玉石参房 第二十四房―睦月―tsuzuru3色の彩なす世界
世界の筆記具ペンハウス

玉石参房 第二十四房―睦月―tsuzuru3色の彩なす世界

  • Pocket
  • LINEで送る


思考は現実化する。

「考えは言葉となり、
言葉は行動となり、
行動は習慣となり、
習慣は人格となり、
人格は運命となる」

かつて、ソビエト連邦マスメディアから
「鉄の女Железная леди」と揶揄された、
マーガレット・サッチャーの言葉。

すべての原動力は自分自身のこころに拠る。
なんて崇高な、責任感のある大人の発言でしょう。

こころの機微をあらわす素敵なインク、
「tsuzuru」3色セット
にて

朝比奈斎(1年の計は毎年最長3日間。サッチャー語録、耳痛い猛省中)が
お色見本を作ります。
どうぞよしなに。


ガラスペン:きゃろくろガラス工房・星空のガラスペン
用紙:SAKAEテクニカルペーパー・トモエリバーノートFPドット方眼


tsuzuru3色は、そのままの濃さだとシックな色合い、
加水すると、おどろきのパステルな色味に。
冒頭の明るい色味は加水してコピー用紙を彩色。

赤青黄の基本色ゆえ、水彩のように混色したり、
1色ずつかさねることによって、
さまざまな色がうまれてきます。

きゃろくろ星空のガラスペン、その軸の儚げな美しさにうっとり。
明るい陽射し、暗い夜、いろいろな場面での表情の違いが楽しめます。

繊細なさらさらとした書き味は勿論、
ほどよい重みと絶妙なくぼみ、手の収まり具合が最高です。
シンプルな軸、用の美と広大な世界観の融合。

二つ目の画像は、同じトモエリバーでも加水量によって表現がことなる例。
お手元のいろいろな用紙で表情も変わります。

塗るたびにしっかり乾かす方法と、まだ水分残るときに色を重ねる方法、
一期一会の色表現がたのしいインクセットです。


Gペン:立川ピン製作所・ニュームGペン
用紙:山本紙業・コスモエアライト
軸:大西製作所・コルト・折り紙


「推しインク」のコンセプトがあるtsuzuru。
相手を想う心を広義にひろげ、いとしい気持ちとするならば、
その相手のゆくさきを願う祈りとなりましょう。

tsuzuruで有島武郎「小さきものへ」を書きました。
子は親の最たる推し。
とはいいながら、

「不幸なそして同時に幸福な父母」
「前途は遠い。そして暗い」
という部分に、生きる現実をふまえたうえでの
小さき人たちへの切なる願いがこめられます。

「親ガチャ・子ガチャ」「毒親」「放浪子」等という、
苦しみに翻弄される昨今の揶揄新語は、所詮、時代の泡沫。

そもそも、現代だけではなく、
人間形成は楽なものではないこと、苦悩ある日々であることを
人は人として太古の昔から知っているわけです。

それを自分で、どう切り抜けて生きていくか。
どのような考えが「自分自身」を創っていくか。

そして未来をになう小さき人たちへ
なにをつたえていくべきか。
幸あれ、幸あれ。

※※※

個人の想いがあつまってマス(mass/集団)になるとき、
人の数ほど悩みは増える。不安増大。

積もる悩みが大きな禍とならぬように、
我々はどのようにはたらくべきか。

個人の願いから大衆の祈りへとふくらむときは、
生きる上での不安要素を無しにする。
洋の東西問わず、
それが祈りのことばにあらわれています。

tsuzuru3色を順次ペン先に足しながら
「主の祈り」を書きました。
継ぎ足しインクのせは、次の色との融合がたのしいです。


また、日本の種々の祝詞の中から「祓詞」を
tsuzuru3色の混色で書きました。

あくまでも自己責任、つけペン使用として
想い:祈り:願い=3:3:2の割合で混ぜると
落ち着きのある澄んだダークグリーンに。

いつものGペンで細目の表現です。
はねやはらい部分も、下書き肉付け塗りなしの一発書き。
単なる筆圧の強弱ではなく、
ペン先の接地工夫でインク量をコントロールしています。


「不安要素」を「罪」として「許し」を求めるキリスト教の考え方。
「不安要素」を「穢れ」として「祓い清める」神道の考え方。

どちらも「よくないものを0にする」という
大昔からの生きる術が共通していることは興味深いです。


用紙:SAKAEテクニカルペーパー・イロフル


人が最初に経験するのは「親子」のつながり。

野口雨情の未完童謡集内「おもち」より。
かわいらしい言葉のなかに、親子の在り様が反映されていて
哲学的でもあります。
子ねずみの経験と知恵が、未来をつくることでしょう。


コピー用紙:KOKUYO・KB用紙


冒頭の塗りコピー用紙、
想いインク、祈りインクの色用紙は花型パンチングを使い、
5弁花に形成、蕊も手作りで梅の花に。

願いインクは澄んだブルーを活かして梅の花を届ける折り封筒に。
青空に映える梅の花を、季節のおたよりとして。


水彩紙:カランダッシュ・エーデルワイス水彩紙ブック


発色を存分に楽しむには水彩紙がダントツです。
色をのせてから乾燥するまでの色変化も醍醐味のひとつ。

tsuzuru3色の融合で梅ヶ枝を。
青みはウメノキゴケに。琳派の作品にもよく見られます。
ひとつの木に2色咲く梅の花は「源平咲き」として。

あたらしき春、あたらしき花、あたらしき日々、
あやしうこそものぐるほしけれ。
すべてのひとに、幸あれ。
幸あれ。

想いは願いに、
願いは祈りに。

色にいざなわれて開ける扉の向こうにひろがる、
「tsuzuru」の世界。
インクの楽しみの入り口となれば幸いです。

きよらかな梅の花こそ、
迫り来るスギ花粉の季節を知らせる、うつくしき第一の喇叭(黙示録)。
嗅覚が生きている今のうちに梅の香を存分に楽しみ春を謳歌したい朝比奈斎(花粉眼鏡ではもう無理、がっつり競泳用ゴーグルで毎年出社)でした。
ではまた。

<今回のメインインク>
Pent〈ペント〉ボトルインク tsuzuru 20ml 3色セット

朝比奈さんからのお知らせ

◆絶賛更新中!X(旧:Twitter)
@asahinaitsuku

◆新たに開設しました!Instagram
@asahinaitsuku

◆目下鋭意準備中!
朝比奈斎の玉石参房
※別ページへ移動します。

この記事を書いた人

朝比奈斎
朝比奈斎
憧れの高級文具から教室に忘れ去られた名もなき消しゴムに至るまですべての文具を偏愛する者。
文字は下書き無し・肉付け塗り無しの一発書き。
文具・画材・多肉愛好家として雑貨店「SHOP511」にて多肉植物の育成販売と文具雑貨諸事の販売に携わる。好きな言葉は「玉石混淆」

Twitter:@asahinaitsuku
Instagram:@asahinaitsuku
  • Pocket
  • LINEで送る