春の光を手の中に!~Sakuralucentの魅力
世界の筆記具ペンハウス

春の光を手の中に!~Sakuralucentの魅力

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梅の花が知らない間にひっそりと咲き、鶯の鳴き声が聞こえ(実は都内の中心部である我が家の周りは緑が多いので、毎年この時期は鶯がさえずり、春の訪れを感じることができるのです)始めると、だんだんと桜の開花が気になりだしてきます。
ニュースで桜の開花予想がされるだけでなく、最近では様々なところでその年の限定の桜モチーフの色々が出ます。例えば、それはモレスキンのノートであったり、スターバックスの桜ラテであったり、ルピシアという紅茶の専門店の桜味の紅茶であったり。

そんな矢先、突然飛び込んできたニュースに驚いた。それがPEN HOUSEのオリジナル万年筆だ。しかも、それはドイツのブランドであるカヴェコの万年筆だという。ぼくは以前コラムにも書いたのではあるが、カヴェコの万年筆が大好きで、色々な国の限定色を集めているほど。

だから、今回も一体、どんな万年筆なのだろうと、すごく気になっていた。そして、実際に発表になった万年筆を見て、思わず叫んでしまった。
だって、ぼくが特に好きなAL Sportという、メタリックを基調とした型だったのだから。叫ばないわけがない!
しかも、色がまた素晴らしく、薄いピンク色。これは期待できるではないですか。と、早速ネットで注文をして購入した。

Sakuralucent開封の儀

まずは外箱に注目。
このSakuralucentの世界観を見事に表現した薄いピンク色で、桜があしらわれている。

春の光を手の中に!~Sakuralucentの魅力

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その外箱を外すと、出てくるのが真っ黒な缶である。
外のスリーブと並べると、その色の差が際立ち、いったいこの缶の中からどんな素敵な万年筆が出てくるのかしら?とワクワクしてしまう。
その缶にも「Sakuralusent」とPentのロゴが白字でプリントされており、実にクールでスタイリッシュだ。

春の光を手の中に!~Sakuralucentの魅力

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通常のカヴェコの缶と比べてみると、まったく違ったテイストで、この万年筆が完全にオリジナルの商品であることがわかる。(だから、缶も捨てられないのです!)

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中を開けてみると、日本語の保証書、Kawecoスポーツの案内、Kawecoのロゴの入ったシルバーステッカーの他にもう一つ、この万年筆で使うことができる専用のコンバーターが付属している。

春の光を手の中に!~Sakuralucentの魅力

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カヴェコはショートタイプの万年筆なので、通常タイプのコンバーターが使えず、ヨーロッパタイプのショートカートリッジが専門なのだが、数年前からカヴェコはこのコンバーターを作るようになり、ショート万年筆が大好きなぼくも安心して使うことができるようになった。これさえあれば、自分の好きなインクを入れて使うことができる。これは非常に画期的なことだと思う。

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ただ、注意していただきたいのが、このコンバーターを軸に挿す時、ちょっと力がいるということ。コンバーターに個体差があるのだが、ギュッと押し込まないと刺さらないものもあるので、カチッという手ごたえを感じまで押し込んで欲しい。そうすれば、液漏れもすることなく、安心して使うことができる。

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春を感じる桜色万年筆

では、次にこのSakuralucentをじっくりと観察することにしよう。
カヴェコのAL Sportの最大の特徴はそのサイズ感だ。
キャップをした状態だと掌にすっぽりと収まる。
ところが、このキャップを外し、軸のお尻の部分にかぶせることによって、長さが生まれ、男性の手にもなじみ、書きやすくなるのだ。
この構造だと、持ち歩きの時はポケットの中に入るサイズ、あるいはミニタイプのシステム手帳に挟めるサイズで、書く時に拡張できるということになる。それがたまらなく便利なのだ。

春の光を手の中に!~Sakuralucentの魅力

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Sakuralucentは、その色が一番の魅力だと思う。
薄いピンク色のメタリックボディは、優しさを感じるし、温かみもある。まさに春の訪れにふさわしい万年筆なのではないだろうか。

春の光を手の中に!~Sakuralucentの魅力

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この絶妙な色合いは、見事だ。濃すぎないピンクなので、ピンクは女性っぽくて苦手だと思っている男性の手にも違和感なくすっぽりと収まるし、その薄さがまさに桜のイメージとぴったりと合う。

また、ロゴも、凝っていて、Kawecoの定番のロゴの反対側の面には、Sakuralucentのロゴが入っており、さらにオリジナル感が増している。こういう細かい演出が憎い。

春の光を手の中に!~Sakuralucentの魅力

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首軸からペン先にかけてじっくりと見てみると、そのたたずまいが美しく感じられるのは、やはり色が薄いピンクで統一されているからだろう。メタリックのクールさと薄いピンクのやさしさの両方を感じることができ、文字を書いていると、さらにペンを愛でたいという気持ちが掻き立てられる。

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ゴールドとシルバー、どちらを選ぶ?

このSakuralucent、もう一つ非常に悩ましい選択を迫られる。
それは、ペン芯の色が、ゴールドとシルバーの両方が用意されていて、果たしてどちらにしたら良いのか?と悩んでしまうのだ。

春の光を手の中に!~Sakuralucentの魅力

色が薄いピンクなので、ゴールドでもシルバーでもそれなりに似合うので、どちらも捨てがたい。
ゴールドにすると、まさにSakuralucentという名前の通り、桜の光をペン先からも感じることができるし、シルバーはもっと引き締まった印象を与えるので、クールな気持ちでペンを持ちたい時などには良いだろう。

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結局、ぼくはどちらか一方を選ぶことなんかできず、両方お迎えしてしまったのだが、考えてみたら、Pentの歳時記インクもピンク系は2色あるではないですか。ということで、この春はその2色をそれぞれゴールドとシルバーに入れて使いたいなと思っている。

春の光を手の中に!~Sakuralucentの魅力

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集める楽しみもあるカヴェコ

カヴェコのAl Sportは世界的にも人気で、実は、香港や台湾などを中心に限定色が色々と出ている。また、日本未入荷の色もあるので、ついつい集めたくなってしまうのだ。

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日本でも、少しずつ認知度が上がってきているので、これを機に、もっといろいろなお店で限定色を出して欲しいなと思っている。

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季節を感じることができる万年筆というのは、まさに日本人ならではの楽しみ方を提案してくれるような気がして、これから春本番を迎えるにあたり、手になじませて、春の訪れを心待ちにしたいなと思っている。
今年の春はいつもと違う何かがある、そんな予感を感じさせてくれる、素敵な万年筆だ。

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<この記事に登場する万年筆>
Pent〈ペント〉×カヴェコ 万年筆 限定生産品 ALスポーツ サクラルーセント<Sakuralucent>
Pent〈ペント〉 ボトルインク 彩時記

この記事を書いた人

武田健
武田健
文具ライター、山田詠美研究家。雑誌『趣味の文具箱』にてインクのコラムを連載中。好きになるととことん追求しないと気が済まない性格。これまでに集めたインクは2000色を超える(2018年10月現在)。インクや万年筆の他に、香水、マステ、手ぬぐいなどにも興味がある。最近は落語、文楽、歌舞伎などの古典芸能にもはまりつつある。
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