玉石参房 第三十一房 葉月―Sunlight―「想い出を綴る陽光」
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玉石参房 第三十一房 葉月―Sunlight―「想い出を綴る陽光」

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用紙:大和出版印刷「桜ism」グラフィーロ
万年筆とインク:Pent・Symphony・想い出を綴る陽光
下敷き:Teriw:デスクマットTHE MAT A5


今回は、Pent・Symphonyシリーズ・オリジナルインク
「思い出を綴る陽光」を中心に
朝比奈斎がお色見本を作ります。
どうぞよしなに。

今年も昨年にまして気温上昇の夏、
夏の想い出・記憶のファイルも終盤となってきました。


そのままのお色は、澄んだ明るいオレンジ色。
分離しやすい用紙(今回は書道用紙と薄葉紙)に加水して塗ると、
オレンジ色と明るい黄色、ほんのりサーモンピンクも。

Symphony万年筆も明るく美しい陽光のイメージの軸色。
同色インクをいれる楽しさよ。
この万年筆とインクで連想する3つの晩夏を彩る植物を。


用紙:SAKAEテクニカルペーパー・イロフル
併用文具:立川ピン製作所・FINE POINT SYSTEM0.05
ぺんてる・MATTEHOP


まるで夕焼け空のようなうつくしいインクの色。
暑い盛りの日中を経て、暮れなずむ「彼は誰時(かわたれどき)」は
すこし涼しくなると同時に、

一日の終わりを無事に迎える安堵や
楽しい時間の終わりのもの寂しさ、
過去の想い出が胸にうかぶマジック・アワー。


水彩紙:ホルベイン・水彩紙コレクションブック
併用インク:Pent・Pen-house blue


拙くも撮影趣味が高じて、大磯・平塚・茅ヶ崎と海沿いを撮っていた時、
夕焼け空と海辺でカメラを構えて景色を撮る人をみかけ、
その様子を撮った画像をもとに、夕暮れ時の海辺を描きました。

夏の夜に、明るく照らす美しいオレンジの火が燃えるさまを
冒頭のインク染めした書道用紙をつかって貼り絵で。


静かに燃える線香花火を見つめる時間も、
世代を超える想い出、風物詩のひとつ。

つけペンでの表現では、
単体の使用も素敵ですし、
明るく澄んだオレンジ色は、加水すると黄色が分離するので、
暖色や寒色の他の色ともあわせやすいです。
(X掲載作品含む)


用紙:ほぼ日手帳HON・三善トモエリバー
Gペン:ZEBRA・チタンGペンPRO
併用インク:セーラー万年筆・Dipton Ink


冒頭画像の「桜ism」、やわらかなピンク色を下地に、
「想い出を綴る陽光」をかさねました。
サーモンピンクを内包するオレンジなのでなじみが良いです。


拙作、これでもかと「季重なり」てんこ盛りですが
8月の満月時に、月明りのなか秋の気配の虫の声。
「涼あらた」な時間が増えはじめ、夏の名残と新しい季節を感じる時。


冒頭の、インクで染めた薄葉紙は、彩時記「月鈴子」もあわせて
たわわな実をつけた向日葵を。


2025年1月に運行終了の「ドクターイエロー」
が見える有名な岐阜県大垣市のひまわり畑を。

この夏さいごの雄姿、ひたむきな姿、
そしてうつりゆく時代の流れ、
一抹の寂しさをこころに留めるとき、
明るく澄んだオレンジとイエローに励まされるような
気持ちになります。

夏の想い出、幼き頃から現在にいたるまで、
おのおの胸にとめる、さまざまな思い出は、
夏の日差し、夕暮れ、さまざまな自然や文化として
一日ごとの色の記憶を残すでしょう。

色を重ねて一つの絵を、
言葉を重ねて一つの手紙を、
人のちからと時間を重ねて一つの製品を、
それぞれの文具を重ねて「書く」という世界を。

ものをうみだす、心をかよわせることも重奏のよう。

Symphony in stationery
喧騒の日々を過ごす現代人の疲れをいやすような、
うるおいに満ちた素敵な色による「書く」「描く」時間が
たくさん生まれていくことでしょう。

色にいざなわれて開ける扉の向こうにひろがる、
「想い出を綴る陽光」の世界。
インクの楽しみの入り口となれば幸いです。

「なつのとも」もはるか昔、
夏休みたっぷり遊んだ代償の、血と汗と涙の力作を
あんなにたくさんうみだしながら、

波間に消えるように知らぬ間に、
わたくしの夏の証明が、家から一切がいなくなっていた秋。

『母さん、僕のあの作品群と宿題、どうしたでしょうね。』
夏宿題の証明も、断捨離魔の母の前では一瞬のうちに
Quod Erat Demonstrandum(証明終了)

夏は一夜漬けでも賞状ハンター&蒐集癖片鱗児童な朝比奈斎(奇抜で大人の目をかいくぐる)でした。
ではまた。

<今回のメインインク>
Pent〈ペント〉数量限定 ボトルインク シンフォニー 想い出を綴る陽光 ~Sunlight~

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この記事を書いた人

朝比奈斎
朝比奈斎
憧れの高級文具から教室に忘れ去られた名もなき消しゴムに至るまですべての文具を偏愛する者。
文字は下書き無し・肉付け塗り無しの一発書き。
文具・画材・多肉愛好家として雑貨店「SHOP511」にて多肉植物の育成販売と文具雑貨諸事の販売に携わる。好きな言葉は「玉石混淆」

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