
用紙:SAKAEテクニカルペーパー・イロフル
Gペン:立川ピン製作所・タチカワGペン特上品
今月は啓蟄春分にあわせ、Pentオリジナルインク、
彩時記やコトバノイロのお色見本を中心に、
ペンハウス取り扱い商品もあわせ、ご紹介します。
春色、蕾の開花のごとく、どうぞよしなに。
春は名のみの風の寒さや。
令和の乱高下気候のなかでもようやく春めくような陽気、
そうかとおもえば全国的に春の雨、
わたくし在住の山間部では雨は雪にかわり、
春の積雪となりました(2025.03.15)
暦のうえでは春迎え、ひとつずつの花のたよりに
季節の変わり目を感じます。
24節気にあわせ、72候の暦ことばを、春の絵とともに。
水滴まとう花の蕾の絵は、
相互フォローの樹木医・櫻井健太氏
(2025.03.11「マツコの知らない世界」内「つぼみの世界」に出演・XやYouTube「樹木医の植物紹介」)、
より許可をいただき、櫻井氏の撮影画像を参考に描きました。
来月以降も植物参照としてご紹介します。

用紙:株式会社ヤマト:コンケラーレターセット用紙
使用インク:Pent:コトバノイロ初戀・コトバノイロこころ
ペリカン:M205DUOイエローデモンストレーター用ハイライター
IWI:Color of Nature春コレクション・啓蟄・春分
Gペン:立川ピン製作所:タチカワGペン特上品
樹木医 櫻井健太さんについてはこちら
コトバノイロこころは濃い緑色。
画では黄緑に近い色味。
これはとある色との混色によるものです。
手持ちインクの色を「もう少し明るくしたい」時。
今までの記事内では加水による明るさ調整をお伝えしてきました。
今回は蛍光色との混色をご紹介します。
そのまえに、蛍光色のお知らせを。

万年筆:ペリカン:M205DUOシャイニーグリーン・イエローデモンストレーター
蛍光色1色専用の万年筆、ペリカンM205DUO。
20年以上使用の私物です。
このインクは紙に乗せた瞬間、蛍光色がかなり強め、
でも乾燥後は少し落ち着き、見やすい色味に。
濃く、くっきりとしたこの2色はペリカン独特の色。
限定新発売のM205DUOネオンも新世代の軸色としてとても素敵。
インクも一緒に入っているオリジナルボックスもシンプルで素敵なデザイン。
せまい行間にもほしい箇所だけ線がひける滑りのよいペン先。
ペン先がへたることなく、
ずっと安定する太い線・細い線と視認性良い蛍光色は
文章への書きこみ、文字書きに大変便利です。
さてここで、混色のお話。
同メーカー及びメーカー違い製品のインク混色は、
・必ず別皿等に取り出し、
・混色したインクは別日まで残さず、
・万年筆軸内には絶対に入れず、
・つけペンや筆での限定使用&自己責任でどうぞ。
手持ちの色でもう少し明るい色にしたいときのひとつ目。
わたくしは加水でインク色素をうすめて使っています。
例1


ノート:sutta : MEMENTO
インク:Pent : コトバノイロ蒼穹
蒼穹の濃い青色に水を加えて濃淡を出した例。
例2

ただし、加水して色を明るくするには、望む色になるまで
かなり水をつかうので大量にうすめインクができてしまいます。
(例2上部)
明るい色がほんの少しだけほしいとき、ふたつ目。
「蛍光色と混色」します。(例2下部)
これは昔からある水彩技法の応用で、
万年筆インク画のとき、
M205DUOの黄色・緑色蛍光色は大変便利。
いままでの玉石参房内の原稿にも多数使用。
青や紫など上記以外の蛍光色がほしいときは、
鳥山明カラー水性ペン方式(Dr.スランプ巻末おまけ漫画参照)にて
市販蛍光ペンをパレットや絵皿に線をたくさん書き、
それを水でうすめて蛍光インクとして使用。
(冒頭24節気絵内、桜と鳥の背景青空はこのやり方で制作)
例3


ノート:sutta:MEMENTO
インク:Pent:コトバノイロ初戀
Gペン:ゼブラ:チタンGペンPRO
水色の蛍光ペンで加水インクを作り(鳥山明方式)、
紅色のインク「初戀」の文字書きの途中で加えてみました。
(「は花にな」の部分)
ほんのり紫のグラデーションが入り、我ながらお気に入りです。
パステル色がほんの少しだけほしいときは…
例4

白い絵の具。
お子様が学校から道具をもちかえるこの季節、
余った白絵の具を使うチャンス。
水彩絵の具でもアクリルガッシュでも白墨汁なんでもOK!
インクで伸ばすとまた違う色味が面白いです。
白だけでなくそこに蛍光も微調整として加えるとさらに幅がひろがります。
使い終わったペン先はすぐに水につけて混色を溶かしおとすこと。
アクリル系は乾くと落ちなくなるので、乾く前にすぐ水に!
蛍光色も白い絵の具もインクも、
使う量は思った以上にほんの少しでOK!
わたくしが書く(描く)時は、
チューブの裏についたインクや絵の具で
ほんの少しの量(つまようじの先~多くても耳かき0.5杯程度)
を取り出して試しの色をつくり、
その比率を覚えて、(インク1:白絵の具4:蛍光0.5など)
コーヒーマドラー(材質上インクをはじくので、結果たくさん取り過ぎない)
で少しずつ取り出して混色しています。
白と蛍光色をつかった色見本はこちら!


用紙:カランダッシュ:エーデルワイス水彩紙ブックSM
インク:Pent : コトバノイロこころ・檸檬・蒼穹・春琴抄
ペリカン:M205DUO・シャイニーグリーン・イエローデモンストレーター
ペーパーウェイト:色工房:まりも俵毬若草・桃
一番濃い色がインクから出したそのままの色
一段明るい色味が蛍光混色
白絵の具が加わると、ふんわりやわらかなパステル色味に。
今回紹介したインクそれぞれの混色例(X掲載作品)




2色混色の書き方で、太宰治「女生徒」・泉鏡花「義血侠血」より。


コトバノイロこころにM205DUOイエローを少しずつ混色しながら。
冒頭の24節気絵でもおなじように使いました。
学校教育での音楽の時間にかならず聴く名曲「早春賦」。
大正13年、吉丸一昌作詞・中田章作曲により発表。
2007年には「日本の歌百選」として
文化庁と日本PTA全国協議会から選定されました。
冬から春へのうつりかわりを敏感に感じ取る日本の心です。
わたくしの水彩色見本としてよくつかう紋様を
先ほど紹介した試し水彩紙にすこし手を加え、
グリーティングカードとして。
大判トランプサイズの大きさなので
ひとこと添えカードとして使い勝手がよさそうです。

作った人から、使う人へ。使う人から、便りを受け取る人へ。
色にいざなわれて開ける扉の向こうにひろがる、
濃く淡く美しい万年筆インクの世界。
インクの楽しみの入り口となれば幸いです。
「火を使わない封蝋第2弾」と「捺し活!スタンプLOVE!」
をあわせて、また次の機会にご紹介予定!どうぞよしなに!
春は名のみの雪の重さや。春先の湿った雪は腰に来る。
雪かき後に降り注ぐ陽光が積んだ雪をあっという間に殲滅していくとき架空兵器ながら「個人用ソーラレイ欲しい…」と毎回なんとも微妙な面持ちになる朝比奈斎でした。
ではまた。
<登場インク>
・Pent〈ペント〉コトバノイロ 檸檬
・Pent〈ペント〉コトバノイロ 初恋
・Pent〈ペントコトバノイロ こころ
・Pent〈ペント〉コトバノイロ 蒼穹
・IWI Color of Nature 春コレクション
・ペリカン M205DUO用 ハイライターインク イエロー
・ペリカン M205DUO用 ハイライターインク グリーン
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この記事を書いた人

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憧れの高級文具から教室に忘れ去られた名もなき消しゴムに至るまですべての文具を偏愛する者。
文字は下書き無し・肉付け塗り無しの一発書き。
文具・画材・多肉愛好家として雑貨店「SHOP511」にて多肉植物の育成販売と文具雑貨諸事の販売に携わる。好きな言葉は「玉石混淆」
Twitter:@asahinaitsuku
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