ボールペンがある日突然書けなくなった!そんなとき「どうする?」
アメリカに住む友人と、日本とアメリカの文房具事情について話をしたとき、アメリカ人はボールペンを試筆したら「まちがいなく筆記ができた」ボールペンをレジに持って行くけれど、日本人は試筆をしたのにわざわざ別の(ちゃんと書けるかどうか確認していない)ボールペンを持ってレジにいくね!「確かに」とふたりで大笑いしましたが、これって日本人が国産筆記具メーカーに対する信頼の現れであり、日本のボールペンはそれほど優秀な筆記具いう証明だと思っています。
今回のテーマ「ある日突然ボールペンが書けなくなった?」
「あれ?インクが出ない!」
日本のボールペンは優秀だ!と高く持ち上げたところに「書けない」とは何事か、と思われるかもしれませんが、実際にこのトラブルについての問い合わせは小売店やメーカーによくある話です。
おそらく、この記事を読んでいる読者の中にも、そういった経験をされた方はいるのでは?
ボールペンが書けなくなる理由には主に3つあって、国内の筆記具メーカーに訪ねたところ、概ね同じ回答が得られました。
〇ボールペンが書けなくなる理由の主な原因
- ボールペンをうっかり落としてしまった場合
- 紙の繊維がボールペンのペン先に詰まって書けなくなる場合
- インクの中に空気が混入して書けなくなる場合
「ボールペンの先端部分はとてもデリケート」
1.ボールペンはすごくデリケートな筆記具です。
ボールペンは身近な筆記具であり廉価で購入できることもあって、乱暴とまでは云わないまでも、ついラフに扱ってしまいがちです、しかし精度が高い日本のボールペンはある意味精密機器に匹敵するデリケートさも持っています。
そのペン先には直径わずか0.数㎜のボールをカシメ部分が包んでいて、数十cmほど下に落としただけでも、先端部分(チップ)には大きな衝撃となって筆記ができなくなることがあります。
2.インク詰まりにも要注意
先端部分(チップ)の中にあるボールは、筆記の際に高速で回転しながらインクを紙の繊維の中に流し込んでいます、このボールとカシメ部分のわずかな隙間に、紙の繊維が入り込んでしまうと、インクを吸った繊維が中で乾燥して、いわゆるインク詰まりが発生してしまいます。
3.ニュートンの法則と空気にボールペンは勝てない
たとえば、宅配便の受け取り時にサインを玄関ドアや壁に向けて書いた経験はありませんか?
とっさに壁を背にして書いたり、紙に対して水平でない姿勢で筆記をしたりすると、インクは重力に逆らうことができず、先端部のわずかな隙間から空気が入ってしまい、筆記ができなくなることもあります。
もうひとつ加えるなら「消えるインク」を採用しているフリクションボールなどは、一時的に高温な環境(摂氏60度以上)にさらされるとインクが透明化してしまい、実は筆記はできているのに書いた文字が目に見えないというケースもあります。
この場合は、家庭用冷蔵庫の冷凍室にしばらく入れておくとインクが再び復活(色が元に戻る)することもあるので、一度試して見てください。
傾向と対策
「替え芯をあらかじめ用意しておくことも、いざという時の備え」
筆者もこういったケースを体験してきましたが、これらの原因を知ってから筆記に際して十分注意するようになりました。たとえ1本100円で購入できるボールペンであっても各筆記具メーカーが、持てる技術を駆使して作られた結晶なので、大切に扱うことは忘れないようにしています。
あと、出番の多いマイフェイバリットなボールペンの場合、替え芯は手元に常備しておくことも大切で、これも立派な対策といえます。
文具愛好家の考察
筆記具にはボールペンをはじめ万年筆やシャープペンシル、さらにはガラスペンなどの種類があるように、紙にもまたさまざまな種類があり、その製造方法や用途によって、筆記具との相性が発生します。
各メーカーでも、さまざまな筆記具での試験は行っていますが、ボールペンと万年筆では筆記のための機構も異なり、必然紙と筆記具の組み合わせに向き不向きも生じます。
また、筆記具メーカーの公式サイトではあまり触れられていませんが、製紙メーカーではある程度筆記具を想定した紙の開発も行っています。
愛用のボールペンが、たびたび書けなくなるようであれば、お使いの紙(ノート)を変えてみるのもひとつの解決方法になるはずです。
この記事を書いた人
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文具ライター、システム手帳から綴じノートまで複数の手帳を使い分ける、手帳歴40年のマルチユーザー。
「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイドブック」などの文具雑誌や書籍をはじめ、旅行ライターとしても執筆活動を行い、文具と旅の親和性を追い求める事をライフワークとしている。
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