
人間40歳を過ぎた頃から、目の焦点が合いにくくなる「老眼」の症状が出はじめます。
個人差はありますが、早い人なら30歳代から老眼鏡が必要になる人もいるそうで、ボクもご多分に漏れず、手元の細かい文字が見えにくくなりました。
そのせいか、愛用の万年筆もEF(極細)からM(中字)、そして今ではB(太字)やC(極太)が中心になり、シャープペンシルに至ってはオーソドックスな0.5mm芯の出番が少なくなって、たどり着いた先が鉛筆になりました。
鉛筆の良さは、握りやすい六角形の形状に加えて、削りかた次第で芯先の太さを自由に調整できるので、芯の太さが異なるシャープペンシル数本分を鉛筆1本で補える点も大きな魅力です。
芯先のサイズは、電動式や手回し式の鉛筆削り器でないと、むずかしいと思っている人がいるかもしれませんが、実は携帯できるほどの小さな鉛筆削り器にも、芯先を調整する機能が備わった優れたモデルもあります。
そこで、今月はスタイリッシュでカッコイイ、愛用の鉛筆と一緒に持ち歩きたくなる、小さな鉛筆削り器をまとめてみました。
持ち歩ける鉛筆削り器BEST3
中島重久堂 鉛筆削りNo531

ボクが1番長く愛用しているのが、中島重久堂の「鉛筆削り器No531モデル」です。
なによりの魅力は、電動の鉛筆削り器で削ったような鋭角な芯先を、このサイズの鉛筆削り器がやってのけているのは、驚き以外のなにものでもありません。
中島重久堂は1933年(昭和8年)の創業で、1970年代に各メーカーのOEMとしてプラスティック製の小型鉛筆削り器を製造する唯一のメーカとして活躍、さらには海外進出も手掛けて、世界的にも信用されるブランドとなっています。
ひょっとすると、気付かないうちに中島重久堂製の鉛筆削り器を使っている読者がいるかも知れません。

確かめる方法は簡単で、刃(ブレード)にNJKの刻印が入っていれば、それはすなわち中島重久堂製です
中島重久堂 「鉛筆削りNo531」 540円(税込) ※価格は2025年5月時点でのものになります。 |
BLACWING ワンステップシャープナー

カッコイイという点で、頭ひとつ分抜きん出ているのがBLACWINGの「ワンステップシャープナー」です。
他の鉛筆削り器と比べて、ひとまわり大きな筐体ですが、それを補ってもあまりある、美しいマットブラックの色調と全体からあふれ出る高級感は、持っているだけで気持ちが高揚するのと同時に、この鉛筆削り器を持ち歩くために、あらためて鉛筆を使いたくなる魅力が、このBLACWING ワンステップシャープナーにはあります。

さらに、ただカッコイイだけではなく、「ワンステップシャープナー」の削り出す芯先は絶妙の湾曲のラインを描き、折れにくい完璧な芯先を作り出しています。これは、カール事務器の手回し鉛筆削り器「エンジェル5」と同じ削り方を、この筐体で再現しています。お値段はちょっと高めですが、それでも欲しくなるデザインと実力を備えています。

BLACWINGは、1930年代にアメリカで発売された高級鉛筆で、多くの文化人に愛されましたが、1998年に生産が終了してしまい、2010年カリフォルニア・シターズ社がブランドを買い取って「Palomino Blackwing」として復刻、クリエイティブなユーザーに広く支持をあつめて「創造性のシンボル」的なブランドとなって日本にも進出しています。
一度は姿を消したけれど、支持する多くの人の声で復活した伝説のノートブック「モレスキン」のようです。
BLACWING 「ワンステップシャープナー」 3,740円(税込) ※価格は2025年5月時点でのものになります。 |
ステッドラー シャープナー
世界最古の”鉛筆製造者”として記録が残る筆記具の老舗ステッドラー(販売はステッドラー日本株式会社)は、”書くコト”をコンセプトした製品に特化したブランドです。
そのブランドに相応しい、携帯性に優れた鉛筆削り器も数多く発売しています。
「ステッドラーシャープナー(シングル)」は、実に鉛筆削り器らしい無骨なデザインと、ノスタルジックな雰囲気を纏いながら、手で削るという醍醐味を存分に味わえます。
ある意味、もっとも「携帯型鉛筆削り器」らしいといえるモデルです。
ステッドラー 「シャープナー(シングル)」 363円(税込) ※価格は2025年5月時点でのものになります。 |
種類が豊富なクツワ株式会社の小型鉛筆削り器
学童文具をはじめ、たくさんの文具を市場に送り届けているクツワ株式会社からは、個性豊かな鉛筆削り器が発売されています。その中から、持ち歩ける小型の鉛筆削り器をセレクトしてみました。
クツワ 鉛筆削りトガール RS028
”芯先の長さ”を調整できるモデルが「鉛筆削りトガール RS028」で、色えんぴつや鉛筆の硬度(HBとか2B)に合わせて、5段階のどの角度でも尖った削り分けができるのが大きな特徴です。
クツワ 「トガール RS028」 473円(税込) ※価格は2025年5月時点でのものになります。 |
クツワ 鉛筆削り ケズール RS035
こちらもダイヤル式で削り具合の調整が可能なモデル「鉛筆削り ケズール S035」です。
「鉛筆削りトガール RS028」と異なるのは、”芯先の太さ”を調整できるのが特徴で、細く小さな文字を書きたいとき、また太く大きな文字をかきたいときなど、これひとつで5段階に太さの削り具合をコントロールできます。
クツワ 「ケズール RS035」 363円(税込) ※価格は2025年5月時点でのものになります。 |
クツワ 鉛筆削り ベイビーケイ
今回セレクトした鉛筆削り器の中で、もっとも小さく携帯性に優れているのが「クツワ鉛筆削りベイビーケイ」です。鉛筆を差し込む部分にキャップがついていて、持ち歩いたときに、この口から削りカスが外へこぼれ出ないので、ペンケースに入れたときはもちろん、外出先(カフェや図書館)で机まわりを汚さずに使えるのも安心です。
クツワ 「ベイビーケイ」 163円(税込) ※価格は2025年5月時点でのものになります。 |
Other
無印良品(良品計画) 鉛筆削り器
小型の鉛筆削り器もたくさんの種類がありますが、多くのファンを持つ株式会社良品計画「無印良品」からも小さな鉛筆削り器が発売されています。サイズでは、クツワ株式会社の「ベイビーケイ」に一歩譲りますが、使い勝手の良さは引けをとりません。
百貨店や店舗を集めた商業施設では、文具店を探すのがひと苦労ですが、無印良品のロゴはよく目立つので、迷うことなくお店を見つけられます。また、全国に600店舗以上もあるので購入しやすいことも「無印良品文具」の魅力といえます。
価格も120円(税込)と手頃で、携帯性は申し分ないので、「無印良品ファン」だけでなくとも、ペンケースにひとつ入れておくと安心の鉛筆削り器です。
無印良品 「鉛筆削り器」 120円(税込) ※価格は2025年5月時点でのものになります。 |
文具愛好家の考察

私たちにとって、子供の頃から馴染みのある鉛筆は、いつくになっても手にすると、ホッとすると同時に、自然体で向き合える筆記具です。
万年筆が大好きなボクも、アイデアを書き出したり、絵コンテを描いたりする時は鉛筆を愛用していて、旅行や出張の際にも必ず鉛筆を1本、ペンケースに入れて出かけます。
そのため、小型で携帯性の良い鉛筆削り器は切り離せない相棒になりました。
ちょっと品揃えの良い文具店の店頭を覗いてみると、小さなサイズの鉛筆削り器は意外なほど、種類があって、どれも同じように見えても、それぞれに用途が異なり、デザインも豊富なので、眺めているだけでも楽しくなります。
昨今、BLACWINGの復刻もあって、鉛筆にも静かなブームが訪れています。
もし、お気に入りの鉛筆があるのならば、個性豊かな鉛筆削り器と一緒に、外出先でも奥深い「鉛筆の世界」を楽しんで欲しいと思います。
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