世界の筆記具ペンハウス
文具好きの小部屋
『文具好きの小部屋』は文具を愛してやまない人々が集まるペンハウスの一室。 整然と並んだ本棚の前には、古い書斎机と座り心地の良い長いソファ。 さてさて、今日も誰かが熱く文具を語り始めます。

if…、無人島に万年筆を持って行くのなら

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if…、無人島に万年筆を持って行くのなら

先日、仲間とZOOM(ずーむ・PCやスマホを使ったオンラインTV会議)を使って、会議のあとに「もしも、さぁ…」という話題になり「もし無人島になにかひとつ持って行くとしたら」という話で盛り上がりました。

コロナ禍で自由に出歩いたり、人と会ったりすることが憚れるご時世なので、そんな他愛のない話でずいぶんと盛り上がりました。

たとえば、音楽が大好きという人はギターを、ゲーム好きの人は「あつまれどうぶつの森」のNintendo Switchを、ハードなアウトドア系の人だと実用性を求めてサバイバルナイフを選ぶかもしれません。また、ある主婦がイオンモールと答えて大ウケしたなんて話を聞いた事もあります。

さて、このコラムの執筆にあたって、「世界の筆記具ペンハウス」らしく、「万年筆」に絞って真剣に考えたところ、カートリッジが1番無難な選択かと思ったのですが、カートリッジでは販売されていない色や、自分のお気に入りカラーインクを使いたいというこだわりがこみ上げてきて、コンバーター式や吸入式が理想だと思うと同時に、加えるならインク容量の大きな万年筆が望ましいと結論に至りました。(個人の感想です)

万年筆インクの容量をタイプ別で比較してみると、カートリッジの場合、約0.5~0.8cc、コンバーターなら約0.8~1cc、直接万年筆本体にインクを入れる吸入式ならば1cc以上が相場とされているので、この条件なら吸入式に軍配が上がります。

そこで候補にあがったのが、次の3本です。

PILOT(パイロット)

「カスタム823」プランジャー吸入機構式万年筆
インク容量:約1.5ml(cc)

「カスタム823」プランジャー吸入機構式万年筆

Pelikan(ペリカン)万年筆

「スーベレーン(Souverren)M800」ピストン吸入式万年筆
インク容量:約1.5cc

「スーベレーン(Souverren)M800」ピストン吸入式万年筆

TWSBI(ツイスビー)

 
「VAC 700R」プランジャー吸入機構式万年筆
インク容量:約2.2cc

「VAC 700R」プランジャー吸入機構式万年筆

どのモデルもカートリッジよりも1.5倍から2倍のインク容量がある万年筆です。

ところで、1ccのインクで書くことができる文字数は?というと、プラチナ万年筆のデータによれば「カートリッジ1.2cで約13,000文字」(M中字)とあり、1ccでは約10,800文字になります。

これを基準にして各万年筆のインク容量に当てはめると、1.5ccのカスタム823やペリカン「スーベレーン M800」は、約16,200文字で原稿用紙約40枚が書けることになります。

また、この3本のなかで最大のインク容量2.2mlを誇るTWSBI「VAC 700R」なら約23,760文字と、より多くの文字の筆記が可能です。

さらに、ちょっと反則技になってしまいますが、「VAC 700R」には専用インクボトル(20ml)があり、手を汚さずにインクの補充が可能なうえ、携帯するのにも邪魔にならないこのインクボトルと併用すれば最大で約240,000文字、原稿用紙約600枚分の数になります。

これだと、人気作家京極夏彦の小説「虚実妖怪百物語・序」は1400ページで原稿用紙に換算すると約1900枚と言われているので、TWSBI「VAC 700R」と専用インクボトルの組み合わせならこの小説の1/3が書ける計算になります。

話が飛躍してしまいましたが、そんな「ifの世界」で小説を書くというシチュエーションはまずありえませんし、たくさんの万年筆を所有する人に、この質問は酷(こく)かもしれません。ただ、いろんな条件をあげていくと、万年筆愛好家としての嗜好のベクトルが垣間見えるお遊びとしてけっこう楽しめそうです。

コロナ禍がおちついて、また万年筆仲間が自由に集まれるようになった時に、試して見るのはいかがでしょう。自宅で長い時間を過ごしたことで、以前とは違う万年筆の価値観が生まれているかもしれません。

そんな日が1日も早く訪れますように。

 
<この記事に登場する万年筆>
パイロット 万年筆 カスタム823
ペリカン 万年筆 スーベレーン M800
TWSBI(ツイスビー) 万年筆 VAC 700R

この記事を書いた人

出雲 義和
出雲 義和
文具ライター、システム手帳から綴じノートまで複数の手帳を使い分ける、手帳歴40年のマルチユーザー。
「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイドブック」などの文具雑誌や書籍をはじめ、旅行ライターとしても執筆活動を行い、文具と旅の親和性を追い求める事をライフワークとしている。
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