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紙と万年筆

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紙と万年筆

2014年に台湾で開催された手帳イベントに招かれて、現地の手帳ユーザーと交流したときのお話しです。

当時モレスキンノートブックの使い方などを雑誌や書籍に記事を書いていたこともあり、イベントでは日本から来た「モレスキン講師」(中国ではゲストを講師とか先生と表記するらしいです)という肩書きで紹介されたところ、現地の手帳ユーザーから「台湾ではモレスキンノートブックは最近あまり支持されていません、なぜなら万年筆との相性があまり良くないからです」と聞かされたことを今でもおぼえています。

ちょうどこの頃にパイロットコーポレーションから1本1000円(税込で1100円)で購入できるKAKUNO(カクノ)が発売になり、中高生のお小遣いでも手が届く価格の万年筆として大ヒット、手帳と万年筆を組み合わせて使うユーザーが増えたこともあり、ノートブックのスペックへの期待が上昇してか?高級ノートブック=高級紙を使った高価な手帳=つまり万能=だから当然万年筆の筆記もOKでしょ!といった、風潮が少なからずできあがっていったのかもしれません。

誤解を招くといけないので補足すると、モレスキンノートブックをはじめ、万年筆と相性が良くないと言われるノートブックも決して紙質が劣る訳ではなく、製本や装丁に優れて、ボールペンでの筆記がすこぶる心地良いなどのメリットを備えている高級ノートブックも多くあります。

ところが近年になって、紙にこだわる万年筆ユーザーの声がメーカーの耳に届いたのか?「万年筆の筆記に最適な用紙を使ったノートブック」を謳う製品が次々と登場しはじめました。

あるメーカーさんにお話しを伺ったところ、「万年筆でしっかり書ける用紙を使ったノートが欲しいという要望は年々高まってきて、ユーザーさんの期待に応えるノートブックを作っています」との答えが返ってきました。

「紙に質を求める」そんな時代のニーズを反映した、万年筆での筆記がより楽しくなるノートブックを集めてみました。

LIFE株式会社

ノーブルノート

ノーブルノート

LIFEオリジナルpaperを採用した、裏抜けしにくいノートブック。
https://www.pen-house.net/item/12028.html

神戸派計画(大和出版印刷株式会社)

Recto

Recto

罫線は「グレー」で印刷しているので、筆記の際のノイズにならない工夫がされたノートブック。
https://www.pen-house.net/item/35801.html

ロイヒトトゥルム1917

ロイヒトトゥルム ノートブック

ロイヒトトゥルム ノートブック

カラーバリエーションも豊富で、バレットジャールの公式ノートにも選ばれた機能と実力と兼ね備えたノートブックは万年筆との相性も良く、ファン急増中です。
https://www.pen-house.net/item/43231.html

デザインフィル

ミドリMDノート

ミドリMDノート

ミドリのダイアリーに使われてきた、「書くコト」にこだわったMD用紙を採用したMDノートは万年筆に負けない強いノートブックです。
https://www.pen-house.net/item/13785.html

1000円万年筆KAKUNOのヒットや、台湾のブランドTWSBIといったリーズナブルなモデルが登場しはじめたといっても、一般的に「万年筆」はまだまだ高級筆記具のカテゴリで、日常の筆記具として認識されていませんが、各手帳メーカーが万年筆ユーザーのために新しいノートブックを生み出してくれる近年のこの状況は嬉しい流れです。

さらに万年筆でただ単に筆記できるのではなく、書き心地まで考えられた「紙」を使った製品も市場へ出始めています。

「万年筆」「カラーインク」が沼とよばれる現象を起こし、その流れはいよいよ「紙」へと向かい始めました、さて私たち万年筆ファンはこれから何処へと流れ着くのか?

お楽しみのゴールはまだ見えそうもありません。

この記事を書いた人

出雲義和
出雲義和
文具ライター、システム手帳から綴じノートまで複数の手帳を使い分ける、手帳歴40年のマルチユーザー。
「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイドブック」などの文具雑誌や書籍をはじめ、旅行ライターとしても執筆活動を行い、文具と旅の親和性を追い求める事をライフワークとしている。
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