その名の通りガラスで作られた筆記具「ガラスペン」。皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?「すぐ割れそう」「本当に書けるの?」などなど謎に包まれている部分が多いと思います。
そこで今回はガラスペンを豊富に取り扱うペンハウスが、ガラスペンの基礎知識や使い方、魅力や楽しさをたっぷりお伝えしたいと思います。お手入れ方法もご紹介いたしますので、初めてガラスペンを使う方も必見です。
ガラスペンとは!?
ガラスペンはペン先をインクに浸してから筆記をする「つけペン」の一種です。1902年(明治35年)に風鈴職人である佐々木定次郎によって考案されたとされています。日本発祥の筆記具であるガラスペンは、その美しさはもちろん、独特の心地よい書き味、普通のつけペンよりインク持ちが良いなどの機能性から瞬く間に世界中に広まっていきました。
通常ガラスペンのペン先には溝が施されており、そこにインクが入り込むことにより、毛細管現象を利用しペン先の先端にインクが流れ出す仕組みになっています。一般的なものであれば、一回インクに浸すだけで、ハガキ一枚分ほどの文字が連続して書けます。
毛細管現象(もうさいかんげんしょう、英: capillary action)とは、細い管状物体(毛細管)の内側の液体が管の中を上昇(場合によっては下降)する物理現象である。毛管現象とも呼ばれる。(出典:ウィキペディア)
ガラスペンの使い方
ガラスペンを初めて使う時「インクが出ない」「どうやって書くの」と心配される方もいらっしゃいますが、上述の通りガラスペンはつけペンですので、万年筆のようにインクを吸入器で本体内に吸わない仕様になっています。
ガラスペンを使うためには別途ボトルインクが必要となりますので、「ガラスペンと一緒に使いたいボトルインク」も参考にご用意ください。
ガラスペンの書き方
(1)インクに浸ける
まずはボトルインクの蓋を開け、インク瓶の口に対してペンを垂直に1/3ほど浸した後、そのままゆっくりと引き上げ少し待ちます。この時ペン先についた余分なインクは、毛細管現象によってペン先の溝に吸い上がります。
ボトルの縁などでトントンと叩いてインクを落としたり、無理に擦ったりするとペン先破損の原因となりますのでご注意ください。
(2)書く
ガラスペンの持ち方は特に決まりはありませんが、ボールペンなどで書くときよりもややペンを寝かせた状態で書くとガラスペン本来の心地よい書き味をご堪能いただけます。
鉛筆やシャーペンなどで常に尖った部分で書きたい時のように、少しずつペン先を回しながら書き進めると、溝に保持されているインクが効率よく流れるため、途中でかすれずに、よりたくさんの文字を書くことが可能です。
ガラスペンで書いてみました(動画)
さらさらと気持ちよさそうです。
ガラスペンの気になる疑問Q&A
ここからは皆様のガラスペンに対する疑問点にお答えいたします!
ガラスペンはちゃんと書けるの?
「え!ガラスペンってちゃんと書けるの?」と心配される声をよく聞きますが、どうも割り箸を削って作った浸けペンのように、何度もインクに浸けないと書くことができないイメージを持っている方が多いようです。
実際にはそんな事はなく、ガラスのペン先に施された溝にインクが貯められ、少しずつペン先へ伝っていく仕組みとなっていますので、一回のインク浸けでかなりの文字を書くことが可能です。メーカーや種類にもよりますが、原稿用紙1枚分くらいは書けるものも多くあります。
書き心地も、ガラスといえども筆記用にペン先が調整されているので、想像以上にスムーズです。
ガラスペンのお手入れは簡単?難しい?
ガラスペンのお手入れはとっても簡単です。使い終わったらペン先のインクを水で流すだけ。テッシュや柔らかい布で水分を拭き取って完了です。
インクが落ちにくい場合はぬるま湯などでお試しください。
ペン先は大変デリケートなものですので必ず専用ケースなどに入れてペン先を保護して保管してください。
ガラスペンはすぐに割れるのでは?
これは誰もが心配してしまう事なのですが、ガラスという材質上ガラスペンは割れやすいものとなっています。
ですが一般的にはホウケイ酸ガラス(硼珪酸ガラス、ボロシリケイトガラス)と呼ばれる耐熱ガラス、いわゆる硬質ガラスが使われていることが多く、机から落としたり、叩きつけるなど、よほどの事が無い限りは簡単には割れませんのご安心ください。ただ芸術性を高めるのためにあえて軟質ガラスを用いて作られているものありますので、購入時には必ず確かめるようにしましょう。
万が一破損してしまった場合も一部メーカーによる修理が可能ですので、一度当店までご相談ください。
ガラスペンを愉しむ3つの流儀
ここでガラスペンを余すこと無く愉しむための「3つの流儀」をご紹介したいと思います。
(1)美しさを愉しむ
ガラスならではの透明感!そして微細で見るものを魅了する芸術的表現!ガラスペンは筆記具でありアート作品なのです。
(2)書き味を愉しむ
手に取るとガラス素材の「ひんやり」とした質感と、万年筆でもボールペンでもない、ガラスペンならではの爽快な書き心地がクセになります!
(3)インクを愉しむ
万年筆のようにインクの入れ替えが必要がなく、インクの変更が容易なガラスペンは様々な色のインクを楽しみたい方にはうってつけです!
さらにインク壺を使えば、机上を贅沢に彩り、インクを使う愉しみもこの上なく増すことでしょう。
ガラスペンと絵筆で簡単ぬり絵アートにチャレンジ!
ガラスペンならこんなことも可能です!今回ガラスペンと絵筆を使ってペンハウススタッフが万年筆インクぬり絵に挑戦してみました。
簡単に手順をご説明すると、
1、塗りたい部分に絵筆で水を塗る。
2、一番濃く表現したい部分にガラスペンで線を描きます。
3、水をつけた絵筆でぼかしながらグラデーションを作っていきます。
3、濃くしたいところはさらに重ね塗り
4、色を変えて繰り返す
5、完成!
インクはPent彩時記「藤富咲」「向日葵」「青緑」を使用。水彩画では非常に難しいとされるグラデーションも万年筆インクを使えば簡単に表現が可能です。特に藤富咲はグラデーションさせると縁がくっきりと浮かび上がり美しい仕上がりに。予想外の色変化も楽しめました!
万年筆とは違い様々な色のインクを気軽に使えるのはガラスペンならでは。とても簡単ですので皆さんもぜひぜひ挑戦してみてください。
こちらの模様はまた別の機会に詳しく取り上げたいと考えておりますのでどうぞお楽しみに!
ペンハウスのおすすめ日本製ガラスペンBEST5
安いものから高額なものまで値段もメーカーによって様々ですが、あまりにも激安なものはオブジェ用に作られているなど、きちんと書けない可能性がありますので注意が必要です。
そこでペンハウスが自信を持っておすすめする日本製ガラスペンをランキング形式でご紹介いたします!
第1位
ガラス工房 まつぼっくり ガラスペン トライアングル クリア
経験豊富なガラス工芸作家、松村潔氏が主宰する「ガラス工房まつぼっくり」。軽くて丈夫な硼珪酸(ホウケイサン)ガラスを用いたシンプルで実用性の高いガラスペンです。
第2位
池原 敬 ガラスペン+ペン置きセット 四つ葉のクローバー
ガラスアート作家「池原敬」さんが紡ぎだす作品は驚くほどに微細で彩り豊か。軟質ガラスとエアバーナーを用いて形作られる花や鳥たちは今にも動き出すかのように精巧で美しい仕上がりです。
第3位
ガラス工房 LUC ガラスペン 光の螺旋~Spiral
ペン先から上昇していく光の渦の先には、星・地球・月をモチーフにしたオパールが鎮座し、まるで小宇宙を眺めているような気持ちになります。気鋭のガラス作家・直川新也氏の芸術的ガラスペン。
第4位
川西硝子 ガラスペン 細波(さざなみ) アウトサイド
ガラスの中に金や銀など封じ込めるフューミング技法を得意とする川西硝子の作品。ガラスと光が織りなす不思議な世界。美しさと実用性を兼ね備えた新感覚のアートワーク。
第5位
大西製作所&まつぼっくり アセテート キャップ付きガラスペン
万年筆職人・大西慶造氏が手作りで削り出した軸に、まつぼっくりのペン先を搭載した豪華コラボレーションガラスペン。キャップ付きで持ち歩くこともできます。
ガラスペンと一緒に使いたいボトルインク
インクは各種メーカーから発売されている万年筆インクをご利用いただけます。
ペント 彩時記
日本の四季が持つ情緒あふれる色彩を表現したペンハウスオリジナルインク。季節ごとに分けられた全17色。
パイロット 色彩雫
日本製ガラスペンに合うインクならパイロット「色彩雫」もおすすめ!
豊富なカラーラインナップからお選びいただけます。
ダイアミン ボトルインク シマーリングインク
ラメ入りインクなどつけペンでしか使えないインクなど豊富な種類から選べるのも嬉しいところです。
まとめ
書いて楽しい見て美しい!おまけにインクも楽しめてしまうガラスペン。少しでも魅力をお伝えすることができたでしょうか?ぜひこの機会に実際に手にとっていただき、ガラスペンの素晴らしさを感じていただけますと幸いです。