
今年2025年で8回目を迎える「東京インターナショナルペンショー」が、東京都立産業貿易センター浜松町館にて、11月1日から3日まで開催され、会期中の3日間で約3500人の来場者を集めました。今回、初めての試みとして70歳以上の方を最終日に無料招待したところ、お孫さんと一緒に会場に来られる方の姿も見られました。
そんな、東京インターナショナルペンショー2025(東京ペンショー)の会場から、ほんの一部ですが、気になったブース、見つけた筆記具を紹介してまいります。
ぶんぐぼっくす亭(BUNG BOX)
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東京神保町にあるBUNG BOXのブースでは、今年の東京ペンショーのテーマ「ペンギンファミリーのクッキングパーティ」にちなんで、美味しい料理に見立てた文具で来場者へおもてなし。
高級料亭をイメージして作られた「蒲焼き万年筆」は、見ているだけであのタレの香ばしいかおりが漂ってきそうです。合わせて料亭風の「ぶんぐぼっくす亭」木製看板も今回のために作られたそうです。
山本紙業株式会社
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新製品「BULLET JOTTER」は携帯性に優れ、180°見開きに広げられる、リフィル交換可能な手帳システムです。手帳を挟む本体は、芯部1.5mm厚(周囲最大約2.5mm厚)のハードボード仕様の設計で、立った姿勢で書くことを想定しているので、まるで小さなテーブルの上で筆記しているような使いやすさを実現しています。
左右にセットされたリフィル(初回はソリストとひつじ雲便箋のリフィルが付属)は、用途やコンテンツ毎に使い分けられて、思考の整理に最適です。
このリフィルはシステム手帳のバイブルサイズと同じなので、使用後にパンチで穴を開ければ、そのままファイリングができるのも魅力です。
TAKEO PAPER PRODUCTS
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TAKEO PAPER PRODUCTS(株式会社竹尾)は、高級印刷用紙ファインペーパーをはじめ、多種多様の紙を取り扱う老舗の専門商社として知られています。
今回がはじめての出展で、現在では廃盤になった貴重な紙をつかったノートやリフィルなど、紙好きなユーザーの心躍るアイテムが並びます。
また人気の「オニオンペーパー」は、TAKEO PAPER PRODUCTのオリジナル用紙で、文字通りタマネギの皮のような質感で独特の書き心地が楽しめる用紙です。
この「オニオンペーパー」を使ったシステム手帳バイブルサイズリフィルが2024年に、2025年にはmini6サイズが加わり、システム手帳ユーザーに紙を選ぶ楽しさを提供しています。
KNOX
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Designphilの人気革製品のブランド「KNOX」が東京ペンショーに初参戦。
今回のペンショーのため、特別に用意されたシステム手帳「オーセン・コードバン」は、革のダイヤモンドと呼ばれるコードバン革を使った上質な仕上がりと、驚くほどの軽さが魅力です。
今年の6月の販売では抽選制だったものが、今回はこちらのブースで購入できるとあって、開場と同時にたくさんのファンが詰めかけていました。また、オリジナルリフィルにはオーセンをデザインしたワンポイントが描かれていて、お気に入りのシステム手帳と合わせて使いたくなるアイテムになっています。
ガラス工房aun(あうん)
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倉敷に工房を構えるガラス工房aunは、現在のガラスペン人気を牽引するブランドです。
ガラス工房aunのガラスペンは、美しさだけではなく、顕微鏡を使ってペン先の調整をおこなうなど、高い技術力に裏打ちされた実力も備えています。
写真の「ストームグラスペン マーブルライトパープル」は、気温が下がり始めると、液体の中に美しい結晶が現れる芸術的なガラスペンで、季節の移ろいをそっと感じさせてくれる1本です。
今回の「東京インターナショナルペンショー」では、Webで事前申し込み制を導入するほどの人気ぶりでした。
川西硝子
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川西硝子は「手書きの楽しさをすべての人に」を、コンセプトに独創的なデザインと書き心地のいいガラスペンを提供しているブランドです。
毎年11月に開催される「東京ペンショー」では、秋をカラーテーマにしたモデルを中心に販売してきましたが、今年はひと足早く冬をイメージさせる「白」を基調にしたモデル「稜線」「流線」「旋」「矢絣」他を投入、会場に訪れた人を美しいガラスペンの世界へと誘います。
工房楔(せつ)
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オリジナルの木軸筆記具は、若い世代を中心に人気を集めて、来場者の平均年齢を下げる要因のひとつを作っているのがこちらです。
今回出品の「カスタムグリップ」は、それぞれ風合いが異なり、無機質な樹脂製の筆記具をカスタマイズするアイテムで、街の文具店で市販されている「ジェットストリーム4+1」「フリクション4」に対応、ポピュラーな筆記具を一気に高級筆記へと進化させるツールです。
Craft A
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木軸やアクリル樹脂などの素材を使ったシャープペンシルやボールペンなどの筆記具で、人気を集めるcraftAは、定番のモデルの他に、常に新しいプロダクトの開発に余念がありません。
実は、今年の夏にあるイベント会場でお会いしたときに、「今こんなものを作っているんだけど」と見せていただいたプロトモデルがついに完成して、東京ペンショーに登場しました。
新モデル「ツイスト式ショートボールペン」には、本カリン、ローズウッドなどの素材を使ったオリジナルのペンですが、システム手帳のトレンドにもなっているM5(えむご)サイズにピッタリで、システム手帳ユーザーを意識したモデルになっています。またパーカータイプとも呼ばれるG-2規格の替え芯に対応していて、汎用性にも配慮した設計もユーザーには嬉しい仕様です。
DRILLOG
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岐阜県で精密機器の製造に携わる有限会社シオンが独自の技術で生み出した「DRILLOG(ドリログ)」は金属ペン先を採用したつけペンで、安心安全に持ち歩くことを可能にしました。今回はチタン製のペン先に長原幸夫氏が監修したチート級の筆記幅をもたらす「KODACHI」が新登場。
根元は1.2mm、先端は0.5mmというヒゲのように伸びたペン先から金属製とは思えない、まるで毛筆筆記のような字幅が繰り出せます。
さぞかし、緻密な打合せから作られたモデルかと思ったら、有限会社シオンの山田社長と長原幸夫さんがお酒を飲みながら生まれた企画だとか?
東京ペンショーは、出展者とのコミュケーションも楽しめて、こんな裏話を聞ける場でもあります。
ナガサワ文具センター
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2007年に発売された、ナガサワ文具センターオリジナル万年筆インク「神戸インク物語」は、文具業界にインクブームを巻き起こし、その人気は海外にまで広がっています。
会場に並んだオリジナル万年筆「天日」は、マレーシアペンショー、台南ペンショーなど世界のペンショー会場を経て、いよいよ日本に上陸。天日=太陽をイメージしたモデルで、イエローカラーのボディに輝く太陽をラメで表現した、持っているだけで元気が湧いてくる万年筆ですが、ナガサワ文具センターの店頭での販売はなく、各地のペンショー会場でのみ販売される特別な1本です。
また、今回のテーマに合わせたオリジナルインク「きのこのクリームパスタインク」は、見ているだけで食欲をそそるインクですが、こちらも会場のみの販売となっていました。
世界の筆記具ペンハウス
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「世界の筆記具ペンハウス」で人気のオリジナルインク「銀河鉄道の夜」が、ラメ入りインクとして登場、ラメの輝きがジョバンニが見た車窓の風景を思い起こさせてくれます。その人気ぶりは会期中に予定数を完売するほどでした。
合わせて出品された、「万年筆のお布団」は、松本市(長野県)の藍染め職人の手で染められた素地を使い、大切な万年筆を1本1本しっかり守ってくれるほか、自宅に帰れば”枕”をそえる仕様になっていて、日本の伝統と発想のユニークさがフュージョンした、なんとも心憎いペンケースです。
文具愛好家の考察

回を重ねる毎に、出展者も来場者も増えている「東京インターナショナルペンショー」は、その名の通り、日本だけでなく、欧米各国からの来場者も集まる国際色豊かなペンショーとして、世界の万年筆ファンから認知されるようになりました。
また、今年は中高校生らしき若い世代の来場者も目立ち、様々な層からも注目を集めていることが実感できます。
会場では、日本を代表するブランドや小売店、クリエイター作品がこれほどまでに勢揃いすることは珍しく、ここへ来れば全国の有名店の魅力に触れられるので、入場料を支払ってでも十分すぎる価値があります。
ただし、各ブースにすべてのプロダクトが並んでいる訳ではないので、会場で気に入った文具店を見つけたら、次はぜひそのお店まで足を運んでみて欲しいと思います。
素敵な文房具店巡りを楽しむのは、いまでは立派な旅のコンテンツにもなっています。
この記事を書いた人

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文具ライター、システム手帳から綴じノートまで複数の手帳を使い分ける、手帳歴40年のマルチユーザー。
「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイドブック」などの文具雑誌や書籍をはじめ、旅行ライターとしても執筆活動を行い、文具と旅の親和性を追い求める事をライフワークとしている。
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