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歴史的万年筆「ペリカン100シリーズ」の魅力に触れる

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ペリカン 万年筆 特別生産品 M101N ブライトレッド

万年筆には数々の歴史が存在し、その歴史やヴィンテージと呼ばれる過去の名品に触れることができるのも魅力のひとつである。だが希少で高価なヴィンテージ万年筆は、専門家や、かなりの愛好家でないと手にすることは難しい。

絵の具メーカーからスタートしたペリカン社

ペリカン社は長い歴史を持つ万年筆ブランドだが、1832年、小さな絵の具メーカーとしてスタートした。転機が訪れたのは20世紀初頭、今でも同社万年筆インクにその名が受け継がれている「4001」インクシリーズを発売すると、品質の良さが話題となり、その名を世界中に知られていくこととなった。

その後、万年筆の開発に着手し、1929年、遂にペリカン初となる万年筆が誕生する。ルイス・エドソン・ウォーターマンが毛細管現象を応用した万年筆を創り出したのが1883年なので、ペリカン社は万年筆ブランドとしてはかなり後発だとも言える。
だが、ドイツが誇る精巧な技術力で作られたピストンノブは、当時としては画期的な精度を誇り、一躍万年筆のトップブランドとして君臨するようになる。

歴史的万年筆「100シリーズ」の誕生

ペリカン初の万年筆が誕生したその翌年、歴史的万年筆と名高い「100シリーズ」が発表される。その後、今のスーベレーンの原型となる「400シリーズ」に主役の座を譲る1950年頃まで、ペリカンのスタンダード万年筆として一世を風靡した。

今もなお、ヴィンテージとしても人気の高い「100シリーズ」であるが、マイナーチェンジなどを繰り返し、時代によって幾つかのバリエーションが作られている。

1935年には「101」、1937年に「100N」、1938年に「101N」が登場。各モデルの見分け方の一例としては、最初期の「100」の尻軸がフラットなのに対し、改良型の「100N」は若干太く丸みがあり、全長も長い。(ちなみにシリーズ名の「N」はズバリ「New」の略だそうだ。)
「101/101N」は例外もあるようだが、基本的にキャップと軸が同じ素材・デザインで作られていたものを指している。

現代に蘇った歴史的万年筆

手に入らないものほど欲しくなってしまうのが人間だというが、全てのものがそれに当てはまる訳ではない。完成度が高く、本物と呼ばれるものだけがヴィンテージとして評されていく。「100シリーズ」もまた、万年筆愛好家の間で高値で取引されるほどヴィンテージとしての希少性が増していった。

だが「100シリーズ」の人気はヴィンテージだけに留まらなかった。一部の愛好家からはペリカン社に嘆願書が出されるほどに復刻を望む声が多く、遂に2010年に特別生産品「M101N」として蘇った。

現代の万年筆では見られないレトロ感漂うデザイン、ヴィンテージの雰囲気はそのままに、軸材のアクリルセルロースやペン先・吸入機構は現行と同じものを採用し、実用性も高く書きやすい。

復刻版「M101Nシリーズ」は、その歴史に新しい章を刻むかのように、特別生産品・限定品としてすでに5種類が復刻されている。
ヴィンテージの雰囲気と実用性を兼ね備えていた復刻モデル。その歴史や名品の味わいを楽しむには打って付けである。

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