100周年を迎えた国産メーカーの至極の万年筆
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100周年を迎えた国産メーカーの至極の万年筆

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富士山への憧れ

東京生まれ、東京育ちのぼくにとって、富士山はとても身近な存在だ。吉祥寺で住んでいる時はマンションから富士山が見えたし、都内にはたくさんの富士山が見えるスポットもある。特に冬は空気が澄んでいるので、富士山を見る機会も多く、街を歩いていても、ひょんなところから美しい富士山をみかけることがあり、そのたびに、その雄大な姿に感動してしまう。

そんな富士山を堪能しようと、1月の中旬に母と叔母と三人で全室富士山が見えるというホテルに2泊した。
ちょうど湖の向こう側に富士山を眺めることができるホテルで、天気が良ければ一日中大好きな富士山を楽しめる絶好のロケーション。

部屋に入り、テレビもつけず、窓際に置かれた椅子に座りぼんやりと目の前の山を眺めて過ごす。なんて贅沢な時間!何度も温泉に入り、富士山を眺め、翌日はホテルの目の前の田貫湖という全周3kmほどの小さな湖の周りを2度歩いた。

朝、昼、晩、さらにいろいろな角度から富士山の様々な表情を楽しむことができた。

100周年を迎えた国産メーカーの至極の万年筆

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そこで、今回はそんな富士山にまつわる万年筆を紹介したいと思う。

日本最高峰の品質を誇る万年筆

100周年を迎えた国産メーカーの至極の万年筆

富士山にまつわる万年筆と聞いて、万年筆好きの人がまっさきに思い浮かべるのは、やはりプラチナの#3776 CENTURY。この名称は、今年100周年を迎えるプラチナ万年筆が、日本最高峰の品質を目指し、富士山の標高である3776mにちなんでつけられた名前。

100周年を迎えた国産メーカーの至極の万年筆

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「理想の万年筆」を目指して開発されただけあり、その書き心地、バランスは多くの万年筆ファンを虜にしている。さらに2年間も中に入れたインクが乾かないというスリップシール機構を搭載しているので、安心して使えるのも#3776 CENTURYの大きな特徴と言えるだろう。

センチュリーの大きな魅力はそのペン先にある。まず、刻印に注目してみると、先端部分に富士山が描かれているのである。こういうところのこだわりの感じられる細かいデザインは、日本最高峰の品質を目指し、富士山にあやかっているという万年筆全体のコンセプトとも一致し、非常に魅力的だ。

100周年を迎えた国産メーカーの至極の万年筆

そのペン先の形状もユニークだ。比較的大きめの14金のニブなのだが、表面が平たいところが大きな特徴と言えるだろう。他のメーカーの万年筆の多くはこの部分がもう少し丸みを帯びているのだが、プラチナの#3776 CENTURYは、ぴたっとペン芯に対して平行で平べったくて、そこが面白い。

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ずっと書いていたくなる極細字の魅力

プラチナのセンチュリーシリーズの魅力は、何と言っても、その繊細な字幅にある。他の国産メーカーに比べると、同じ極細であってもかなり繊細な字を書くことができるのである。

100周年を迎えた国産メーカーの至極の万年筆

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極細字はインクのフローを楽しむことはなかなかできないけれども、極細ならではの書き心地を味わえる。その味わいを体感してしまうと、今度は極細字で文字を色々と書きたくなってくるから不思議だ。

とにかく、書いていて気持ちの良いくらい細い線が書けるので、プラチナ万年筆のEFはぜひとも体感してもらいたいところ。

100周年を迎えた国産メーカーの至極の万年筆

ワインを彷彿とさせる色

#3776 CENTURYには、様々な種類の軸が用意されているのだが、ぼくが一番よく使っているのが「ブルゴーニュ」だ。

100周年を迎えた国産メーカーの至極の万年筆

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ブルゴーニュというのは有名なワインの産地で、この軸は何度も試作を重ね、フルーティーで繊細な味わいのあるブルゴーニュのワインの色を再現した軸に仕上げている。
書いている時にも、ワインを彷彿とさせる軸が目に入り、それだけで、豊かな気持ちで文字を綴ることができるのではないだろうか。

100周年を迎えた国産メーカーの至極の万年筆

<この記事に登場した万年筆>
プラチナ万年筆 万年筆 #3776 センチュリー ブルゴーニュ
プラチナ万年筆 万年筆 #3776 センチュリー ブルゴーニュ PNB-13000(キャップリングに仕様が変わったリニューアルモデル)

この記事を書いた人

武田健
武田健
文具ライター、山田詠美研究家。雑誌『趣味の文具箱』にてインクのコラムを連載中。好きになるととことん追求しないと気が済まない性格。これまでに集めたインクは2000色を超える(2018年10月現在)。インクや万年筆の他に、香水、マステ、手ぬぐいなどにも興味がある。最近は落語、文楽、歌舞伎などの古典芸能にもはまりつつある。
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