日本各地で30度を超える真夏日を伝えるニュースが、聞こえてくる季節になりました。
コロナ禍の行動制限が解除されてから、止まっていた時間が動きはじめと思っていたら、あっという間に2023年も折り返し地点をすぎてしまいました。
今回は、そんな2023年をちょっぴり振り返ってみて、新しく登場したものや、メディアで話題になったもの、あらためてその良さを感じた文具などを、文具ライターの視点で紹介します。
①三菱鉛筆 三菱uniシャープペンシル替え芯(詰め替え用)
SDGsという言葉が、職場や家庭にも浸透しはじめて、文房具業界でも環境に配慮したプロダクトが登場しました。
「三菱uniシャープペンシル替え芯(詰め替え用)」は段ボールケースを利用したパッケージで、一般的なプラスティックケース4個分に相当するシャープ芯が入っています。
使い方は簡単で、使い終えてシャー芯ケースに詰め替えるだけ。また、同時に発売になった「メタル芯ケース」は入手が困難ながら、今までにはなかった質感と片手で開閉ができるギミックもカッコいいので、「三菱uniシャープペンシル替え芯(詰め替え用)」と併せて欲しいアイテムです。
②吉川紙商事 WAKAMI TORINOKO
日本和紙の魅力については、今年の春に日本三大和紙の里・越前和紙の取材でお届けしました。
歴史ある日本の伝統手法で生み出された和紙は、世界的にみても優れた紙として評価されてきました。そんな和紙の技法を用いて、万年筆での筆記にフォーカスを当てて生まれたWakamiのブランドは、万年筆ユーザーに新しい筆記体験を与えてくれました。
また、製造には科学的な溶剤は一切使用せず、製本も糸綴じ加工を施し、このまま再生可能なゴミとしてリサイクルが可能。「WAKAMIシリーズ」のような、環境に配慮したプロダクトは、これからの文具業界でお手本になる製品といえます。
③三菱鉛筆 ジェットストリーム 4&1 BAMBOO
OKB48(お気に入りボールペン)総選挙で毎回トップに輝く三菱鉛筆株式会社のボールペンジェットストリームは日本のボールペン業界における王者です。
このジェットストリーム4色と0.5mmシャープペンシルの機能を持った「ジェットストリーム 4&1 BAMBOO」が、あればビジネスにプライベートにと、すべて完結できると言っても過言でないほどのマルチプレイヤーです。
出張や旅行など、荷物を極力少なくしたいときに、どれを選ぶかと問われたら間違いなくこの1本です。
といいつつも、筆者は必ず遊び心を一緒に持ち歩くので、これ以外の筆記具も携えて出かける事になりますが、それでもセンターを取るのはこのジェットストリームです。
④デザインフィル MIDORI MDノートライトA7
先日の旅行にシステム手帳(バイブルサイズ)だけを鞄に入れて出かけたのですが、列車の乗り換えが多くて、その都度旅程を書き込んだ手帳を取り出すのがけっこう面倒だったことから、胸ポケットに収まるノートの必要性を実感したところでした。
これからの季節、ジャケットなどの上着を羽織らずに出かける機会が増えるので、ワイシャツなどの胸ポケットにいれてもかさばらずに、出し入れも容易な「MDノートライトA7」がうってつけです。デザインフィルが誇るMDペーパーを使用しているので、粘度の低い水性インクとの相性もよく、万年筆ユーザーにも満足してもらえるノートです。
⑤⑥TWSBI Diamondシリーズ+インクボトルダイヤモンド50
2023年6月にテレビの人気バラエティ番組で紹介されて、再び注目を集めている台湾の筆記具ブランドTWSBI(ツイスビー)は、初心者にも安心して薦めることができる万年筆のラインナップが並びます。
エントリーモデルのTWSBI Ecoはコストパフォーマンスに優れたモデルですが、フラッグシップモデルと呼べるTWSBIDiamondAL580は他の、海外筆記具メーカーと比較して、この価格で購入できる万年筆としては破格と呼べるクオリティに加えて、中に入れたインクがキラキラとダイヤモンドのように輝いて見えるのも魅力で、昨今の万年筆インクブームの中で筆記をしながらインクを愛でることができる万年筆です。
さらに、「TWSBIインクボトルダイヤモンド50」にはダイヤモンドシリーズの規格に合わせて設計されていて、双方をドッキングすれば手を汚さずにインク補充できるという、他社のインクボトルにはない魅力と便利さを備えています。(もちろん通常のインクボトルとしても使えます)
⑦ANTOU ボールペンC
TWSBIと同じく台湾からやってきたANTOU(アントウ)は、クラウドファンディングでデビュー、日本でもこだわり派の文具ユーザーから高い支持を集めるブランドです。
その「ANTOUボールペンC」の魅力はなんといっても、国内外の筆記具メーカーのリフィルがそのまま使えるという大手メーカーでは絶対に採用しない柔軟な特徴を備えていて、スタイリッシュなデザインと実用性を併せて、1本持っているだけで心がワクワクする大人の筆記具です。
(一部形状によって非対応のリフィルがあります)
⑧Stilform Stilform Pen
同じく、クラウドファンディングで大成功を収め、日本デビューを果たしたStilform(スティルフォーム)は、デザイン大国ドイツからやって来た新しいブランドです。
数あるラインナップから、もっとも身近な存在のボールペンStilform Penは、中央にくびれのある独特のデザインで、芯の繰り出しはペン先と胴軸を中央に向けて押し込むスライド式を採用したモデルです。
標準装備のインクも滑らかな書き心地ですが、G-2(パーカーに準じた)規格を採用しているため国産のG-2タイプ(三菱鉛筆のジェットストリームなど)も使用が可能です、デザイン+お好みインクの組み合わせが楽しめるのも魅力のひとつです。
(一部形状によって非対応のリフィルがあります)
⑨山本紙業 A4カット三善トモエリバー
惜しまれながら廃盤になってしまった「トモエリバー」の復刻モデルが、大阪堺市にある紙の専門メーカー山本紙業株式会社から、使い易いA4サイズの用紙として発売されました。
万年筆での筆記に負けない、それでいて薄いこのトモエリバーのメリットを活かした「A4カット三善トモエリバー」は、自分で好きなサイズにカットして使えるので、バインダーノートなどのリフィルをオリジナルで作りたいユーザーにぴったりです。
⑩ラダイト デニム ベンディペンケース
岡山のオーセンティックデニムを使ったカジュアルな「デニム ベンディペンケース」。
万年筆など、高価な筆記具は傷をつけないように、他の筆記具と分けて収納したい人にはうってつけ、2つのファスナー付きポケットにはペンの他に、定規や消しゴム、替え芯といった小物をそれぞれ分けて収納できるので、これひとつで収納の達人になれそうなペンケースです。
文具好きの思考
この記事を執筆中に、第32回日本文具大賞サステナブル部門で「三菱uniシャープペンシル替え芯」が優秀賞を受賞したニュースが飛び込んできました。
文具の業界においても環境に配慮した製品が、これからどんどん増えていきそうです。
そういった視点から生み出されるプロダクトにも期待しながら、各メーカーが2023年後半にどんな展開をしてくるのか?文具ライターとして、またただの文具愛好家として、みなさんと一緒に楽しみたいと思います。
この記事を書いた人
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文具ライター、システム手帳から綴じノートまで複数の手帳を使い分ける、手帳歴40年のマルチユーザー。
「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイドブック」などの文具雑誌や書籍をはじめ、旅行ライターとしても執筆活動を行い、文具と旅の親和性を追い求める事をライフワークとしている。
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