コロナ禍以前、年間200万人以上の日本人が訪れる国台湾。
小籠包(ショウロンポウ)、魯肉飯(ルーローファン)、芒果冰(マングォビン)、愛玉(タピオカ)ドリンクなど、日本でも台湾の人気料理やスイーツを食べることができる料理店も増えて、わたしたちの生活にもすっかり浸透した食文化になりました。
台湾料理もさることながら、文房具の世界でもここ数年で台湾文具が日本でも人気を集めるようになりました。
優れたデザインと、コストパフォーマンスに加えて、既存の大手メーカーや老舗ブランドが思いつかないようなユニークなアイデアが盛り込まれたプロダクトで、広く支持を集めるまでに成長しています。
今回は、2021年10月に近鉄百貨店奈良店で開催された「台湾文具と日本の逸品」の会場で見つけた台湾と日本の逸品を紹介します。
会場の風景
会場でみつけた台湾の逸品
TWSBI(ツイスビー)
万年筆「TWSBI SWIPE(スワイプ)」
台湾文具の先駆けともいえる筆記具ブランド『TWSBI』は、デザイン・書き心地・価格とトータルパフォーマンスは、世界でもトップクラスといえます。
人気のハイエンドモデル「ダイヤモンドシリーズ」、万年筆入門に相応しい「エコシリーズ」につづいて2021年に発売された、今1番新しいモデル「SWIPE」は、TWSBIではじめてのスクリュー式コンバーターとカートリッジインクの両用式のモデルとして登場しました。
さらに、「TWSBI Go」で採用されたプッシュ式インク吸入方式(本体に内蔵したバネが元へ戻るチカラを利用してインクを吸い上げる機構)をコンバーターに組み込んだ、ユニークなインク吸入方式も同時に楽しめる「TWSBI SWIPE」はギミックが大好きなユーザーから初心者にもオススメできるモデルです。
IWI(アイ・ダブリュー・アイ)
万年筆「Civilization(シヴィライゼーション)」
TWSBIと並んで、近年文房具店の店頭でよくみかけるようになった筆記具のブランド『IWI』の「Civilizationシリーズ」も今人気の万年筆です。
古代文明や神話をイメージさせるネーミングからは太古の浪漫が感じられて、万年筆から漂うインテリジェンスな風格とよく似合います。
また、六角形の軸は鉛筆で育った私たちにとって馴染みがあり、握った瞬間に指にしっくりときます。さらに「BOCK社製」のスティールペン先は想像以上にしなやかで、まるで筆の様な筆記感を味わえるのも「Civilization」の大きな特徴です。
ANTOU(アントウ)
ボールペン「ボールペンC mini」
デザインに優れた台湾の文房具といえばクラウドファンディングで大成功を収めた『ANTOU』は外せません。
台湾の中部、台南にあるANTOU地区の発展のため、欧米でデザイナーとして活躍するイエン・チェン氏がANTOUプロジェクトに参加して誕生したのがANTOUブランドです。
なかでも人気は各社のボールペンのリフィル(替え芯)が使えるという特徴を備えた「ボールペンC」は、メーカーの規格を越えた野心的な筆記具として、多くの文房具ファンから注目と支持を集めました。
そして、2020年に発表されたニューモデル「ボールペンC mini」は、少し短く設計されて小柄な女性の手でもバランスの良い筆記ができるとあって、標準サイズの「ボールペンC」を越える人気商品となっています。
日本の逸品
硝子工房YUKI
ガラスペン「ふわりシリーズ」
昆虫をモチーフにした硝子作家ツノダユキさんが手掛けるガラスペン「ふわりシリーズ」。
独特のグリップデザインは、繊細なガラスペンをしっかりとホールドすることができて、筆記時の安定感に繋がり、スリムな軸は女性のしなやかな指にも優しくフィットします。
また、万年筆で言えば尻軸に当たる部分には昆虫の翔(はね)を美しく再現したのも大きな特徴です。
パッケージには、デスクの上でちょっとペンを休めるにも便利なペン置きが本体と同じカラーリングで付属しているのも、嬉しい内容です。
SlaCafe(スラカフェ)
システム手帳リフィル「カフェリフィル」
神戸市北鈴蘭台にある、やってみたいが「叶う」店をコンセプトに、カフェやレンタルスペースを提供するslacafeの「作る」を楽しむブランドslacraft(スラクラフト)のシステム手帳用「カフェリフィル」。
システム手帳のリフィルにありがちな白やクリーム色ではなく、カフェのメニューを連想させるカラーを採用し、それぞれの用紙にあるドットを拡大すると、「レモンスカッシュ」「ショートケーキ」「シャーベット」「コーヒーミル」がデザインされていて、文具好きカフェ店員がつくったリフィルに相応しい、超個性派の日本の逸品です。
今回の展示会に足を運んでみて、まだまだ知られていないメーカーや文房具がたくさんある事に気付かされました。
日本にやってきてまだ間もない台湾文具ですが、TWSBIなど、もともと欧米の老舗メーカーのOEMとして活躍してきた実績と経験、そして新なアイデアが盛り込まれたブランドですし、ANTOUの優れたデザインもまた日本の製品にはない魅力があります。
もちろん、日本の文房具は世界的に見てトップクラスの性能を誇りますが、台湾文具の登場で新しい価値観が生まれてくる、そんな期待を抱かせてくれる「台湾文具と日本の逸品」でした。
<この記事に登場する文具>
・TWSBI(ツイスビー) SWIPE (スワイプ) 万年筆
・IWI 万年筆 シヴィライゼーション
・ANTOU(アントウ) ボールペンC ミニ マルチアダプタブルペン
・Pent〈ペント〉 by 硝子工房YUKI ガラスペン ふわり
・sla craft(スラクラフト) システム手帳リフィル カフェリフィル
この記事を書いた人
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文具ライター、システム手帳から綴じノートまで複数の手帳を使い分ける、手帳歴40年のマルチユーザー。
「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイドブック」などの文具雑誌や書籍をはじめ、旅行ライターとしても執筆活動を行い、文具と旅の親和性を追い求める事をライフワークとしている。
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