世界の筆記具ペンハウス
雑誌「趣味の文具箱」連載でもお馴染みの文具ライター・武田健さんによる「読みもの」コンテンツ。総保有インク1300本超えの自他共に認める万年筆インクコレクターである武田さん。万年筆とインクを中心に、文具にまつわるお話を連載していただきます。

真夏に使いたい万年筆特集 第3弾「カヴェコ スカイラインスポーツ」

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万年筆に興味はあるけれども、敷居が高くて、なかなか持つ機会がない。そう思っている人は少なくないだろう。万年筆にはボールペンや鉛筆のように、気軽に持つことができない要素がたくさんあるのだ。
その一番はやはり値段であろう。最近では1000円以下で購入できる万年筆もいろいろと出てきたが、やはり、万年筆は高級品というイメージはいまだに根強い。

そして、その価格的なことも影響してか、万年筆は気軽に持ち歩くことができないという人もいるようだ。紛失や忘れ物、あるいは盗難といったことを考えると、多くの人は持ち歩くことを敬遠してしまう。
万年筆の多くは他の筆記具と比べると重厚なものも多いし、芸術性が高ければ高いほど、それだけ気軽に持つことができなくなってしまうという側面もある。

しかし、今日ご紹介する万年筆は、そんな万年筆に対するイメージを払拭してしまうくらいスポーティーで、なおかつおしゃれなシリーズだ。

カヴェコ スカイラインスポーツ

それは、カヴェコというドイツのブランドの万年筆。
その中でも、特にスカイラインスポーツと呼ばれるシリーズは、実にユニーク。そのスカイラインスポーツの特徴はまず、その小ささにある。名刺の長辺部分より少し長いくらいのコンパクトなサイズで大人の男性だったら、片手にすっぽりと収まってしまうくらいの長さ。これでは書きにくいのでは?と思う人もいるかもしれないが、心配無用。ボールペンやシャープペンなどは一体化されているが、万年筆やローラーボールだったら、キャップを外して、それを軸のお尻の部分に差し込むことによって、持つのに十分な長さを確保することができるのである。

カヴェコ スカイラインスポーツ

カヴェコ スカイラインスポーツ

天冠部分のカヴェコのシンボルマークや、軸の刻印なども実にファッショナブルで、おしゃれ感をさらにアップさせている。

カヴェコ スカイラインスポーツ

カヴェコ スカイラインスポーツ

材質もプラスチック製で非常に軽く、見た目もその名前の通りスポーティーでカジュアルなので、気負わずに持つことができるのもカヴェコの大きな魅力だ。しかし、それだけカジュアルだと、書き味が気になるところ。紙にひっかかったり、すぐにインクが詰まって書けなくなったりするのではないか?と心配になる人もいるだろう。だが、カヴェコのすごいところは、見た目に反して、書き味はとても良いのである。なめらかな筆致を味わうことができるし、インクのフローも楽しめる。また、軸を長くすることによって、持った時の安定性も増し、がしがし書くことができるのも良い。

プラスチック製のミニサイズの万年筆なので、例えば鞄のポケットの中に一本入れておくのも良いだろう。思い立った時にさっと取り出し、メモを取ることができるのも、カジュアルな万年筆ならではだ。

カヴェコ スカイラインスポーツ

ミニサイズのため、インクはヨーロッパタイプのミニカートリッジ専用となるが、数年前に専用のコンバーターが登場し、それによってボトルインクを入れることができるようになった。構造上、どうしてもカートリッジに比べるとインクの量は少なくなるが、ボトルインクをたくさん持っている人には嬉しい。また、このコンバーター、実は他のメーカーでミニタイプのカートリッジしか使うことができない万年筆、例えばデルタのビンテージシリーズ、あるいはヘリコのシュクルなどでも使うことがあるので、何本か用意しておくのも良いだろう。

カヴェコ スカイラインスポーツ

カヴェコ スカイラインスポーツ

リーズナブルだからこそできること、というのも多々ある。スカイラインスポーツはグレー、ピンク、ブラック、ホワイト、マキアート、ミントの6色展開だ。

今回ぼくがピックアップしたのは、夏にぴったりな、ミントとマキアート。
ミントは写真ではよくわからないかもしれないが、薄めの水色で、プラスチックの質感と相まって、とても涼し気だ。

カヴェコ スカイラインスポーツ

カヴェコ スカイラインスポーツ

そしてもう一本のマキアートも薄目の茶色で、これもあまり他の万年筆にはみかけない淡い色合いだ。

カヴェコ スカイラインスポーツ

カヴェコ スカイラインスポーツ

ぼくはミントにはカヴェコのターコイズ(注:写真のカートリッジは旧型のため、名前がparadise blueとなっている)、そしてマキアートにはセピア(注:写真のカートリッジは旧型のため、名前がcaramel brownとなっている)を入れてみた。インクと軸の色がとてもマッチしていてそれだけでテンションが高まる。

カヴェコ スカイラインスポーツ

これらを単に一本一本楽しむのも良いが、同じシリーズなので、軸とキャップを組み替えることができるのだ。
単純にボディとキャップを入れ替えるだけでも楽しいが、さらにペン先の部分も付け替えてみると、キャップをお尻にくっつけた時にバイカラーをより楽しむことができる。

カヴェコ スカイラインスポーツ

カヴェコ スカイラインスポーツ

では、さらにここにホワイトを組み合わせてみたらどうだろうか。
このスカイラインスポーツにもホワイトがあるが、ぼくが持っているのは、スカイラインシリーズではなく、ニブや刻印がゴールドのクラシックタイプ。それでも同型万年筆なので、まったく問題なく他のシリーズと組み替えが可能。

カヴェコ スカイラインスポーツ

カヴェコ スカイラインスポーツ

カヴェコ スカイラインスポーツ

かくして、ぼくの手元には
クラシック ホワイト
スカイラインスポーツ ミント
スカイラインスポーツ マキアート
がある。

カヴェコ スカイラインスポーツ

この3本を組み替えてみたらどうなるか…。
なんと3色展開なので、トリコロールで3本の万年筆が出来上がるのだ。

カヴェコ スカイラインスポーツ

カヴェコ スカイラインスポーツ

このように、カヴェコのスカイラインスポーツは本格的な万年筆でありながらも、カジュアルに楽しむことができるし、集める喜びを感じられる、そんなシリーズなのではないかと思う。

また、カヴェコは、ペン先を好みの字幅、素材のペン先に好感することができる【Kaweco】Professional Storeというサービスもあるので、書き味やニブにこだわりのある人はそういったサービスを利用するのも良いだろう。

【Kaweco】Professional Storeのご案内
https://www.pen-house.net/contents/html/tokushu/kaweco/index.html

さて、これは余談なのであるが、海外では、カヴェコの日本未発売の限定モデルが何本も作られている。ぼくが去年台湾で購入したのが、こちらの万年筆。
中華圏では様々なカヴェコの限定品が作られている。他の国でも限定カヴェコが出ているようなので、もし海外旅行などに行かれることがあったら、現地の文房具屋さんをのぞいてみるのも面白いだろう。

カヴェコ スカイラインスポーツ

お盆を過ぎ、少しだけ空気感も変わりつつあるが、まだまだ暑さは続きそうだ。外出する機会も増え、外で万年筆をがしがし使てみたいという人も多いだろう。そんな時には是非、このカヴェコのスカイラインスポーツシリーズを自分なりにアレンジして楽しんでもらいたいと思う。

カヴェコ スカイラインスポーツ

カヴェコ スカイラインスポーツ

<記事に登場する筆記具>
カヴェコ 万年筆 スカイライン スポーツ SSFP-MI ミント
カヴェコ 万年筆 スカイライン スポーツ SSFP-MA マキアート
カヴェコ 万年筆 クラシックスポーツ CSFP-WH ホワイト
カヴェコ インクカートリッジ 6本入り
カヴェコ ミニコンバーター2
・あたぼうステーショナリー ふたふで箋 碧翡翠、蔓葡萄

この記事を書いた人

武田 健
武田 健
文具ライター、山田詠美研究家。雑誌『趣味の文具箱』にてインクのコラムを連載中。好きになるととことん追求しないと気が済まない性格。これまでに集めたインクは1300色を超える(2018年2月現在)。インクや万年筆の他に、香水、マステ、手ぬぐいなどにも興味がある。最近は落語、文楽、歌舞伎などの古典芸能にもはまりつつある。
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