フリクションボールって?
三菱鉛筆の「ジェットストリーム」や、ゼブラ株式会社の「サラサ」など文具が大好きな人にはおなじみの筆記具も、いまひとつ違いがわからないという一般的なひとにでも、パイロットコーポレーション(以下パイロット)の「フリクションボール」は「あぁ!インクが消えるボールペンね」と返ってくるほど認知度が高く、最近はさまざまなメディアで、このインクが消える不思議なボールペンが紹介されて、ますます身近な存在になっている筆記具です。
消えるインクのヒミツ
正確には、インクが消えるのではなく専用消しゴム(ラバー)で消したい文字をこする際に発生する「熱」によって透明になる特性のインクを開発・採用したが、このフリクションボールのヒミツです。
インクが透明化するには約60°以上の温度が必要で、逆に低温下(約氷点下20°以下)では、ふたたびインクが元の色を取り戻します。
試しに「フリクションボール」で書いたメモをドライヤーの温風にあてて消したあと、冷蔵庫の冷凍室にいれると、あら不思議!?消えた文字がちゃんと復活するので、子どもと一緒に自由研究の題材にしても面白いです。
消せるボールペンフリクションボールのデメリット
さて、そんな国民的人気を集める「フリクションボール」にも、ユーザーが不満をおぼえるデメリットが存在します。
おそらく、多くの読者が感じているのは、「消せる」が故のデメリットでしょう。
ビジネスマンなら契約書や経理関係の書類にはNG、役所などに提出する公的な文書には「消せるインクの使用はできません」という但し書きが記載されていて、1本あれば大丈夫という筆記具ではないのが、ひとつめのデメリットです。
そして、もうひとつは発売当初からささやかれていた、他のボールペンと比較してインクが薄いということ。
近年、くっきりはっきりインクの濃さが売りのボールペンも登場する中、ユーザーが求めているインクの濃さには、まだ届いていない点があげられ、使用に際しては、これらのことを踏まえておく必要があります。
消せるボールペンフリクションボールのメリット
といっても、シリーズ累計販売数30億本の実績は、上記のデメリットをはねのけ多くのユーザーから支持されている証明です。
書き間違えてしまった時など、あとから消して書き直しができるのは既存のボールペンにはできなかった芸当にくわえて、水性インク特有のサラッとした滑らかな書き心地は「フリクションボール」の大きなメリットです。
書き直しができるというのならば鉛筆(シャープペンシル)でもいいじゃない!?という意見もありますが、近年カフェで勉強する学生も多く、消しカスゴミが出てしまうのは、いただけません。
「文字が消えるのは困る」と不安をおぼえるひともいますが、フリクションインクが透明になるために必要な温度約60°以上を越える環境では、まず仕事はできませんし、日常生活も営めないでしょう。
余談になりますが、筆者が2010年にはじめて購入した「フリクションボール」を使って書き記した文字はいまでも健在で、自然にインクが消えてしまう心配もありません。
改良がすすむフリクションボール
「フリクションボール」のデメリットのひとつ「消せる」機能はフリクションボールが他の筆記具にない大きなアドバンテージなので、これを否定してはフリクションボールのアイディンティはなりたちませんが、「インクが薄い」という点については、発売当初からパイロットの研究チームがずっと取り組んできた課題で、2022年ひとつの到達点というべき「フリクションボールノックゾーン」が発売されました。
ゾーンテクノロジーと名付けられた新しい技術で、従来のインクよりも30%黒はより黒いインクにバージョンアップされました。
また、合わせてリフィルインクにも改良が加わりパイプを薄くすることで、インク容量を70%アップ、インクは濃くパイプは薄くという技術が、フリクションボールにさらなる進化を促しました。
文具好きの考察
フリクションボールのインクについては、これまでにも改良が加えられて、発売された当時から比べると、実用的には十分な濃さだと思っています。
2022年新しく“濃さ”を謳う「フリクションボールゾーン」が発売されたこと機に、改めて「フリクションボール」の良さを伝えたいと思いこの記事を執筆しました。(蛇足)
<この記事に登場する文具>
・パイロット フリクションボール
この記事を書いた人
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文具ライター、システム手帳から綴じノートまで複数の手帳を使い分ける、手帳歴40年のマルチユーザー。
「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイドブック」などの文具雑誌や書籍をはじめ、旅行ライターとしても執筆活動を行い、文具と旅の親和性を追い求める事をライフワークとしている。
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