世界の筆記具ペンハウス

2024年ベストバイ文具

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 2024年もあとわずかになりました。今年も、数々の新しい文房具が発売になり、文房具ライフを楽しまれた方も多いかと思います。
なかでも、今年はセーラー万年筆株式会社からペン先の角度を左右に調整できる万年筆「TUZU-」や、新しい書き心地を追求した油性ボールペン「フローチューン」(ぺんてる株式会社)、ペン先をガードする機能と速乾性で蛍光ペンのストレスから解放される「キレーナ」(パイロットコーポレーション)など、筆記具の分野では画期的なモデルが続々と登場した1年でした。
そんな中、展示会やイベント取材を通じて、様々なプロダクトに触れてきたボクが、巷に溢れるベストバイとはひと味違う、独断と偏見でセレクトした「ベストバイ文具2025年」をお届けします。

2024年ベストバイ文具

ink mazeru「おうちで混ぜて楽しめる『8月の夜』インクキット」

※画像はクリックで拡大します。

”自分で混ぜて楽しめる”をコンセプトにした、万年筆インクキット「8月の夜」(以下「8月の夜」)は、インク・パレット・マドラー・カップ・保存用インクボトルを可愛らしいポーチに収めた製品です。
自分でインクを混ぜる製品は、他にもありますが、「8月の夜」のインクはスポイト付き専用ボトルに入っていて、混色する際に量りやすく手軽に行えるメリットがあります。
また、お洒落なコスメポーチのようなパッケージもまた魅力で、このまま持ち運んでも使える実用性も備えています。
「ISOT(国際文具・紙製品展)」では、デザイン部門の優秀賞を受賞、万年筆インクの新しい可能性を世界に伝えました。

Ink mazeru
「おうちで混ぜて楽しめる『8月の夜』インクキット」¥3300-(税込)

ゼブラ株式会社「サラサクリップ3C」

※画像はクリックで拡大します。


 サラサラ書けるなめらかな書き心地で人気のサラサクリップの3色モデルが今年バージョンアップして「サラサ3C」として発売されました。
大きな特徴は、ゼブラ独自のサイドスプリング機構を搭載して従来の3色モデルよりも8%スリム化に成功、手の小さな方にも扱いやすくなりました。
スリム化したことで、クリップ部分が使用頻度の高い黒インクのノックと兼用となっていて、いちいち目で確認することなく、スマートに繰り出せます。
また、リフィルも従来のモデル(JK-0.5/JK-0.4芯)との互換性も確保、買い直しや買い足しをしてもリフィルが無駄になりません。
カラーバリエーションは黒・白・紺・透明とある中で、馴染みの文具店の店員さんと雑談していて、これは絶対「白」がいいよねと、盛り上がりました。ホントにこの白は美しいですよ。

ゼブラ株式会社
「サラサクリップ3C」¥440-(税込)

株式会社デザインフィル「ジョインドッツ」「コモンプレイスブック用ノート」

※画像はクリックで拡大します。

 
 今年、1番の話題となったノート術がコモンプレイスです。
ヨーロッパでは古くから情報整理法として親しまれていたもので、興味関心があるジャンル(映画やグルメ、推し活など)をKEYとして設定、とにかくノートにどんどんと書き出したあとから、KEYを振り分けて、自分の興味関を見える化するシンプルなスタイルで手帳ファンから注目を集めました。
「ジョインドッツ」は3色を1本のペンにまとめた連結ペン。押すとスタンプ機能に、線として引くことで太・中・細3種類の太さのラインマーカーになる多機能筆記具です。
KEYを色分けた時に押すだけなので、手軽にコモンプレイスを楽しめます。
「コモンプレイスブック用ノート」
どこにでも持ち歩けるポケットサイズ(A6)のノートブックに、文字やイラストなどが書きやすい2.5mmの方眼罫を採用、さらに、使い方やKEYを振り分けるしおりも付属しているのではじめての人にも、コモンプレイスノート術を優しくサポートしてくれます。

株式会社デザインフィル
・「ジョインドッツ」¥594-(税込)
・「コモンプレイスブック用ノート」¥418-(税込)

ナガハシ印刷株式会社「いいかげんリフィルm5」

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 ゆるい手書き風の罫線で、書く人に“きっちり書かなきゃいけない“というプレッシャーを軽減してくれる「いいかげんノート」に新しくシステム手帳m5サイズ用リフィル「うさぎ」と「シロクマ」がラインアップに加わりました。
”可愛い系文具”はボクの得意分野ではありませんが、今年「岡山文具マルシェ」で出会ってから、この程よい緩さ加減が心地よく感じて、つい購入してしまいました。用紙はオリジナルのトモエリバー(現在のトモエリバーSではない)を採用して、万年筆との相性もいいうえに、よく見ると図柄が違っていて、メーカーであるナガハシ印刷さんにおききしたところ、うさぎ・シロクマ共に5つのデザインがあるとのことです。
かわいいだけではない、紙にもこだわった「いいかげんリフィルM5」です。

ナガハシ印刷株式会社
「いいかげんリフィルm5 (横罫/方眼罫)うさぎ/シロクマ」各330円(税込)

DIALOG NOTEBOOK「DN TUGBOAT PLANNER(タグボートプランナー)2025」

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 毎日気軽に持ち歩けるポケットサイズのダイアログノートに新しくダイアリーモデルが発売になりました。
1ヶ月を見開きで俯瞰できるマンスリーブロックタイプで、1月から12月までの1年1冊のダイアリーです。スタンダードのダイアログノートと同じサイズ、同じページ数、ノンブル(ページナンバー)を備えて、魅力をそのまま継承しています。
使い方はそれぞれですが、マンスリーダイアリーの次のページはブランクページになっているため、予定はマンスリーに、結果は裏ページに書き込める仕様はボク的には、大きなアドバンテージと感じています。
また、万年筆での筆記でも裏抜けしにくい用紙”S金菱”を採用しているのも、魅力のひとつです。
細かいスケジュールはスマートフォンにまかせて、ざっくりとした予定管理を「DN TUGBOAT PLANNER(タグボートプランナー)2025」に委ねれば、軽量かつスマートなライフスタイルがエンジョイできそうです。

DIALOG NOTEBOOK
「DN TUGBOAT PLANNER2025」¥1320-(税込)
※数量限定のため、売り切れの際はご了承ください。

2024年定番MVP文具

2024年に発売された文房具ではありませんが、定番文房具をこよなく愛するボクがこの一番愛用した文房具が・・・

デザインフィル/PLOTTER「5014メッシュケースS」

※画像はクリックで拡大します。

 この1年間でもっとも出番が多く、仕事にプライベートに活躍してくれた定番文具が、デザインフィルの「5014メッシュケースS」です。
 ペンケースとして販売しているモデルではありませんが、筆者が愛用しているモデルは、万年筆から多機能ペン、Apple pencilまで約6本が収納可能で、1日の行動に必要最小限の筆記具をひとまとめにできます。
さらに、幅150mm高180mmのSサイズは、ビジネスバッグやトートバッグのポケットにシンデレラフィットして、鞄の中に埋もれてしまわないので、取り出すときのスマートさは快感に近いものがあります。
また、内部は二重構造になっているので、定規などのツールを筆記具と分けて収納できる点もメリットです。
この1年、誰よりも長く時間を共にしたデザインフィルの「5014メッシュケースS」に2024年定番文房具MVP大賞を贈ります。

株式会社デザインフィル
「PLOTTER 5014メッシュケースS」¥2200-(税込)

番外編

吉川紙商事「NEUEGRAY」

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 新しいグレーカラーの用紙として、注目を集めている「NEUEGRAY」には、ノートブックやメモパッドのほかに、システム手帳用のリフィルもラインナップに並びます。
しかし、システム手帳リフィルのm5サイズが製品になく、吉川紙商事さんに無理をお願してm5サイズにカットした「NEUEGRAY」を作っていただきました。
パンチ(穴あけ)はセルフになりますが、万年筆との相性は抜群で近年1番のお気に入り用紙です。
ただし1ロットが約5000枚!?大好きな用紙を湯水のように使えるのは嬉しいけれど、使い切れるまで、しっかり長生きしなくてはいけません。

吉川紙商事株式会社
「NEUEGRAY m5サイズ」1ロット価格・時価

2024年のまとめ

 今年も1年間お付き合いをいただきありがとうございました。
2025年はいったいどんな1年になるのか想像できませんが、各メーカーもさまざまな工夫をこらした新製品を市場に送り届けてくれる事と思います。
それらの文房具が、読者に皆さんにとって便利であり、ビジネスや生活を潤すツールになってくれることを願いながら、Merry Christmas & A Happy new year.
※本記事の情報・価格は執筆当時(2024年11月現在)のものです。

この記事を書いた人

出雲義和
出雲義和
文具ライター、システム手帳から綴じノートまで複数の手帳を使い分ける、手帳歴40年のマルチユーザー。
「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイドブック」などの文具雑誌や書籍をはじめ、旅行ライターとしても執筆活動を行い、文具と旅の親和性を追い求める事をライフワークとしている。
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