新型コロナウィルス感染症拡大の影響で緊急事態宣言が断続的に発出したことで、さまざまなイベントが中止や延期となり、多くの人たちが「自粛」を余儀なくされてきましたが、2021年9月末に緊急事態宣言が解除され、規制も段階的に緩和されるようになり、ようやく胸をはって、イベントや催事にもでかけられるようになりました。
解除後の2021年11月に、東京インターナショナルペンショーと、神戸ペンショーが開催され、久しぶりの大きな文具イベントに多くのファンで賑わいました。
ふたつのペンショーを取材させていただき、その中から今年のトレンドを振り返ってみたいと思います。
1番の話題といえば、日本の伝統工芸品「風鈴」職人がその技術を活かして生まれたガラスペン。万年筆インクの人気と共に、注目を集めています。
川西硝子やGrass Stadio TooSなど、開場と同時に人気モデルは完売してしまう魅力が今のガラスペンにはあります。
ガラスペンの魅力については、Happy Ink Timeの武田健さんが12月発売の新刊「はじめてのガラスペン」で余すことなく紹介されているので、そちらも楽しんでもらえれたらと思います。
2020年に東京インターナショナルペンショーでデビュー、わずか1年で万年筆ファンの心をつかむブランドに成長した有限会社シオンのDORILLOG(ドリログ)。
世界でも類を見ない金属製のペン先を採用して、万年筆とガラスペンと異なる筆記体験ができる筆記具として、来場者の多くを驚かせました。
ペン軸とペン先が別売というスタイルのDRILLOGには0.5mm/0.8mmのペン先を選ぶ事ができますが、今回のペンショーでは新しく極細0.2mmを登場させるなど、意欲的なプロダクトで今もっとも目が離せないブランドです。
日本でいち早く「FERRIS WHEEL PRESS」(フェリス・ホイール・プレス)の取り扱いを始めた銀座 蔦屋書店のブースでは、パッケージに漢字で蔦屋書店と書かれたオリジナル限定インクが東京インターナショナルペンショーに並びました。
2010年に創業したカナダのブランド「FERRIS WHEEL PRESS」の万年筆インクは、カーニバルを思い起こさせるパッケージで、まるで気高い香水瓶を彷彿させる美しさです。万年筆を使ったことがないユーザーさえも文具の世界に誘うセイレーンのような存在のインクといえます。
「はちみつインク」の尚貴堂からは、新しいプロダクトの「万年筆インクキャップオープナー」がブースに並びました。
発表と同時に話題となり東京インターナショナルペンショーには追加生産がなんとか間に合ったというこの製品は、硬くて手で開ける事ができなくなった万年筆インクボトルのキャップを無理なく簡単に開ける事ができる画期的なツールとして、万年筆インクファンには必携となりそうです。
取材後記
2021年ふたつのペンショー会場に足を運んで見て感じたのは、新参入の「FERRIS WHEEL PRESS」でますます幅を広げる万年筆インク、単なるブームではなく新しいカテゴリーとしてポジションを確立したガラスペン、さらに金属ペン先という他では真似のできない新しい製品「DORILLOG」の登場など、来年も楽しみが尽きない文房具の世界と、今回のイベントでなにより強く印象に残ったのは主催者をはじめ出展社の方々、そして会場に足を運んだ多くの参加者の心から楽しそうな笑顔でした。
この記事を書いた人
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文具ライター、システム手帳から綴じノートまで複数の手帳を使い分ける、手帳歴40年のマルチユーザー。
「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイドブック」などの文具雑誌や書籍をはじめ、旅行ライターとしても執筆活動を行い、文具と旅の親和性を追い求める事をライフワークとしている。
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