう。
ピーコックフレーム
今回のラメインクの中で個人的に一番好きな色。
まさにぼくの好きなターコイズ系の色。
今までにもダイアミンからはこの手のターコイズ系の色は例えば「トロピカルグロー」や「ミントディーヴァ」などが出ているが、今回はまた少し深みのある美しいターコイズ系で、今年の夏は他のターコイズ系や青系のラメインクとともに活躍しそうな気がする。
スターリットシー
深みのあるブルー系のインクに銀のラメが入っている。まさにキラキラと光る海のような雰囲気を持っていて、たとえば静かな夜なんかにこのインクで文字を綴るのも面白いのではないだろうか。
ミスティーク
こちらはブルーが強い紫といったところだろうか。こちらにはゴールドラメが入っていて、ちょっとゴージャスな雰囲気が漂っている。落ち着いているけれども、艶っぽさもあって、そこがこのインクの面白さなのではないだろうか。
ネオンライム
万年筆用のインクとは言え、蛍光色は万年筆では判読性が低くなるので、個人的にはあまり好まないのだが、このネオンライムは蛍光色でありながらも、ラメが入っているせいか、華やかさが通常の蛍光色とは違って面白いと思う。積極的に使いたい。
ラズマタズ
ラズマタズとは、華やかさ、派手、という意味のスラング。少し緑の入った黄色のこのラメインクは、確かに華やかな雰囲気を持っている。判読性もあるので、例えばクリスマスカードや年賀状に太字やスタブでメッセージを書く時に使うと良いだろう。
ドラゴンブラッド
ダイアミンの色の名前の付け方がぼくは大好きなのだが、このドラゴンブラッドは、もう、その名前だけで興奮してしまう。ぼくは実は何を隠そうブルース・リーの大ファンで、その関係でドラゴンという名前にすぐに反応してしまうのだ。しかも、そのドラゴンの血だなんて!!!それは、まったくの個人的趣味ではあるが、色そのものは、毒々しい赤ではなく、意外と軽めなところが面白いなと思う。しかもラメは金色で、そこも空を舞う龍の鱗を連想させて面白い。
ロッキンリオ
リオといえばカーニバル。そんなイメージにぴったりのオレンジ色。金ラメは何となく水平線に沈む夕日を連想させて、それがまた面白い。ラメの面白さを感じさせてくれる色で、これも季節を問わず使いたいなぁと思う。
ピンクシャンパン
やはり、クリスマスといえば、シャンパン!ぼくは下戸なのでからきしだめだけど、シャンパンは飲めるようになったら良いなと思うアルコールのひとつ。そんなシャンパンの泡を思わせるとても優しい素敵なピンク色。ピンクグリッツとは正反対の淡くて柔らかいピンクで、この2色をセットで使ってみるのも面白いなと思う。
ラメインクは、正面から見るとあまりラメ感が出てこないので、紙を斜め上から見たり、光を当ててみたりすることでラメラメしさを感じることができる。その光の当たり加減を楽しむのもラメインクの醍醐味と言える。
今年リリースされた8色のインクを見てみると、全体的に」ドラゴンブラッド」を始めとして、「ピンクシャンパン」「ロッキンリオ」といった赤系統の色が、多いのが大きな特徴だと思う。これから年末年始にかけて、日本は寒くなるが、明るくて情熱的な赤系統のラメインクを使うことで、気持ちだけでも温かく過ごしたいものだ。
<この記事に登場するインク>
・ダイアミン シマーリングインク 50m
この記事を書いた人
- 文具ライター、山田詠美研究家。雑誌『趣味の文具箱』にてインクのコラムを連載中。好きになるととことん追求しないと気が済まない性格。これまでに集めたインクは2000色を超える(2018年10月現在)。インクや万年筆の他に、香水、マステ、手ぬぐいなどにも興味がある。最近は落語、文楽、歌舞伎などの古典芸能にもはまりつつある。
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