ラミーは、ぼくにとってはとても思い入れのある筆記具ブランドだ。初めて購入した舶来万年筆はラミーだし、万年筆を使う前に、4色ボールペンのラミー2000を愛用していたし。
だから、ラミーから新作が出るという話を聞くとそわそわするし、今度は一体どんなボディでぼくたちを楽しませてくれるんだろう?という気持ちにもなる。
さて、そんなラミーから新作が続々発売されたので、ご紹介したいと思う。
初心者から上級者まで魅力するデザイン
ぼくがラミーのシリーズの中で一番愛用しているのがアルスターというシリーズだ。
ラミーは初心者向けの万年筆のシリーズをいくつか出しているのだが、そんな中で一番大人っぽいのがこのアルスターだ。
まずそのボディがクールでかっこいい。
メタリックで、シンプル。モダンな雰囲気があるし、握った時にひんやりとした感触が味わえるのもアルスターの魅力の一つだと思う。
しかも、形は初心者にも持ちやすいように工夫されており、それも万年筆を今まで持ったことがない人にとってはたまらないのだ。
軸を持つときに、自然に指が安定するような作りになっており、誰でもすんなりと万年筆を持つことができるし、手の運びも滑らかになるような設計になっている。
初心者用の万年筆というと、どうしても色や素材、形が子どもっぽい物という印象が強く、大人が持っていると恥ずかしいんじゃないかと思って躊躇してしまう人もいるだろう。
だが、アルスターは大人が持ってもまったく遜色がない万年筆なのである。それは、やはり無駄な装飾をそぎ落としたシンプルなデザインと、メタリックなボディだから、そういう印象を人に与えるのではないかと思う。
デザイン性と書き心地のバランスの良さ
ぼくは、万年筆を選ぶ時に一番重視するのがそのデザインだ。
いくら書き心地が良いからといって、デザインが自分の好みでなかったら、手にしようとは思わないだろう。
文字を書いている間、無意識のうちに視界に入ってくるもの。それが筆記具なのだから、やはり見た目重視になってしまう。
それは、万年筆を使うようになってからずっと変わっていないぼくのポリシーだ。
しかし、形や色がいくら良いからといって、書き味が悪かったら、これほどまでに長く広く人々に愛用されることはないだろう。
ところが、ラミーのアルスターは、初心者だけではなく、上級者をもファンが多いシリーズで、それはつまり、デザインだけではなく、書き味も上級者からもお墨付きをもらっているということでもある。そういう意味でもラミーというのは、非常にバランスの良い万年筆ということになるのだ。
LAMYという軸にさりげなく入っているロゴもより上質感を醸し出しているし、インクの残量がわかるインク窓も面白い。
初めてラミーのアルスターを手にした時、ぼくが感動したのは、これだけ洗練された万年筆で、書き味も抜群なのに、それが低価格帯であるということ。
デザイン性も優れていて、さらに書き味も良く、限定色などの色展開もユニーク、という万年筆は、初心者からマニアまで幅広い層に受け入れられる。そういう意味でもラミーのアルスターは実に魅力的なシリーズなのである。
2019年限定色の魅力
ラミーは、軸によって、その年ごとに限定色を出しているというのも、マニア心をくすぐるのだ。
さて、今年の限定色は、ブロンズなのだが、これがまた非常に上品な良い色に仕上がっている。
過去に出たアルスターと比べると、幾分色が濃いめなのだが、その濃さがまさにブロンズっぽい雰囲気を出しているし、モダンでシンプルなアルスターのデザインにぴったりのような気がする。
今までのアルスターの限定品にはない雰囲気の色味で、高級感も漂っている。さらにアルスターの素材的に、夏にぴったりなのだ。手にした時のすべすべした感じと、メタリックなクールな感じが夏の暑さをやわらげてくれるような気がする。
ブロンズはこれからの季節にぴったりだと思う。日に焼けた肌を連想するし、なによりも、この素材が夏の雰囲気に合っていると思う。
今年の限定アルスターも、色の感じも非常に良くて、バランスの取れた万年筆と言って良いだろう。派手過ぎず、洗練されていて、それでいながら、ちょっと人目を惹く色。さらに男女問わず持てるような色合いもまたアルスターブロンズの魅力の一つと言って良いだろう。
インクとのコラボレーション
そして、インク好きにとってたまらないのは、軸に合わせて発売される限定インクだ。
今年の色は、このブロンズにぴったりのインク。単なるオレンジ?と思ってしまうけれども、もっと濃いめの色で、少し落ち着いた感じがする。そこが、今年のブロンズインクの魅力なのではないだろうか。視野性も良いし、かといって、派手過ぎない色合いで、そこが非常に魅力的だ。
今年の夏は、このラミーアルスターのブロンズ軸とインクのコンビは大活躍しそう。これなら暑い夏の乗り切ることができるんじゃないか、そんな気がしている。
<この記事に登場するステーショナリー>
・ラミー 万年筆 限定品 アルスター 2019年限定カラー ブロンズ
・ラミー ボトルインク 2019年限定カラー ブロンズ 50ml
・ラミー アルスターの一覧はこちら
この記事を書いた人
- 文具ライター、山田詠美研究家。雑誌『趣味の文具箱』にてインクのコラムを連載中。好きになるととことん追求しないと気が済まない性格。これまでに集めたインクは2000色を超える(2018年10月現在)。インクや万年筆の他に、香水、マステ、手ぬぐいなどにも興味がある。最近は落語、文楽、歌舞伎などの古典芸能にもはまりつつある。
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