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文具好きの小部屋

2023年をふり返る文房具の総まとめ

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 この記事が公開されている頃は、すでに12月の半ばで、お仕事の方は年末進行のまっただ中、慌ただしい日々をお過ごしのことと思います。
そんな、2023年に開催されたイベントや展示会の取材を通じて、今年話題になった文房具を中心に、あらためてその良さが再発見された文房具を、キーワードにまとめて紹介いたします。

エコ文具

 SDGsという言葉がすっかり社会になじんだ2023年、様々な業界でその取り組みがニュースで紹介されていますが、文房具の業界でもそういった社会のニーズを反映した製品が登場しました。

三菱鉛筆株式会社 シャープ替芯「uni 詰替用」「uni メタルケース」

 2023年に発売されたシャープ替芯「uni 詰替用」は、従来の使い捨てのプラスティックケースへ詰め替えて使用するためのもので、紙製(段ボール)ケースに市販の替え芯が約4ケース分に相当する替え芯が入った、サステナブルなパッケージで話題を集めました。

空になったシャープ芯のケースに移し替えて使えるほかに、同じく今年発売になった「uni メタルケース」と合わせることで、よりスタイリッシュに「替芯」を持ち運ぶ事ができます。エコのために個性を我慢するのではなく、積極的に使うことでかっこよさを楽しみながら、プラスティックゴミを削減することにも繋がる、これから業界標準になって欲しいと思えるプロダクトです。

三菱鉛筆株式会社「JETSTREAM×Karimoku 4&1」

  上質な暮らしを彩るさまざまな家具づくりを行う、木製家具メーカーのカリモク家具株式会社と三菱鉛筆株式会社が、家具の製造過程で生まれる端材(はざい)をグリップに採用したモデルが、2023年11月に発売された「JETSTREAM×Karimoku 4&1」です。
ジェットストリーム特有の滑らかな書き味はそのままに、ペンをホールドしたとき、木製グリップの自然な温もりが指先から伝わってきます。
文具メーカーが単独ではなく、他業種とタッグを組んで現代社会が抱えるに問題に正面から取り組み、両社の培ってきた技術やこだわりを活かしたプロダクトは「uni芯詰替用」「uniメタルケース」同様に、2023年を象徴する文房具といえます。

ヤマト株式会社「アラビックヤマト補充用パック」

 

 家庭や会社の事務所には必ずあるといっても過言ではない、文房具の定番「アラビックヤマト糊」。使用頻度の高い職場だと大容量400mlの詰め替えボトル「アラビックヤマト補充用NA960」が備品として用意されているところもあるかと思いますが、エコに繋がるとわかっていても家庭では大きすぎて置く場所に困ってしまいます、そんな家庭で手軽に補充(詰め替え)ができる「アラビックヤマト補充用パック」130ml入りが発売になりました。
洗剤やシャンプーの補充パックを小さくしたボディは、同様にマチがあり自立することができ収納しやすいメリットがあるほか、大きな「補充用ボトルNA960」と比較してプラスティックを77%削減(100ml当たり)することに成功しました。
ある洗剤メーカーさんに取材させてもらった時に、容器をコンパクトにたためるだけでも輸送コストが大きく削減できるとのことで、プラスティックの使用量を減らすだけでなく、小さく軽くすることもエコに繋がる取り組みといえます。

システム手帳

LETS STATIONERY GOODS「LETSクリアシステム手帳」

 近年、システム手帳が新しい世代を巻き込んで、再び盛り上がりを見せる中、既存製品にはない新しいコンセプトで注目を集めているのが「LETS STATIONERY GOODS」です。全身がスケルトンで360°死角のない本体は、これまでにはない「中身を魅せる」システム手帳として新しいファンを獲得しています。
近年「推し活」と呼ばれる、自分のお気に入りのアーチストやアイドルにキャラクターなどの写真やグッズを常に見える位置に置くことでモチベーションをアップさせる効用がある?といわれています。
「推し活」だけではなく、乗車券やコンサートなどチケットを見える位置に置くことで忘れ物を防ぐ効果もあり、最近ちょっと物忘れが…という世代の人にも安心を与えてくれる「LETSクリアシステム手帳」です。

システム手帳リフィル

 システム手帳人気を支えているのは、魅力的なバインダーだけではありません。
ノートとして、スケジュールの管理やメモ機能など多彩なリフィルの存在も見逃せません。
情報を管理するためのフォーマットや視認性に優れた用紙に、気持ちを持ち上げてくれるユニークなデザインも新旧のユーザーを楽しませてくれています。

sla craft(スラクラフト)「Cafe Refill」

 スターバックスコーヒーなどオシャレなカフェで手帳タイムを楽しむユーザーにピッタリのリフィルがsla craftの「Cafe Refill」です。

カフェにまつわるメニューやアイコンをデザインしたユニークな「Cafe Refill」は、リフィル用紙に印刷されている小さなドットを拡大してみると、ケーキーやコーヒー豆などがドットイラストで構成されていて、見えそうで見えないところに、こだわりを感じさせる遊び心いっぱいの新感覚リフィルです。

吉川紙商事株式会社「NEUEGRAY(ノイエグレー)」

 創業100年を越える老舗紙メーカーの吉川紙商事株式会社が作ったNEUEGRAYは新しいグレーをコンセプトに開発されたグレーカラーの用紙です。
LEDなど明るい照明機器が中心になった職場や家庭で使った場合、白い紙の反射率は約90%なのに対してグレー系では20%~30%と、反射光のまぶしさを感じにくい、目にも優しい「NEUEGRAY」は万年筆の筆記にもしっかり対応した良質の用紙です。
無地・方眼罫・横罫線とオーソドックスなタイプが、隙のないラインナップで揃います。

金属鉛筆

 金属鉛筆自体は、けっこう古くからあって10数年前に筆者も購入したことがあります。
難しい理論はわかりませんが、酸化メタルの化学反応で紙に筆跡と記す筆記具だったと記憶しています。しかし、あまり実用的とは言えず一般に普及するまでに至りませんでした。

2022年にサンスター文具株式会社から発売された金属鉛筆(メーカーではメタルペンシルと表記)「metacil(メタシル)」は、黒鉛と金属を混ぜ合わせた特殊な芯を採用することで、鉛筆硬度でおよそ2H相当の濃さを再現、交換式のペン先はひとつで約16kmの筆記が可能なスペックに加えて、鉛筆と同じ六角形という馴染みのある形状で、過去の金属鉛筆を知らない世代にもおおいに受けいれられて、大ヒット商品になりました。
2023年11月「metacil」に、全長約120mmのショートサイズモデルが発売され、大人が持ち歩くペンケースにもすっと納める事ができるようになって、携帯性がぐっとアップしました。
「metacil」のヒットで、100円均一ショップでも同様のコンセプト商品が並ぶようになりましたが、本家?「metacil」の質感におよびません。
また、高級筆記具と呼べる金属鉛筆も登場、2022年にクラウドファンディングで成功を収めたドイツStilformの「StilformAEON」も、カーボンチップ芯を採用して、しっかりした書き味を楽しめるモデルとして、上質な金属鉛筆を求めるユーザーに人気を博しています。

文具愛好家の2023年まとめ

 2023年は、時代を反映したエコな製品から、これまでにないコンセプトから生まれたプロダクトなど、ユーザーをワクワクさせてくれる文房具が数多く登場しました。
また、既存の文房具が見直されて、システム手帳ではM5(マイクロ5穴)に続いてM6(ミニ6穴)の人気が高まり、新しい世代が新しい価値を見いだしています。
各メーカーでも、新しいユーザーのニーズに応えるために、幅の広いラインナップが展開したことでユーザー自身の選択肢が広がり、利便性だけでなく自らの個性を表現するためのツールとして文房具の進化がより顕著に現れたように思える2023年でした。
 2024年はどんな新しい文房具が登場するのかを、想像するだけで気持ちがワクワクして、年末の多忙さをしばし忘れさせてくれそうです。

文房具好きのみなさんにとって、新しい2024年がよりよい1年になりますように。

この記事を書いた人

出雲義和
出雲義和
文具ライター、システム手帳から綴じノートまで複数の手帳を使い分ける、手帳歴40年のマルチユーザー。
「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイドブック」などの文具雑誌や書籍をはじめ、旅行ライターとしても執筆活動を行い、文具と旅の親和性を追い求める事をライフワークとしている。
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