先週は、初心者向けの万年筆として、国産の万年筆をご紹介したが、今回は外国産の万年筆の中で、特に初心者の方にお勧めしたいものをご紹介していきたいと思う。
おおまかにいうと、国産の万年筆と外国産の万年筆の大きな違いは、ペン先にある。一般的にアルファベットを書く舶来の万年筆は、ペン先が太めのものが多い。一方、国産の万年筆は、漢字のような細かい文字を書くのに適しているため、ペン先は細めのものが多いのだ。
例えば、同じ細字のFであっても、国産ブランドと外国ブランドでは太さが全然違うこともあるので、その点を頭に入れて購入の目安にすると良いだろう。
ペリカン
万年筆のことをあまり知らない人でも、モンブランとペリカンは万年筆ブランドとして知られているようだ。そのペリカンからも初心者向けの万年筆が出ており、それがツイストと、ペリカーノジュニアというふたつのシリーズ。
ツイスト
ツイストは、軸がその名の通りねじれているのだが、そのねじれによって、書きやすい構造になっている。つまり、そのねじれがあるから、自然と指が軸にフィットするというわけなのだ。さらに、手指にぴったりとフィットするよう指の形に溝が作られた軸は、意識をしなくても、いつの間にか正しい万年筆の持ち方を覚えることができるようになっている。
さらに、このツイストシリーズは色がツートンカラーになっていて、非常にそこが魅力的。遊び心も満載だし、色展開も豊富なので、集める楽しみも味わえる。
ペリカーノジュニア
ドイツで子供向けに作られた「ペリカーノジュニア」も、ポップでカラフルな軸と、軽い素材、が特徴的だ。さらに万年筆の書き方を自然に覚えられるように設計されたグリップには、大小の穴があり、そのくぼみを意識して指を添えると、正しく万年筆を持てるようになる。
さらにこのペリカーノジュニアには、通常の右利き用と左利き用があるのも嬉しい。左利きだと文字の書き方が異なってくるので、右利き用の万年筆だと書きにくいという声もしばしば聞かれる。しかし、それをこの左利き用のペリカーノジュニアは見事に解決してくれるのである。
ラミー
前述のペリカンと同様、ドイツを代表する筆記具ブランドだ。デザイン性を重視した筆記具が多く、世界中に愛好家がおり、毎年限定発売される限定カラーの万年筆も人気だ。
初心者が買いやすい価格帯のシリーズが多いのも大きな特徴で、実はぼくも一番最初に購入した外国産の万年筆はラミーだった。
サファリ
その中でも特におすすめしたいのが、サファリというシリーズ。プラスチック製の軽い素材でありながらも、ペン先は滑らかで書き心地はとても良い。さらに握る部分が指にフィットするように設計されており、初心者でもすっと持つことができる。ペリカンにしてもそうだが、こういうところが、ドイツのブランドらしいと思うのである。
また、とにかくカラーバリエーションが豊富なのも、サファリの大きな特徴だろう。毎年限定で出される色も話題があり、店頭でみかけると思わず手に取ってしまいたくなるほど。コレクションする楽しみ、書きやすさ、気軽に使える価格など、コストパフォーマンスのとても高いシリーズだ。
オンライン
こちらもドイツのブランド。他のメーカーと比べると、全体的に廉価な万年筆が多く、デザインもモダンで斬新なものが多いので、初心者にもおすすめだ。
スウィッチプラス
ぼくが特に気に入っているのがスウィッチプラスというシリーズ。まず、その形が実に都会的で洗練されている。そして、メタリックな材質と、この色に魅了された。
そして、ドイツのブランドらしく、初めて万年筆を使う人のことも考えて、これにも指を添えることができる溝が付いている。
オンラインは、色使いが他のメーカーとは大きく異なり、こういう独特の色味の軸が多いので、ついつい集めたい気持ちになるのである。
ツイスビー
台湾の比較的新しいブランドであるツイスビーも初心者にはお勧めだ。ツイスビーの大きな特徴として、吸引式であること。コンバーターやカートリッジを挿して使うのではなく、万年筆本体にインクのタンクが内蔵され、インクを直接本体に吸い込むことができるのだ。
ECO&ECO-T
中でも特にぼくが気に入っているのは、ECO、ECO-Tというシリーズ。両者の違いは、キャップと尻軸の形状の違いで、ECOは六角形、ECO-Tは三角形になっており、ECO-Tの方が持つだけで自然に正しく万年筆を持てるように設計されている。
このシリーズの面白いところは、書き味の良いペン先、様々なペン先の太さを選べること、そして購入してすぐに使うことができ、インクも大量に入れることができる吸入式という点。
また、キャップと尻軸の色もカラフルで、ラミーのサファリ同様、限定色などもあり、集める楽しみも味わうことができる万年筆だ。
カラフルでユニークな舶来万年筆を楽しもう!
国産だけではなく、海外の万年筆ブランドにも、このように色々な種類の万年筆が出ているので、ぜひ気になるシリーズがあったら、手に取ってもらいたい。
国産にはない色使いやデザインを楽しむことができるので、さらに万年筆ライフが楽しくなるに違いない。
この記事を書いた人
- 文具ライター、山田詠美研究家。雑誌『趣味の文具箱』にてインクのコラムを連載中。好きになるととことん追求しないと気が済まない性格。これまでに集めたインクは2000色を超える(2018年10月現在)。インクや万年筆の他に、香水、マステ、手ぬぐいなどにも興味がある。最近は落語、文楽、歌舞伎などの古典芸能にもはまりつつある。
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