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手帳ファンが集まるオフ会!関西手帳研究会、通称「てちょけん」レポート

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毎年、夏休みが終わる頃になると、そろそろ来年度の手帳が書店や文房具店の店頭に並びはじめます。
近年、スマートフォンなどのデジタルツールが一般化して、アナログな手書きの手帳を使うユーザーは減少傾向にありますが、またまだ手書きで予定を管理するユーザーが多いのもまた事実です。
そんな手書きが大好きな手帳ユーザーが集まって、情報交換や自らの手帳愛を語るオフ会が、関西で開催されています。
今回は、そのオフ会にお邪魔して、デジタル時代における、アナログ手帳ユーザーのリアルな実態?に迫るレポートをお届けします。

関西手帳研究会とは?


「てちょけん」の愛称で親しまれている、関西手帳研究会は関西を中心に、手帳や文具好きの仲間が集まる場として、2013年に産声をあげました。途中コロナ禍で開催できない時期もありましたが、今年2025年で13年目を迎える、関西では人気の手帳のオフ会イベントとなっています。
この、関西手帳研究会(以下てちょけん)は、会員制の組織ではなく、いつでも誰もが気軽に参加できるオフ会として、参加費は会場費や資料などの印刷代のみで、開催される会場によって会費は変動しますが、それでも毎回300円から500円程度とリーズナブルな点も魅力です。

第32回関西手帳研究会

関西手帳研究会スタート


2025年9月20日、第32回の「てちょけん」が大阪市内で開催されました。
会場に到着すると、まず受付で、名札(名前やSNSハンドルネームなど自由に記入)と本日の予定が印刷された資料が渡されます。そこには参加者の名前とテーブル番号が印刷されていて、自分の名前の横に記載された記号(アルファベット)のテーブルに着席します。
時間になると、主催者の荒川翔太さんが、今回のテーマと注意事項などの説明があり、参加者全員の自己紹介からはじまります。

自己紹介ボード


「ええっ、自己紹介は苦手」という方でも大丈夫。話す内容はあらかじめまとめられていて、スタッフが「自己紹介の項目」の書かれたボードを持って回ってくれます。
この中に「愛用の手帳」という項目があり、参加者リストと合わせてチェックしておくと、フリートークの時に、同じ手帳ユーザー同士での情報交換がし易くなります。

テーマトーク

テーブル毎に別れてテーマトーク


今回は「手帳のお正月〜2026年への準備会議〜」ということで、まさに今のシーズンにピッタリのテーマです。
自己紹介のあとはテーブルごとに、今回のテーマについて、話し合いますが、若干テーマからずれていても、手帳にまつわる話であればOKという緩さも関西のイベントらしいと評判です。
また、テーマトークの進行は、運営から指名されたファシリテーターが担います。初参加で何を話していいのか、また何を聞けばいいのかわからない人には、発言や質問などをサポートしてくれて、みんなが楽しめる環境を整えてくれます。
テーマトークは2回、第1回が終わると、参加者はリストに記載された次のテーブルに移動します。はじめて参加したひとも、2回目は少し慣れて話しやすくなったり、常連参加者も1回目で話し切れなかった話を補ったりと、このあたりからだんだんと会場は盛り上がってきます。

フリートーク

フリートークは手帳だけでなく、文房具の話題でも盛り上がります


テーマトークのあとは、参加者同士が自由に会話を楽しむフリートークの時間です。
先に言ったとおり、同じ手帳を使っているユーザー同士や、テーマトークの中で、もっと話をしたいと思った人たちは、このフリートークの時間に思う存分に意見交換や相談が行えます。
さらに、フリートークでは、手帳の話題だけに囚われず、愛用の筆記具や文具小物(マスキングテープやスタンプ)などについて語り合えて、参加すると文房具スキルが自然に身に付くといった効果も期待できます。

おりひかさんのワークショップ


また、フリートークの時間には、参加者自らがワークショップを開催することもあります。
今回、東京から参加された「日本手帖の会」おりひかいくおさん(@Orihika)は、あの大◯翔平が夢を叶えた目標達成術「まんだらチャート」についてのワークショップを開催してくれました。

里親文具交換会

文房具の里親募集?


手帳ユーザーの多くは文具が好きな人たちで、つい買ってしまったけれど、使う機会のないままになっていた文房具を持ち寄って、欲しい人たちとシェアする時間も設けられていて、ここでは、思わぬ掘り出し物が手に入ることもあります。(里親文房具を持参していなくても参加できます)

記念写真撮影

手帳の記念写真


オフ会の際の最後は「てちょけん」の名物になっている”手帳の記念撮影”が始まります。
オフ会に持参した愛用の手帳を並べるのですが、毎回参加者が40人前後のはずなのに、手帳の総冊数が100冊を超えるのが通例で、参加者の手帳に対する愛情がより強く感じる1場面でもあります。
そして、今回はなんと134冊もの手帳が並びました。

参加者の横顔

自ら手帳をプロデュースした奈符さん


大分県から参加した奈符さん( @napu_techo)は「てちょけん」に何度も参加したことがある手帳愛好家で、趣味が高じて、自らマンスリータイプの「デッカデイ®」という手帳をプロデュースするまでに至りました。
まだ、個人クリエイターの域ですが、日本手帖の会が主催する「手帳100冊書き比べ総選挙」に今年もエントリーが決まり、興味のある方は、そちらにもぜひ足を運んで見てください。

手帳100冊書き比べ総選挙
日本手帖の会が開催される行事で、毎年100冊を越える手帳(ダイヤリー)を一同に集め、なんと好きな筆記具で試し書きができるというイベントです。
(「手帳書き比べ総選挙」で検索)

今回はじめて参加されたAさんの声

※画像はクリック/タップで拡大します。


はじめて「てちょけん」に参加されたAさんは、手帳は大好きだけれど、何を書いていいのかがわからないままに、初めてこのオフ会に参加されました。
ともすれば、手帳には愚痴ばかり書き連ね、後から見返すこともイヤだったと語るAさんでしたが、参加者が好きなことを自由に書いている手帳を見て、もっと楽しく使っていい”道具”なのだと知って、気持ちがとても軽くなりました。と話してくれました。

手帳愛好家に学ぶ手帳のまとめ

参加者の記念写真


手帳は本来、パーソナルなツールで自分以外の誰かに披露するものではありませんが、他の人がどんな使い方をしているのかは、とても気になります。
手帳ライフをより楽しむために、雑誌の特集や書籍、SNSから情報を得ている人も多いようですが、このオフ会「てちょけん」では、参加者同士がリアルタイムで対話して、そこから新しい発見が生まれることもあります。
手帳の使い方について、悩みをもつ人はもちろん、手帳と併せて使う文房具をもっと知りたい、そう思った方は、ぜひ「関西手帳研究会(てちょけん)」に足を運んでみてください。
毎回、開催を楽しみにしている愛好家から、はじめての参加者まで、幅広く誰もが安心して参加出来るオフ会です。
次回、参加してみたいという方は、”X”(旧Twitter)のてちょけん(@techoken)をフォローして、開催日などの情報をチェックしてください。

この記事を書いた人

出雲義和
出雲義和
文具ライター、システム手帳から綴じノートまで複数の手帳を使い分ける、手帳歴40年のマルチユーザー。
「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイドブック」などの文具雑誌や書籍をはじめ、旅行ライターとしても執筆活動を行い、文具と旅の親和性を追い求める事をライフワークとしている。
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