世界の筆記具ペンハウス
雑誌「趣味の文具箱」連載でもお馴染みの文具ライター・武田健さんによる「読みもの」コンテンツがスタート!総保有インク1300本超えの自他共に認める万年筆インクコレクターである武田さん。万年筆とインクを中心に、文具にまつわるお話を連載していただきます。

手の中にプレシャスな輝きを…

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万年筆を日常的に使うようになって8年近く経つが、いまだにぼくは万年筆を手にするたびに、初めて万年筆で文字を書いた時のワクワクした気持ちを思い出す。

万年筆には、他の筆記具にはない、独特の魅力がある。
もちろん、ボールペンや鉛筆、シャープペンなどに比べると万年筆というのは、高価なものだし、それだけに敷居が高いと感じたり、扱いにくいのではないかと不安を覚えたりすることもあるだろう。しかし、万年筆を実際に使ってみると、そういう面も含めて、魅力的なんだということが良くわかる。

例えば、万年筆は他の筆記具に比べるとデザイン性が豊かだ。ラメが入っていたり、マーブル模様だったり、明るめの色もあれば、渋い感じの色の軸もある。さらに、樹脂、木軸、漆軸など、実に多様な素材で作られているのも万年筆の大きな特徴だ。
そして、そういったデザイン面の他に、まるで筆を持っているかのような筆致というのも万年筆の大きな魅力と言えるだろう。その万年筆に様々な色のインクを入れて文字を書くことができるというのも、特にぼくのような色彩フェチな人間にはたまらない。

とはいうものの、それまで万年筆を持ったことがない人が最初の万年筆を選ぶのはとても困難なことでもある。種類が多いだけに、どんな万年筆が自分に合うのかもわからないから、まずそこでつまずいてしまう人も多いだろう。

舶来の万年筆は日本の国産の万年筆に比べるとデザインも豊富だし、色鮮やかな軸が多いので、ついつい目がいってしまいがちだけれども、舶来の万年筆は、字幅が太めなものが多く、字画の多い日本語を書くのには不便だったり、サイズも大きめでなかなか自分の手に合わなかったりする場合もあるので、最初のうちは国産の万年筆を使うのが無難だろう。

では、その国産の万年筆の中でどんなものを選んだら良いのか。
国産の万年筆も様々なデザイン、価格帯のものが出ていて、それだけでも悩んでしまう人も少なくないはずだ。

ぼくが個人的にお勧めしたいのがペンハウスがセーラー万年筆とコラボレーションしたPent PRECIOUS AQUAMARINEだ。

まず、一番のポイントがその見た目。最初この万年筆を見たとき、ぼくはそのあまりの美しさに息を飲んでしまった。

薄いブルーの透明軸に大胆にちりばめられたラメがまず人目を惹く。そして、さらにピンクゴールドのトリム(クリップやキャップのリング、軸のリング部分のこと)が全体的に華やかな印象を上品にまとめている。

この万年筆はセーラー万年筆の中でも人気のプロフェショナルギアレアロというシリーズがベースになっている。このレアロの特徴のひとつに、軸の中央部分に設けられたインク窓がある。このインク窓から中に入っているインクを楽しむことができるのだ。容量がわかるだけでなく、中に入れるインクの色を楽しむこともできる。

インクの色によっては、はっきりと色が見えない場合もあるけれども、窓の淵などにインクがうっすらと透けて見える場合があり、文字を書いている時にそういった部分が目に入ってくると、それだけで、楽しい気持ちになる。

また、PRECIOUSはスケルトン軸なので、全体的にインクが透けて見えるのも面白い。吸入式なので、わざわざコンバーターやカートリッジを揃える必要なく、インクを直接吸入できるのもありがたい。ペン先に刻印された「Pent」のオリジナル刻印も、マニア心をくすぐる。

この万年筆は、単に眺めるだけではなく、ぜひ手に取って欲しい。自分の手の中に、ちょっとした小宇宙が広がる、そんな気持ちになるのだ。あるいは、薄いブルーの色が海のようにも見える。日差しを受けてキラキラと光っている海のかけらを自分の手中に収めることができるなんて、それだけでも気分が高まる。

PRECIOUSとは、「大事な」とか「貴重な」「高価な」という意味があるが、この万年筆は自分にとってまさに「大事な」一本になるに違いない。そして、その万年筆を持つと、何か自分の心の中に秘めた大切な想いを書き記したい気持ちになるのではないだろうか。

<関連リンク>
Pent×セーラー万年筆 プレシャス アクアマリン

この記事を書いた人

武田 健
武田 健
文具ライター、山田詠美研究家。雑誌『趣味の文具箱』にてインクのコラムを連載中。好きになるととことん追求しないと気が済まない性格。これまでに集めたインクは1300色を超える(2018年2月現在)。インクや万年筆の他に、香水、マステ、手ぬぐいなどにも興味がある。最近は落語、文楽、歌舞伎などの古典芸能にもはまりつつある。
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