玉石参房 第三十二房 長月―秋色二色―「エメラルド森の精霊」「紫紺の時空」
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玉石参房 第三十二房 長月―秋色二色―「エメラルド森の精霊」「紫紺の時空」

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用紙:大和出版印刷「桜ism」グラフィーロ
万年筆とインク:Pent・Symphony・エメラルド森の精霊紫紺の時空


今回は、Pent・Symphonyシリーズ・オリジナルインク
「エメラルド森の精霊」と「紫紺の時空」を中心に
朝比奈斎がお色見本を作ります。
どうぞよしなに。

例年以上の残暑にまだ翻弄されながらも、そぞろ歩きのような秋の気配。
夏の疲れをいやすような、濁りのないすっきりとしたお色ふたつ。
赤味よりのやさしい紫とクリームソーダのような明るい緑。


水彩紙に単色で置いたものと、2色同時置き、
そして混色したときの様々なグレー。
5つ目の画像は、透写紙に2色同時置きしたものです。
吸水の良い水彩紙(3つ目画像)と、半透明な透写紙では
このような色の変化がみられます。

この2色のインクと万年筆で、秋の七草を「桜ism」に。


用紙:大和出版印刷「桜ism」グラフィーロ
Pent・Symphony・エメラルド森の精霊紫紺の時空


秋の七草は奈良時代、万葉集の記録を初として、
(当初の「朝貌(あさがお)」は「桔梗」の意味であろうとの推察主流)
令和の現在まで親しまれています。

温暖化つづく気候変動によって
さまざまな生物が存続の危機をむかえていますが、

あまたの人々による文化の継承として、
秋の七草、春の七草などは、この先いつまでも心に響かせたい風物詩です。
※※※※※

2色を使って、Gペンで色を差しながら書きました。
(X掲載作品)


小栗虫太郎「絶景万国博覧会」と
北原白秋「白南風」より。

山櫨(ヤマハゼ)はウルシ科の植物。
緑の花はとても小さく郡部咲きで、
ホウセンカの葯のように緑の花びらは外側に丸まり、
蕊がこれでもかと伸びあがってきます。
この花の香りは柑橘系、さわやかな芳香です。


用紙:吉川紙商事株式会社・ノイエグレー


紫と緑の色によって、思い起こされる香りや形、手触りや味。
それぞれの五感を呼び覚ます、記憶の秋。

長い年月をかける生きる営みのなかで、
季節の色はしっかりと人の心に毎年重なっていきます。

色を重ねて一つの絵を、
言葉を重ねて一つの手紙を、
人のちからと時間を重ねて一つの製品を、
それぞれの文具を重ねて「書く」という世界を。

ものをうみだす、心をかよわせることも重奏のよう。

Symphony in stationery
喧騒の日々を過ごす現代人の疲れをいやすような、
うるおいに満ちた素敵な色による「書く」「描く」時間が
たくさん生まれていくことでしょう。

色にいざなわれて開ける扉の向こうにひろがる、
「エメラルド森の精霊」「紫紺の時空」の世界。
インクの楽しみの入り口となれば幸いです。

うつりゆく季節の色、実りの秋の色。
うれしき彩にはもちろん我慢せず自ら飛び込む朝比奈斎(誘惑に激よわ)でした。
ではまた。

<今回のメインインク>
Pent〈ペント〉数量限定 ボトルインク エメラルド森の精霊 ~Emerald Forest~
Pent〈ペント〉数量限定 ボトルインク シンフォニー 紫紺の時空 ~Purple-Blue~

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この記事を書いた人

朝比奈斎
朝比奈斎
憧れの高級文具から教室に忘れ去られた名もなき消しゴムに至るまですべての文具を偏愛する者。
文字は下書き無し・肉付け塗り無しの一発書き。
文具・画材・多肉愛好家として雑貨店「SHOP511」にて多肉植物の育成販売と文具雑貨諸事の販売に携わる。好きな言葉は「玉石混淆」

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