
2025年も、残すところあと少しになりました。プロ野球では阪神タイガースの大躍進や大谷翔平の二刀流復活など、日本中を熱くする話題で盛り上がりました。
文房具の業界でも、すっかり定番になった祭典「文具女子博」をはじめ、各地で開催された「ペンショー」や「システム手帳」のイベントなど、様々な催事が開催されて、文房具ファンにとっても熱い一年だったと思います。
ライターという仕事をしているおかげで、いろんなメーカーさんの展示会やイベント取材を通じて、たくさんの文房具に出会う機会に恵まれました。とはいっても、発売されているすべての文房具に触れて使うのには限界がありますが、「実際に使ってみて本当に良かった」という文房具?を今年もまとめてみました。
書店の店頭に並ぶ、文房具特集の雑誌に掲載されているものとは、ひと味異なる(クセのある)セレクトを楽しんでもらえればと思います。
ウィンチェスター(fILOFAX)
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1921年イギリスで生まれたfILOFAX(ファイロファックス)は、6穴バイブルサイズのシステム手帳の原点ともいえるもので「ファイロファックスウィンチェスター」は、そのオリジナルをベースに復刻したモデルです。
ボクはこれまで”旅行文房具”として、デザインフィル「PLOTTER」のようなリング径が小さくスリム&コンパクトなシステム手帳を中心に活用してきましたが、今回はシステム手帳を使いはじめてからずっと憧れだった「ファイロファックスウィンチェスター」が復刻されたとあって、つい手を出してしまいました。
実際に使ってみて、「ファイロファックスウィンチェスター」をひとつのツールボックスとして捉えてみると、23mm径の大型リングには様々なリフィルやツールを挟み込めて、メモはもちろん、ジッパーリフィルなどを使って常備薬やカメラのメモリカードなどもこの中にまとめられました。その結果、このシステム手帳だけを片手に日帰り旅行が楽しめるほどです。
小型・軽量のコンセプトは譲れませんが、トータル的に小さくて軽くなるのであれば、この選択は正解だったと実感できる「ファイロファックスウィンチェスター」は、旅に新しい可能性を教えてくれました。
写真は、神戸ナガサワ文具センターオリジナルのストーンカラーモデルですが、リング径の大きなシステム手帳であれば、同様の楽しみ方ができるはずです。
リフィルメーカー3.5(カール事務機)
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バイブルサイズのシステム手帳よりちょっと小さな”マイクロ5(以下M5)”と”mini6(以下ミニ6)”ユーザーが待ち望んでいた製品が、カール事務器から発売されました。
これ1台で2つのサイズのシステム手帳に対応する「リフィルメーカー3.5」は、開発から販売まで、実に5年を要したと聞きました。ボクも即購入するつもりだったのですが、発売当初から品薄状態で、今回カール事務器様にお願いしてサンプルを1台お借りして、今回の記事に間に合いました。(12月無事に購入できました)
バイブルサイズと比べてM5、ミニ6はリフィルの種類が少ないのですが、これさえあれば、オリジナルリフィルを自由につくれます。また、お気に入りの用紙を選べるなど、想像力の数に比例して可能性が広がります。
たとえば、旅行の予定表や印刷した地図などを、システム手帳のサイズに合わせて穴をあけるだけで”旅のしおり”的なものをリフィル化できる点も魅力で、まさにシステム手帳ユーザーには必帯のアイテムと呼べるのが、この「リフィルメーカー3.5」です。
プニュ スパイラル(クツワ)
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クツワ株式会社の「プニュスパイラル」。2025年のヒット文房具として、雑誌でも紹介されているので、ご存知の方も多いはずです。
定番ともいえるペンシルグリップ(補助具)のカテゴリーに分類される文房具ですが、今年なぜ、大ヒットしたのか、実際に使ってみてよくわかりました。
従来の補助具は、JIS規格に定められている鉛筆の直径”8mm以下”に合わせて作られていたために、ほぼ鉛筆専用といえる仕様になっていて、鉛筆を削るたびにペンシルグリップを外すか位置を変える必要があって、ちょっと面倒な側面がありました。
その不便さを改良した「プニュスパイラル」は、取り外しも容易で、使える筆記具の自由度も高く最大経13mmとちょっと太軸なものまで使えます。
ボクの場合、鉛筆はもちろんですが、Apple pencilなどのデバイスにも活用しています。
文具にこだわる人のジップペンケース(&Liebe)
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万年筆愛好家にとって万年筆の持ち運びはもっとも気を使う点のひとつで、ペンケースを選ぶ時には、皆さんお悩みのことだと思います。
今年、ボクが選んだのは「&Liebe(アンドリーベ)」が手がける「文具にこだわる人のジップペンケース」という、ちょっと長い名前のペンケースです。
ネットで、はじめてこちらのプロダクト知って「なにこれ?ちょっとかっこいいじゃない」と、申し込んだら、すごい人気商品で、手元に届くまで約2ヶ月かかりました。
機能は、万年筆や太軸の筆記具は独立したポケットで1本1本大切に保護されて、クリップ部分にはフラップが設けられているので、反対側の筆記具には干渉しない(傷がつきにくい)仕様になっているのが嬉しいポイント!
対になるポケットには筆記具を収める深いポケットと浅めのポケットの二重構造になっていて、替え芯や消しゴムなどのツールも収められます。
旅行の際にも、これひとつを鞄に放り込んでおけば、愛用の筆記具を安心と一緒に携帯できる心強いペンケースになってくれます。
アートマルチエイト(ぺんてる)
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ぺんてるのマルチエイトは1本に8本分のカラー芯を搭載した筆記具で、1987年の発売以来長く愛されている定番のアイテムですが、2024年年末にアートに特化した「アートマルチエイト」が登場しました。
全身スケルトンボディはこの「アートマルチエイト」だけで、既存のマルチエイトシリーズ(マルチエイト・スーパーマルチエイト)には、中に収めている芯の種類が本体にプリントされていて、15種類もある芯を替えても表示は変えることができません。その点アートマルチエイトははじめから表示がないので、表示を気にすることなく自由に好きなカラー芯を入れられます。
絵を描くために持ち歩くのなら、標準セットに含まれているカラー芯の他にリフィルとして販売されているカラー芯と入れ替えたり、一般的な筆記にも使えるようにボールペン芯(黒・赤・青)と入れ替えたりと自由にセレクトできるので、持ち歩く筆記具を少なくしたい人には、絶対使って欲しい筆記具です。
uniball ZENTO(三菱鉛筆)
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油性ボールペンの不動の王者ジェットストリームを有する三菱鉛筆から満を持して登場したのが、”ゼントインク”を搭載した「ユニボールZENTO(ゼント)」です。
筆記時、指にあたるグリップ部分を広くカバーした”ロングラバーグリップ”を採用、握りやすく安定した書き心地を提供してくます。
「ユニボールZENTO」の登場で、油性=ジェットストリーム、ゲルインク=ユニボールONE、についで、水性ボールペンという、現在の3代インクを搭載したボールペンのラインナップが三菱鉛筆に揃いました。
これまでユニボールONEを使ってきたボクですが、実のところインクの艶以外の大きな違いを見つけきれませんでした、でもZENTOの”ロングラバーグリップ”の握り心地が気に入って、今回のラインナップに加えました。
スタンダードモデルなら価格も250円(税抜き)とお手頃なので、三菱鉛筆が新開発した”ゼントインク”と“ロングラバークリップ”を体験してみたい方はぜひ試して欲しいと思います。
| ペンハウスでのお取り扱いモデルは「シグニチャー」「フロー」の2種類となっております。 (2025/12/10 現在) |
番外:ナッツケース(STORIO)
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以前、記事を書かせていただいた、”木の曲げ”の技術で作られたペンケースのメーカーSTORIO(ストーリオ)の新しいプロダクト「STORIOナッツケース」を、今年東京で開催されたイベント会場で見つけました。
ボクのコンセプトである「小さく・軽く」は、若い頃に山登りをしていた時に身につけたスキルで、数百グラム違うだけで身体にかかる負担が変わり、大げさかもしれませんが、山では命に関わったりするケースもあります。
山では軽さと同時に行動食についても学び、行動食としてナッツは必需品でもありました。そんなナッツと軽量さ(約50g)を備えたSTORIO「ナッツケース」は、旅行のお供に外せない存在になりました。
STORIO「ナッツケース」を使うと、移動中に中身が割れたり欠けたりすることが、ほとんどなくなっただけでなく、ホテルの客室や移動中の列車の中がまるでラウンジバーの様な雰囲気に変わります。上質な文房具と一緒に持ち歩くと、とてもいい相棒になってくれました。
万年筆ケースを紹介した記事はこちら
まとめ

近年、物価の高騰でいろんな物の値段が高くなる傾向にありますが、それでも日本の文房具・筆記具はまだまだ価格以上の価値やスペックを備えています。
ボク個人の感想ですが、ライターとして、またひとりの文房具ファンとして、この1年をふり返ってみて、やはり楽しい1年だったと感じています。
来年はどんな新しい文房具が登場するのか?また、私たちにどんなライフスタイルを提供してくるのか?を想像すると、楽しみは尽きません。
今年2025年も、お付き合いいただき本当にありがとうございました。
この記事を書いた人

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文具ライター、システム手帳から綴じノートまで複数の手帳を使い分ける、手帳歴40年のマルチユーザー。
「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイドブック」などの文具雑誌や書籍をはじめ、旅行ライターとしても執筆活動を行い、文具と旅の親和性を追い求める事をライフワークとしている。
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