世界の筆記具ペンハウス
文具好きの小部屋
『文具好きの小部屋』は文具を愛してやまない人々が集まるペンハウスの一室。 整然と並んだ本棚の前には、古い書斎机と座り心地の良い長いソファ。 さてさて、今日も誰かが熱く文具を語り始めます。

迷った時の「他力本願」な万年筆選び

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迷った時の「他力本願」な万年筆選び

「他力本願」
広辞苑(第4版)を紐解いてみると、阿弥陀仏の本願。また、衆生がそれに頼って成仏願うこと。転じて、もっぱら他人の力を当てにすること。

本来は仏教に関わる言葉だが、今の世では後者の方が一般的にひろく認知されている。

高級筆記具の代表とされる万年筆を購入する時の選び方の基準は、個人の嗜好や趣味といったもので大きく左右され、好みとは異なるペンを購入しようとする人はいない。

ボク自身、これまでに購入した万年筆は黒を基調としたベーシックなデザインが大半を占め、無意識という意識は無自覚のうちに反映されるものだと、今更ながらに気がついた。

迷った時の「他力本願」な万年筆選び
いかにも万年筆というペンが多い

さて、ボクが大変お世話になっている方のひとりにフリーアナウンサーの堤信子さんがいる。

たくさんの著書をはじめテレビや雑誌の連載でも活躍中で、文房具業界では著名な方なので一度はその名前を耳にした事がある人は多いはず。

彼女がパーソナリティを努めるラジオ番組に文具ライターとして出演させてもらった時に、世界の筆記具ペンハウスのオリジナル万年筆「シンフォニー」を紹介させていただいた。

〇渋谷のラジオ「渋谷の奥さん」当日の放送はコチラから視聴できるので気になった方はぜひ。
https://note.mu/shiburadi/n/nf684aec63f30

この番組のために、ペンハウスさんからお預かりしたシンフォニーを見て、これを期に1本購入しようと思ったところ、ヨーロッパの古典芸術ような美しさと風格のある佇まいに圧倒されて、選ぶ楽しさと迷う苦しみを同時に味わう事になってしまった。

そこで今回のテーマ「他力本願」、自分ではとても選ぶことができず、恐れ多くも堤信子さんにお願いして選んでもらった1本がこちら。

迷った時の「他力本願」な万年筆選び
シンフォニー万年筆 エメラルド森の精霊

自分の中でこの選択肢はなく、グリーン系の万年筆ははじめての1本。

「エメラルド森の精霊」の深い緑は、かつてオフロードバイクで林道を駆け巡っていた頃の風景を思い起こさせ、忘れかけていた懐かしい記憶を呼び戻してくれた。

もしも自分で選んでいたとしたら、きっといままでと同じような色やデザインの万年筆をチョイスしていたはず。
選択を他者にゆだねてみた結果、思いもかけない素敵な1本に出会い、新しい自分を発見することになった。

他力本願

衆生とは生きとし生けるもの全ての本願(願い)、他者にゆだねて成仏を願う。

迷いが生じた時、気の置けない知人や家族や恋人に選択をゆだねてみると、
これまでのこだわりから解放されて、新たな心境へ辿り着けるかもしれない。

仏教でいう解脱とは、迷いから解放され悟りを開く境地に至る事という。

さて、新しい境地の発見は悟りに至るのか?はたまた新しい煩悩を産むのか?
さらなる1本を求める旅はまだまだ終わりそうもない。

 
<この記事に登場する万年筆>
Pent〈ペント〉 万年筆 シンフォニー アダージオ

この記事を書いた人

出雲 義和
出雲 義和
文具ライター、システム手帳から綴じノートまで複数の手帳を使い分ける、手帳歴40年のマルチユーザー。
「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイドブック」などの文具雑誌や書籍をはじめ、旅行ライターとしても執筆活動を行い、文具と旅の親和性を追い求める事をライフワークとしている。
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