世界の筆記具ペンハウス
雑誌「趣味の文具箱」連載でもお馴染みの文具ライター・武田健さんによる「読みもの」コンテンツ。総保有インク2000本超えの自他共に認める万年筆インクコレクターである武田さん。万年筆とインクを中心に、文具にまつわるお話を連載していただきます。

武田流「コトバノイロ」をより楽しむ方法

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万年筆の醍醐味は何?と聞かれたら、ぼくは2つのポイントをご紹介する。ひとつは、他の筆記具では味わえないような濃淡を気軽に楽しめること。もう一つは、軸とインクの組み合わせが無限大にあること、だ。

万年筆はいろいろなデザインのものがあるし、色も豊富だ。青系の軸、茶色系の軸、緑、黄色、黒など、本当に色とりどりの、それも太さや長さの違う万年筆があり、それらがぼくたちのコレクション欲を刺激するのではないだろうか。

そして、それらの軸に合わせて、その万年筆に吸わせるインクを選ぶのもまた楽しい。
黒い万年筆には黒いインクと決めるのではなく、時には赤いインクを入れてみるのも良いだろうし、鮮やかな青を組み合わせても面白い。
つまり、まるでファッションのようにインクと万年筆をコーディネートできるのである。

さて、先日発売された3色のコトバノイロ、皆さんはどんな万年筆に入れているだろうか?

そこで、今回はぼくなりのコトバノイロの楽しみ方、というのをご紹介したいと思う。

世界観を統一させる

まず、ぼくが組み合わせたのが、「銀河鉄道の夜」にぴったりの万年筆。「銀河鉄道の夜」の世界はやはり星空。キラキラ光る夜空を彷彿とさせる万年筆といえば、セーラー万年筆の「ひさかた」シリーズの「ほしくず」だ、

武田流「コトバノイロ」をより楽しむ方法

武田流「コトバノイロ」をより楽しむ方法

武田流「コトバノイロ」をより楽しむ方法

このシリーズは四季の風景がコンセプトになっているのだが、「ほしくず」は冬の夜空をイメージしている。しかし、夏も星空を観測するにはうってつけの季節なので、「銀河鉄道の夜」にぴったりなのではないだろうか。
これで文章を書いていると、あの銀河鉄道に乗ることができるような気がしてしまう。

武田流「コトバノイロ」をより楽しむ方法

清涼万年筆と清涼インク

暑い夏を乗り越えるためには、まずは小物を涼し気にすること。そう思っているぼくは、青い万年筆や青いインクが夏の間大活躍する。だから、「潮騒」インクもこの夏はヘビロテするだろう。では、このインクに似合う万年筆はどれにしようかと、自分の万年筆コレクションをいろいろと探してみた。

武田流「コトバノイロ」をより楽しむ方法

青い軸の万年筆はたくさん持っているので、悩ましいところであるが、先日購入したばかりのPentオリジナルの「シンフォニーデリカート 誠実」がぴったり合うことがわかった。

武田流「コトバノイロ」をより楽しむ方法

実際に入れてみると、まさにこの軸の色とマッチするのである。
涼し気で、爽やか。海辺に吹く風のような、波音が聞こえそうな、そんなインクと万年筆の組み合わせ。
夏の間はこれを持ち歩いていれば、きっとムシムシした毎日も乗り切ることができるんじゃないか、そんな気がする。

武田流「コトバノイロ」をより楽しむ方法

果物シリーズの組み合わせ

色やデザインが気に入って購入したものの、中にどのインクを入れたら良いのかわからず、結局なかなか使わなくなってしまった万年筆というのも中にはある。

ぼくにとってその代表的なのがペリカンの「ホワイトトータス」だ。白いキャップに独特の黄色のストライプがユニークなのだが、これに合うインクがどうしても見つからなかった。例えばグレー系の色を入れてみたり、茶色系の色を吸わせてみたりしたのだが、なかなか納得できず、ここ数年お蔵入りになっていた。

ところが、コトバノイロの「檸檬」のインク見本が出来上がった時に、まっさきにこのインクはこの「ホワイトトータス」にぴったりなのではないかと思った。

武田流「コトバノイロ」をより楽しむ方法

武田流「コトバノイロ」をより楽しむ方法

そして、実際に入れてみると、本当にぴったり合うのである。まるでこの万年筆のためにこのインクを作ったのではないかと自分で思ってしまうほど。
そして、今回のサンプルで使ったのも、果物繋がりの、「飾り原稿用紙 蜜柑網」だ。同系色なので、インクの色とぴったりとマッチするので、こういう組み合わせで使うのも良いのではないかと思った。

武田流「コトバノイロ」をより楽しむ方法

コトバノイロの世界を堪能しよう!

コトバノイロは、日本を代表する文学作品をヒントに作られたシリーズである。人によっては、タイトルは知っているけれども、読んだことはないということもあるだろう。
あるいは昔読んだけど、内容を忘れてしまった作品もあるかもしれない。ぜひ、この夏はこれをきっかけに、ぜひそういった文学作品に触れてもらいたいなと思っている。

小説を読むということは、自分が経験できない貴重な体験を味わえるということでもあると思う。それによって、心が豊かになるし、物事を深く考察するクセがつくのではないだろうか。

子どもの頃は、夏の課題図書の感想文を書くのが苦手で、すっかりそういう文学作品から遠ざかったしまったという人も少なくないだろう。そんな人も、今はそんな強制的に読む必要もないのだから、もっと自由な気持ちで文学作品に触れてもらいたい、そう思うのである。

武田流「コトバノイロ」をより楽しむ方法

武田流「コトバノイロ」をより楽しむ方法

武田流「コトバノイロ」をより楽しむ方法

<この記事に登場するステーショナリー>
Pent〈ペント〉 ボトルインク コトバノイロ
・セーラー万年筆 四季織 万年筆 ひさかた ほしくず
Pent〈ペント〉 万年筆 シンフォニー デリカート 誠実(Sincere) ~Sky blue~
ペリカン 万年筆 スーベレーン M400 ホワイトトータス
・あたぼうステーショナリー 飾り原稿用紙 400文字原稿用紙 蜜柑網(みかんあみ)

この記事を書いた人

武田 健
武田 健
文具ライター、山田詠美研究家。雑誌『趣味の文具箱』にてインクのコラムを連載中。好きになるととことん追求しないと気が済まない性格。これまでに集めたインクは2000色を超える(2018年10月現在)。インクや万年筆の他に、香水、マステ、手ぬぐいなどにも興味がある。最近は落語、文楽、歌舞伎などの古典芸能にもはまりつつある。
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