世界の筆記具ペンハウス
雑誌「趣味の文具箱」連載でもお馴染みの文具ライター・武田健さんによる「読みもの」コンテンツ。総保有インク2000本超えの自他共に認める万年筆インクコレクターである武田さん。万年筆とインクを中心に、文具にまつわるお話を連載していただきます。

夜の砂漠に想いを馳せて ~ペリカン ブルーデューン 万年筆~

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「好きな色は何?」と聞かれたら、迷わず「青」と答える。それは子どもの頃からまったく変わっていない。一時、赤が好きなこともあったけれども、それでもやはり青の方が断然好きだ。

しかし、その青にもいろいろな種類の青がある。濃紺、ブルーブラック、空色、紺碧、緑がかったターコイズブルーなど。その青の豊富なグラデーションの中でもっとも好きなのがターコイズブルーなわけだけれども、もちろん、他の系統の青も大好きで、そういう色はとにかく見ているだけで心が躍る。

ペリカンだけでも、ぼくは青系の軸をついつい集めてしまう傾向にある。

ペリカン ブルーデューン 万年筆

だから、インクだけではなく、青系の万年筆を見ると、なんだかわくわくするし、手に入れたくなるのだ。しかし、やはりインクと違って、価格が価格なので、片っ端から青い万年筆を手に入れるわけにはいかない。(インク同様、青系の万年筆は他の色の万年筆よりも種類が多い気がするし)なので、どうしても、厳選しながら手に入れることになる。

もちろん、そうなるとターコイズブルーの万年筆が必然的に多くなってくるわけだけれども、もちろん、それ以外の青の万年筆にも惹かれてしまう。

万年筆をお迎えする際のぼくの心惹かれる2つのポイントをここでご紹介してみよう。

その1 ラメ入り

軸にラメが入っていると、それだけでぐっと心臓がわしづかみされる。大きめのラメも素敵だけど、最近特に好きなのが細かい砕いたようなラメだ。良く見ないとわからないくらいのラメ感は非常に神秘的だ。

その2 マーブル柄

マーブル模様の万年筆もぼくは好きだ。たった一本の軸なのに、マーブル柄が、様々な表情を見せてくれて、いろんな角度で楽しむことができる。そこがポイント。

もちろん、それ以外のぼくなりの「萌えポイント」というのはあるけれども、並べてみると、たいていの万年筆は上記のふたつのポイントのどちらか、あるいは両方を持ち合わせていることに気づく。

砂漠の夜空に想いを馳せて

さて、ここのところ、様々な魅力的な限定軸を立て続けに出しているペリカンから、またしてもぼくの心をがしっとつかんだ万年筆が発売された。それが「ブルーデューンM805」だ。

ペリカン ブルーデューン 万年筆

まず、目を惹くのがブルー軸の中に浮かぶ黒いマーブル模様だ。そのマーブルの入り方がまた実に神秘的。見ていると吸い込まれていくような錯覚に陥る。
少し大げさな言い方かもしれないけれども、宇宙の神秘を感じさせるような、そんな印象を受ける。

さらに、ぼくがこの万年筆が素晴らしいと思ったのが、細かいラメがあしらわれていること。これが、良くみないとわからないほどのラメなのである。
ラメがあるために、ブルーの部分がのっぺりとしなくて、立体感が生まれている。そこに魅力を感じるのである。

このブルーデューンが発売される前、あるお店の人に「どうやら以前発売されたグランプラスの青バージョンが出るらしい」という話を聞いて、いったいどんな軸模様なのだろうか?と思っていたのだが、確かに並べてみると、納得してしまうくらい両者の雰囲気は似ている。

ペリカン ブルーデューン 万年筆

さて、このBlue Duneのコンセプトは、その名前の通り、砂漠の夜空に浮かび上がる青い世界。ラメはまさに砂漠の砂の印象だし、マーブル模様も青い夜に漂う雲とか、砂丘の影を連想させる。

ペリカン ブルーデューン 万年筆

ペリカン ブルーデューン 万年筆

ペリカン ブルーデューン 万年筆

ぼくは何度か砂漠を体験している。学生時代に遊びに行ったエジプトでは、ピラミッドはまさに砂漠と都会の間にあったし、4年ほど前にパリに遊びに行く途中でトランジットでアブダビに泊まったのも砂漠を味わいたかったから。もちろん、どちらもほんの数時間の滞在だったので、砂漠を味わう、というほどではなかったけれども、それでも憧れだった砂漠で過ごした数時間はとても神秘的だったし、今でも深く心に残っている。

このブルーデューンを持っていると、それだけで、その時に感じた様々な感情が蘇ってくるのである。

色合わせを楽しむ

新しい万年筆を手に入れると、もうひとつ楽しみがある。それが、その万年筆にどのインクを吸わせるか、ということ。書いている間、ずっと視界に入っている万年筆の軸と、インクの色の相性というのはとても大切で、だからこそ軸とインクの組み合わせにもこだわりたいところ。

まず、このブルーデューンに合わせてみたのは、同じ青系統。選んだのは、同じくPelikanの宝石シリーズEdel SteinのTOPAZ。爽やかな青がブルーデューンの明るい青の部分とマッチして、気持ちよい筆致を楽しむことができる。

ペリカン ブルーデューン 万年筆

次にぼくが選んだのは、敢えてまったく違う色。同じくEdel Steinの今年の限定色であるSTAR RUBY。青い軸から赤系の色?と思ってしまう人もいるかもしれないけれども、そのギャップを楽しむというのも、万年筆ならではなの楽しみ方なのではないかと思うのだ。

ペリカン ブルーデューン 万年筆

様々な表情を持つペリカンのブルーデューンは、これからのぼくたちの日常生活にほんの少しの神秘性をもたらしてくれる、そんな気がする。

 
<この記事に登場する万年筆>
ペリカン 万年筆 特別生産品 スーベレーン805 ブルーデューン M805

この記事を書いた人

武田 健
武田 健
文具ライター、山田詠美研究家。雑誌『趣味の文具箱』にてインクのコラムを連載中。好きになるととことん追求しないと気が済まない性格。これまでに集めたインクは2000色を超える(2018年10月現在)。インクや万年筆の他に、香水、マステ、手ぬぐいなどにも興味がある。最近は落語、文楽、歌舞伎などの古典芸能にもはまりつつある。
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