
今回は2026年3月新発売のPent「旅彩―Tabi-Irodori―」インクの総合紹介をば。
次号からは計4色をひとつずつ作例と併せてご紹介予定です。
どうぞよしなに。
私事ながら小5でGペンやつけペンを使いはじめ、
中1で万年筆に初めて触れたわけですが、
様々なインクでそれぞれ楽しむようになったのは今からちょうど10年前です。
国内外のいろいろなインクはほぼ試してきた道のりも幾星霜、
インク蒐集も楽しい日々ですが、
インクが増えるほど収納時のインク識別が少々難儀。
別に用意した白シールにその色を塗ったものを箱の天冠部分(上蓋)に貼ったり
パッケージの余白に塗ったりなどしていましたが、
つるつるしたコート紙外箱だと直接塗れないこともあり、
かといって自分で用意した識別シールを貼るのも
もともとのデザインを邪魔することもあり、
結局、収納配置図を作るか等で、なんらかの一手を加えねばなりません。
そうこうしているうちに何もかも面倒になり、
いつのまにか色識別もおろそかに。(個人の見解です)
欲しい色を探すときになって、
引き出しをあけ、箱に入ったインク群をみて
「これか?…違う、それともあれか?」と
一本ずつ引き出して、目当ての色までたどる始末。
「もしもインクを創る機会があるのなら。」
「外箱全面に自由に塗れて、上や横からも一発で色がわかるのがいいな」
「白い紙に色をおくように、自分で自由に塗れるといいな」
「塗ってもよし、塗らずもよし、の自由な選択がいいな」
「明るい澄んだ色がいいな」
そんなわたくしのうすぼんやりした欲望を、
我慢強くお耳にいれてくださり、
且つありがたく諸所からのさまざまなご協力を得て、
今回ようやく新インクとしてご紹介できるようになりました。
初構想からじつに6年経過。牛歩ながらゆっくり踏みしめつつ参り候。

販売ページなどの箱塗り見本は濃い目を意識しましたので、
この玉石参房では一番薄い色味でご紹介。
新潟御当地インク「雪彩」で有名な
パッケージの雄・株式会社滝沢印刷(PENBOX)様の技術の粋。
分離色が劇的にたのしい厚手のヴァン・ヌーヴォを使用。
なによりも難しいのは細かいスケッチ線も綺麗にうきでる、
「バチック技法」を模した特殊印刷。
とくに、今回おまけで入っているインク蓋用の識別バチックシールは、
「綺麗に柄がうきでて、しかもしっかり貼れる」という難題の代物。
滝沢印刷プロジェクトチームの並々ならぬご苦労と高い印刷技術の結晶です。

マークは上下左右どの方向からも同様形となるもので、
わたくしの昔からの書写作品にたびたび描きくわえている一筆書きの柄。
濃い色でも、水をくわえた淡い色でもくっきりと浮かびます。
そしてこの外箱の印刷は極々淡い色調になっているので、
よく見ると風景画も目でたのしめます。
「塗っても良し、塗らずに白箱をたのしむもよし」なのです。
箱の2次利用が可能(小声)となるわけですが
それはまた次号以降の玉石参房・旅彩ink各色お色見本にてご紹介いたしますね。
インク製作は品質周知のセーラー万年筆様。
調色相談もピタリと一発で決まり(←非常にレア)
心底、感嘆のうめきなり。
今回の淡い色は、実はインク蓋裏に付着している直径1㎜大のインクに
水をシリンジで3mm大水玉にして加えたものを
筆にとってさっとひと塗り。
使うインクはごくごく少量、インクの蓋裏がパレット的な使い方。
箱や添付シールの塗る面に、
あらかじめ水をふくませた筆でさっと軽くぬっておくと、
淡い色も濃い色も良い感じにぼかすことができます。
万年筆も各種つけぺんも安心してつかえる明るく澄んだお色です。
いろいろな筆記具を使ったそれぞれ4色のお色見本は次号以降、
あらためてご紹介いたします。






はじき絵としてのバチック技法や
それぞれのインクの色や分離色、風景イメージの色としての薄葉紙、
透写紙のインクカードやバチックシールは、
どれもわたくしの過去から現在にいたる10年間の作品の反映です。
コラム「玉石参房」をはじめ、たくさんの作品に使用している紙類。
また、インクカードの金枠は、
わたくしの全書写作品と同じくすべて手書きで描きいれました。
※※※※
日常生活から離れた場所に行くことで
自律神経が整い、自然治癒力が高まるリフレッシュな転地効果。
それが「旅の醍醐味」です。
普段、出不精のわたくしですら、旅のたのしさ、
旅先の彩りを記憶に残す嬉しさには、心がおどります。
L’endroit que j’ai visité était la ville natale de quelqu’un.
―訪れた場所は誰かのふるさとでしたー
知らない場所にも、さきに誰かがいる。
見知らぬ土地での新しい発見や人とのつながりは、
訪問者の世界をすこしずつ新しくひろげてくれるでしょう。
わたくしの目に映る風景と色をインクとしてつなぎ、
皆様の手書き時間のお供になれるならば、と。
色にいざなわれて開ける扉の向こうにひろがる、
濃く淡く美しい万年筆インクやさまざまな筆記具、紙、色の世界。
文具の楽しみの入り口となれば幸いです。
「塗ってもよし、塗らずにそのまま白箱を楽しむもよし。旅彩inkの世界をどうぞ気ままにご自由に」の朝比奈斎(インク三昧&インク冥利につきる)でした。ではまた。
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この記事を書いた人

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憧れの高級文具から教室に忘れ去られた名もなき消しゴムに至るまですべての文具を偏愛する者。
文字は下書き無し・肉付け塗り無しの一発書き。
文具・画材・多肉愛好家として雑貨店「SHOP511」にて多肉植物の育成販売と文具雑貨諸事の販売に携わる。好きな言葉は「玉石混淆」
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