これから万年筆を使い始める方へ
「万年筆は難しい」「何を買えば良いかわからない」「買ったものの使い方がわからない」など、万年筆には少し敷居の高いイメージがあるかもしれませんが、基本をきちんと理解すれば万年筆選びやお手入れの不安もなくなるはず。
前回記事ではこれから万年筆を購入される方のために<万年筆選び&購入編>をお届けいたしましたが、今回は<使い方&お手入れ編>として万年筆インクの入れ方や洗浄の手順などをご紹介したいと思います。
万年筆のインクの入れ方
万年筆購入後、まず最初の作業となる「インクの入れ方」についての基礎知識です。多少メーカーによって部位が異なる場合がありますので、こちらも一般的なスタイルなものでご説明いたします。
【ご用意いただくもの】:柔らかい布またはティッシュペーパー
吸入式の場合
1、ノブを回しピストンを下げる
尻軸の吸入ノブを左へ止まるまで回して下さい。(ピストンが下に下がります。)※無理に反対向きに回すと故障の原因となります。必ず各商品の仕様をお確かめください。
2、ペン先全体をインクに浸す
ペン先が完全に隠れるようにインクの中に浸けてください。※ペン先とインク瓶が当たらないようにご注意。
3、ゆっくりインクを吸い上げる
吸入ノブをゆっくり右に回してインクを吸い上げます。1度でインクが吸入されない場合は、インクに浸したままノブを2~3度上下させてください。
4、インクを2、3滴ビンに戻す
インクをいっぱいまで吸い上げたら吸入ノブを少し左に回してインクを2、3滴瓶に戻します。
5、インクのタブ付きを取る
ペン先を上に向け吸入ノブを右に回してください。(ペン先に残ったインクが軸内に戻ります。)
6、インクを拭きとる
首軸についたインクを柔らかい布やティッシュなどで拭きとってください。
※吸入式は、尻軸を回すペンや、吸入レバーを動かす物など種類は多様です。基本的に説明書が付いておりますが、お分かりにならない場合は、お気軽にお問い合わせ下さい。
両用式(コンバーター式)の場合
1、コンバーターを装着する
ペン軸より、首軸付きペン先を取り外し、しっかりとコンバーターを装着してください。装着後、コンバーターの吸入ノブを左へ止まるまで回して下さい。(ピストンが下に下がります。)
2、ペン先全体をインクに浸す
ペン先が完全に隠れるようにインクの中に浸けてください。※ペン先とインク瓶が当たらないようにご注意。
3、ゆっくりインクを吸い上げる
吸入ノブをゆっくり右に回してインクを吸い上げます。1度でインクが吸入されない場合は、インクに浸したままノブを2~3度上下させてください。
4、インクを2、3滴ビンに戻す
インクをいっぱいまで吸い上げたら吸入ノブを少し左に回してインクを2、3滴瓶に戻します。
5、インクのタブ付きを取る
ペン先を上に向け吸入ノブを右に回してください。(ペン先に残ったインクが軸内に戻ります。)
6、インクを拭きとる
首軸についたインクを柔らかい布やティッシュなどで拭きとってください。
※コンバーターは、吸入ノブを回すタイプや、吸入レバーをスライドさせるタイプなど種類は多様です。基本的に説明書が付いておりますが、お分かりにならない場合は、お気軽にお問い合わせ下さい。
カートリッジインク式の場合
1、首軸を取り外す
ペン軸より、首軸付きペン先を取り外してください。
2、カートリッジを挿し込む
カートリッジインクの先端に穴が開く感覚があるまで真っ直ぐ押し込んでください。インクがペン先に伝わるまでしばらくお待ちいただき、ご使用下さい。
スムーズに書き出すことが出来ない場合は、ペン先を軟らかい布などでくるんで、軽く振るか、カートリッジの中央部を軽く押すなどしてインクをペン先になじませてください。
万年筆のお手入れ方法
万年筆を毎日使っているとペン先などにインクや紙の塵がたまってしまい、インク詰まりや不具合の原因となってしまいます。
毎日使っている場合でも最低限半年に一度、あまり使っていないなら一ヶ月に一度は定期的なお手入れをおすすめします。またインクを入れ替える場合や長期間使う予定が無い場合なども必ずお手入れをしておきましょう。
【ご用意いただくもの】:水またはぬるま湯を入れたコップ・柔らかい布またはティッシュペーパー
※掃除に薬品、洗剤、熱湯は使わないでください!!
吸入式の場合
1、インクを抜く
インクが残っている場合は、吸入ノブを左に回してタンク内のインクを抜いて、空にしてください。古いインクはインク瓶に戻さず廃棄してください。
2、水の出し入れを繰り返す
水の中にペン先全体を入れて、吸入ノブを左右に回して水の出し入れを繰り返し行ってください。何度か容器内の水を交換し、インクの色が出なくなるまで行ってください。
3、十分に乾かす
最後に流水などで軽く濯いだあと、柔らかい布またはティッシュペーパーで水分を拭きとってください。
両用式(コンバーター式)の場合
1、水に浸ける
コンバーターを抜いて、ペン先とペン先の付いた部分(大先)を水で軽く濯いでいただき、そのまま水の入ったコップの中に一晩ほど浸けたままにしておきます。
(※汚れがひどい場合は、コップの水を交換して下さい。汚れた水のまま、放置されますとサビや金属のくもり等の原因になりますのでご注意下さい。)
2、水の出し入れを繰り返す
そのあとコンバーターを取り付け、インクの色が出なくなるまで水の出し入れを繰り返し行ってください。
3、十分に乾かす
最後に流水などで軽く濯いだあと、柔らかい布またはティッシュペーパーで水分を拭きとってください。
カートリッジインク式の場合
1、カートリッジを取り外す
首軸付きペン先からカートリッジインクを取り外してください。
2、水に浸ける
ペン先とペン先の付いた部分(大先)を水で軽く濯いでいただき、そのまま水の入ったコップの中に一晩ほど浸けたままにしておきます。
(※汚れがひどい場合は、コップの水を交換して下さい。汚れた水のまま、放置されますとサビや金属のくもり等の原因になりますので、ご注意下さい)
3、十分に乾かす
最後に流水などで軽く濯いだあと、柔らかい布またはティッシュペーパーで水分を拭きとってください。
まとめ
今回は万年筆インクの入れ方&お手入れ方法をご説明しましたが、少しは疑問点がなくなりましたでしょうか。最初は少し難しいかもしれませんが、2回3回と行なう内にすぐに慣れてきますので、まずは一度気軽にお試しいただければと思います。逸品の小部屋では今後も万年筆や筆記具に関する基礎知識もご紹介していきますので、ぜひチェックしてみてください!